
医療チームの一員として幅広い業務に関わる病院薬剤師
病院薬剤師は、その名の通り病院で働く薬剤師です。病院に従事する医療チームの一員であり、他職種と一緒になって入院・外来患者の治療に携わります。そのため、医師や看護師との調整など、他の医療従事者とのコミュニケーションも大切となってきます。医師と直接やりとりができるので、処方の意図もつかみやすく、患者さん個々の治療へと関わりやすいもの。ただ、気を付けたいのは、必ずしも患者との関わりが多いわけではないということです。入院患者とたくさん接したい場合には、業務内容に「病棟業務」や「服薬指導」と書かれた求人に応募するとよいでしょう。
薬剤師の勤め先の大多数を占める薬局薬剤師
一方、薬局薬剤師は保険薬局などで働く薬剤師です。薬剤師の就業先の過半数を占めており、薬局数も多いことから場所を選ばずに就業できるのがメリットです。また、採用人数の少ない病院薬剤師とは異なり、規模の大きい薬局では同期や先輩薬剤師が多くいます。そのため、周りの薬剤師からの刺激を受ける機会も多いでしょう。ただ 、業務の中心は他院で処方されてきた薬剤の調剤などとなります。そのため、実際の疾患などについて学ぶのは、医療の現場に近い病院薬剤師と比べると少し難しいかもしれません。
病院薬剤師と薬局薬剤師の人数、それぞれの現状
2016年に厚生労働省によって行われた「平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査」では、薬剤師の総数30万1323人のうち過半数にあたる17万2142人(57.1%)が薬局薬剤師として勤務しているとされています(2016年12月31日時点)。これに対して、病院で働く薬剤師は5万2145人(17.3%)です。つまり、就職・転職するにあたっては、病院薬剤師の方が狭き門であると言えるでしょう。また、過去20~30年間の傾向を見ても、薬局で働く薬剤師の数が年々増加しています。求人を比較してみると、病院薬剤師の方が業務内容の幅が広く様々な経験がつめる一方で、薬局薬剤師と比べるとやや休みが取りにくい傾向にあるようです。