20年後には3人に1人が高齢者に!?
少子高齢化とは、出生率の低下によって子どもの割合が減っていく一方、平均寿命が延びたことで総人口に占める高齢者の割合が増えている状態をさします。日本ではこの少子高齢化が急速に進んでいます。団塊の世代が65歳以上となった2015年、高齢者が総人口に占める割合は26.7%までになりました。国民の4人に1人が高齢者という国は世界でも日本だけ。少子化の影響で総人口が2010年をピークに減少し始めている一方で、高齢者人口は今後も増え続ける見込みです。20年後の2035年には、3人に1人が高齢者となるという推計結果も発表されています。このような状況を受け、医療や介護、そして福祉がこれまでのように成り立っていくかどうかに注目が集まっています。
支える人が足りない、日本の医療介護福祉の現状
現在、日本人の平均寿命と健康寿命の間には約10年の開きがあります。75歳以上の後期高齢者になると、要介護認定を受ける人の割合はさらに増えますし、医療依存度も高くなります。たとえば親が何らかのケアが必要になった場合、兄弟が少ないなどの理由から特定の人に負担が集中しがちに。子世代は大抵40~50代と働き盛りの段階にあるため、私生活と介護等との両立が難しい場合もあります。結果、介護うつや介護離職などを引き起こし、それが社会問題となっています。
そこで現在、医療介護福祉の仕事に注目が集まっているわけです。しかし、現場は慢性的な人手不足。病院から在宅へという流れがある中で、その仕組みを支える人材がまだまだ足りない状況です。
現在の社会保障制度を支えるお金と人が足りない
2020年には後期高齢者の人口が前期高齢者を上回り、そして2025年には団塊の世代が後期高齢者となります。医療や介護の必要性が増す後期高齢者が増えるということは、年金、医療、介護といった社会保障にかかる費用もこれまで以上に必要になってくるということ。現在、日本の社会保障費は税金と現役世代が支払う社会保険料で賄われています。国は財源の安定化を図ろうとしていますが、財源を支える20~64歳のいわゆる現役世代の人口も減っています。
今は社会保障制度が設立された当時とは人口構成も全く違う時代です。そのことを踏まえた制度の見直しが、これからより活発化していくと考えられています。
2018年、診療報酬と介護報酬のダブル改定を控えて
現在の少子高齢化の人口構成でも社会保障制度が保てるよう、医療の役割を病気を治すことから生活を支えるというものへシフトしようと試みがあります。2016年度の診療報酬改定では、外来診療を行わない訪問診療に特化したクリニックを容認すること、認知症ケアを推進する制度の新設が盛り込まれました。一方で介護報酬は、2015年に9年ぶりのマイナス改定。ただ、サービス単価を引き下げつつも、処遇改善目的の加算を新設されました。また、認知症や要介護度の高い方を受け入れたり、手厚い人員体制を置く事業所にも加算がつくようになりました。
2018年控えた診療報酬と介護報酬のダブル改定は、2025年に予定されている地域包括ケアシステムの構築を見据えた改定となるでしょう。これまで以上に医療や介護、そして福祉との連携に重点を置いた内容になるのか、医療介護福祉に関わるものとして、その動向に注目していきたいですね。