目次
1.借り上げ社宅(住宅借り上げ)制度とは?
会社が契約した物件に安く住める
借り上げ社宅制度とは、会社が賃貸契約した賃貸マンションやアパートなどの物件に、従業員が安く住める制度のことです。福利厚生のひとつで、全国展開する企業や転勤が発生する企業が設けていることが多いです。
借り上げ社宅には、会社があらかじめ契約した物件を従業員に貸し出すタイプと、条件の範囲内で従業員が物件を探して会社が賃貸借契約を結ぶタイプがあります。
社有社宅・寮・住宅手当との違い
借り上げ社宅と似た制度に「社有社宅」「寮」「住宅手当」があります。
社有社宅は会社が保有する物件のため、管理費用や固定資産税などが会社負担となります。また、社有の場合はすでに物件が決まっているため希望の間取りや広さなどを選べないこともあるほか、家賃は給料から天引きとなることが一般的です。
寮と借り上げ社宅に明確な違いはなく、会社が寮を保有している場合は社有社宅の扱いになります。会社によっては、寮は単身向け、社宅は家族向けなど区別しているところもあるほか水光熱費が寮費に含まれていたり、食事の提供があったりとさまざまなサービスを提供しているところもあります。
住宅手当(家賃手当)は、従業員が支払う家賃を会社が補助する制度のことで、従業員が物件を探して契約または保有します。月に3万円など会社ごとに金額設定が異なるほか、会社から3km圏内に住む場合など条件が設けられていることもあります。
2.借り上げ社宅のメリット・デメリット
メリット
借り上げ社宅のメリットは主に以下のとおりです。
住居費が安くなる
会社の福利厚生として設けられているため敷金・礼金・更新料がかからず、月々に支払う家賃も安く設定されています。従業員の家賃負担は会社ごとに異なりますが、一般的に近隣の家賃相場の1〜2割程度に設定されることが多いようです。
物件の契約にかかる手間が省ける
会社がすでに契約している物件に入居する場合、自ら物件を探して契約する必要がないためこれらの手間が省けます。
節税になる
住宅手当の場合、給与の一部として支給されるため所得税がかかりますが、借り上げ社宅の家賃が給料から天引きされている場合は非課税となるため、節税効果が高くなります。
デメリット
メリットがある一方でデメリットもあります。
退職時には退去が必要
借り上げ社宅は会社が契約して従業員に貸し出しているため、退職したら社宅も退去しなければなりません。転職や退職にあたっては、転職活動や手続きなどと並行して住まいのめどをつけておきましょう。
自由に物件が選べないことも
会社が指定する借り上げ社宅の場合、広さや立地などの希望が通らないこともあります。また、空室がなく新たに物件探しや賃貸契約が発生する場合は、入居までに時間を要する可能性もあります。
社会保障額が減ることも
社宅の家賃が給料から天引きされる場合、所得にかかる社会保険料が減るというメリットがある一方で、将来受けとれる年金などの金額が減ってしまうデメリットもあります。
期間・対象者が限定されることも
会社によっては、借り上げ社宅の利用期間を2年間などと上限を設けているところや、勤続年数5年までと対象者を限定しているところもあります。
3.借り上げ社宅に関するよくある質問
ここからは、借り上げ社宅に関するよくある質問と回答をまとめました。
Q.家賃負担はいくらくらいですか?
A.会社ごとに異なりますが、近隣相場の1〜2割程度に定められているところが多いようです。
Q.借り上げ社宅と社有社宅の違いは何ですか?
A.主な違いは物件の所有者です。借り上げ社宅は賃貸マンションなどの一室またはフロアなどを会社が契約して従業員に貸し出すのに対し、社有社宅は会社が所有する物件を従業員に貸し出します。
Q.借り上げ社宅と住宅手当(家賃手当)はどちらがいいですか?
A.借り上げ社宅は会社が賃貸借契約を結ぶため、従業員の手間が省けます。あらかじめ物件が決まっている場合は、必ずしも希望する条件で選べないというデメリットがありますが、家賃が給料から天引きされるため、所得税や社会保険料の金額を抑えられるなどのメリットもあります。
住宅手当の場合は、従業員が物件を探し契約をおこなう手間が発生しますが、希望する住居を選びやすい点がメリットです。ただ、給料の一部として支払われるため、所得が上がり課税額も増えるというデメリットもあります。
会社ごとに制度の内容や利用条件が異なります。まずは就業先の制度を確認し、利便性を考慮して検討してみてください。