目次
1.転職で給与交渉するのはOK
内定先に給与などの条件を提示された際、希望を伝える交渉はマナー違反ではありません。転職で給与アップを考えていた場合、前職と同額やそれ以下の水準で入社すると、モチベーションが維持できず早期離職につながる可能性があります。入社前に調整することで、こうしたミスマッチを防げます。
交渉する内容は給与以外に入社日や勤務地、転勤の可否、就労時間などがあります。ただし、マナーを守って交渉に臨まないと入社後の評価に影響する可能性があるため、注意が必要です。
2.給与交渉で注意すべき3つのポイント
(1)内定承諾前に交渉する
給与交渉は、内定承諾前までにおこなうのが一般的です。一次面接などの選考段階で希望額を伝えると、給与が最優先と受け取られ、選考に影響が出る可能性があります。
もし、面接中に希望の年収額を聞かれたら「現在年収◯◯◯万円ですので、可能であれば同額以上を希望しております」などと答え、詳細な金額は伝えないのが無難です。
(2)条件の根拠を示す
希望の給与額を提示する際は、その金額の根拠を伝えることが大切です。とくに、同じ職種で似たような業務内容の場合、前職よりも高い金額を希望する理由を企業側に納得してもらう必要があります。
根拠として示せるのが、前職の給与、経験業務、保有資格、業界や職種の給与相場などです。ほかの企業の求人をチェックするなどして、相場と大きくかけ離れていない現実的な金額を伝えるようにしましょう。
▽ジョブメドレーで扱っている医療・福祉・美容に関連する職種の給与相場も参考にしてみてください。
(3)条件にこだわりすぎない
給与交渉では、必ずしも希望がかなうとは限りません。あくまで希望として相談し、どうしても譲れない条件以外は歩み寄る姿勢も大切です。
条件面にこだわりすぎると、希望に合う職場が見つからず転職活動が長引くこともあります。入社時点での給与は前職と変わらなくても、定期的な昇給が見込める企業もあります。目先の条件だけでなく、昇給制度、業務内容、福利厚生なども考慮し、転職先選びの参考にしましょう。
3.給与交渉の例文
ここからは、給与交渉をする際に使える例文を紹介します。入社前にオファー面談などが設定されていれば口頭で交渉し、面談がない場合はメールで確認します。
口頭で伝える場合
前職では新卒から8年間、病院薬剤師として薬剤師業務全般を経験してまいりました。3年目からは新人教育マニュアルの作成と指導をおこなうなど、後進の育成にも注力しました。ただ、前職では明確な評価制度が設けられておらず、年収◯◯◯万円は相場と比べて適正か疑問に感じておりました。
御社が展開する薬局では、これまでに培ったスキルをもとに、マネジメント業務にも取り組みたいと考えておりますので、可能であれば前職より10%アップの年収◯◯◯万円を希望します。ご検討いただけますでしょうか。
メールで伝える場合
件名:給与に関するご相談
株式会社◯◯ 人事課◯◯様
お世話になっております。貴社の薬剤師に応募し、内定をいただきました◯◯です。
先日は労働条件通知書をお送りいただき、ありがとうございました。ご提示いただいた給与に関してご相談があり、ご連絡いたします。
現職では調剤や患者様対応などの薬剤師業務全般に加えて、新入職員向けのマニュアル作成や指導を担当しております。
貴社では、これまでの経験を活かしながらマネジメント業務へも挑戦したいと考えており、誠に恐縮ですが年収◯◯◯万円でご検討いただきたく存じます。
貴社でこれまで以上の成果を出せるよう努めてまいりますので、ご再考いただけますようお願い申し上げます。
名前
ポイント
- 労働条件が提示される前に聞かれることもあるので注意
- あらかじめ希望額とその根拠を考えておく
4.給与以外の条件交渉の例文
入社日
口頭で伝える場合
入社日につきまして、大変申し訳ございませんが、現職で後任者の決定と引き継ぎ期間が必要なため、可能であれば◯月◯日以降にてご調整いただけますでしょうか。
メールで伝える場合
件名:入社日に関するご相談
医療法人◯◯ 人事部◯◯様
お世話になっております。先日、貴法人の看護師の内定をいただきました、◯◯です。
入社日のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
大変申し訳ございませんが、現職での引き継ぎ期間を考慮し、◯月◯日以降の入社にてご調整いただくことは可能でしょうか。
ご多忙の折恐れ入りますが、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。
名前
ポイント
- 提示された日よりも後ろ倒しになる場合は早めに伝える
- 入社日変更を希望する理由と日にちを伝える
就業(勤務)時間
口頭で伝える場合
現在、介護が必要な家族がいるため、週に2日ほどは時差出勤を希望しております。通常は、9時から18時までの勤務とさせていただき、火曜日と木曜日は8時出社の17時退勤とさせていただくことは可能でしょうか。
メールで伝える場合
件名:就業時間に関するご相談
◯◯クリニック 採用担当◯◯様
お世話になっております。先日、貴院の医療事務の内定をいただきました、◯◯です。
勤務時間についてご相談があり、ご連絡いたします。
現在、介護が必要な家族がおり、週に2回(火・木)ほど時差出勤させていただくことは可能でしょうか。月・水・金は9時から18時まで、火・木は8時から17時勤務とさせていただきたいと考えております。
誠に恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
名前
ポイント
- 利用できる制度があるか労働条件通知書などで確認する
- シフトの調整や業務への影響を考慮し、入社前に伝える
- わかる範囲で変更を希望する曜日や時間を伝える
勤務地
口頭で伝える場合
子どもの保育園の送迎があるため、最寄りの◯◯駅から電車で30分圏内の事業所で勤務させていただきたいと考えております。ご検討いただくことは可能でしょうか。
メールで伝える場合
件名:勤務地に関するご相談
社会福祉法人◯◯ 採用担当◯◯様
お世話になっております。先日、貴法人の介護職の内定をいただきました、◯◯です。
勤務地についてご相談があり、ご連絡いたします。
子どもの保育園の送迎があるため、最寄りの◯◯駅から電車で30分圏内にある事業所での勤務を希望しております。
勝手を申しまして大変恐縮ですが、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。
名前
ポイント
- 希望勤務地を聞かれた場合に限り伝える
- 希望する理由も添えると企業側の理解が得やすい
5.転職前の交渉は慎重に
給与アップや働きやすさなど、転職に求める条件は人それぞれです。希望する条件に近づけるために、企業と交渉することはマナー違反ではありません。
しかし、条件面にこだわりすぎると、なかなか希望どおりの職場が見つからない可能性もあります。また、相場から大きく離れた条件を提示したり、あれもこれもと交渉ごとを増やしたりすると印象を損ねてしまいます。交渉はどうしても譲れない条件に絞り、優先順位をつけて進めましょう。