看護師の離職に関する統計を見てみよう
看護師の就業者数は年々右肩上がりで増えています。しかし、公益社団法人日本看護協会が発表した「2017年 病院看護実態調査」によると、正職員として勤務する看護師の10.9%、新人看護師では7.6%が何かしらの理由で離職しています(2017年調査)。
全産業での一般労働者の離職率は11.4%であり、ほぼ同程度に感じられますが、近年の医療現場での人手不足を考慮すると深刻な数字であると言えます(厚生労働省「平成28年雇用動向調査結果の概況」より)。
そして、現場から離れている潜在看護師の数は70万人以上いると推測されており、看護師の離職に関する問題を早急に解決することが求められています(厚生労働省「看護職員の現状と推移」より)。
看護師が退職してしまう理由は何?
看護師が退職を決意するに至る理由には何があるのでしょうか。大きな理由としては、1つは結婚や出産、育児といったライフステージの変化によるものが挙げられます。近年は男性看護師も増加傾向にありますが、まだまだ女性の多い看護師。女性が働きやすいよう環境が整えられている職場が増えているとはいえ、育児をしながらハードな勤務をこなすのは難しいと考える人も多いでしょう。
また、勤務の長さや負担の大きさといった環境要因も退職の理由の1つです。人手不足の職場では看護師1人あたりの業務量が過重となっており、十分な休息がとれない、夜勤の時間が月平均72時間を超えているなどの実態があります。この労働条件の改善こそが、看護師の離職防止につながると言えるでしょう。
退職しない看護師は、なぜ仕事を続けられるの?
離職してしまう看護師がいる一方で、長く働いている看護師ももちろんいます。看護師が退職しない理由としては、勤務体系や雇用体系が希望通りであること、通勤の利便性が良いことが最も多く挙げられています。
他にも、同僚などとの人間関係が良いことや、時間外勤務がないこと、年次有給休暇がとりやすいことなども挙げられており、負担が少ない環境であることが退職しない理由になっているようです。
職場によって看護師1人あたりの負担に大きな差があり、それが退職するかしないかの境界であるとも言えるかもしれません。看護師の離職防止には、なり手を増やすことも大事ですが、環境改善を早期に進めていくことが必要でしょう。