目次
1.調剤について
そもそも「調剤」ってなに?
「調剤」が業務としてどこからどこまでを指すのか、正確には定義されていません。
ですが一般的には、医師から出された処方箋のチェックをおこない、処方箋に従って医薬品の計量および調製をし、患者にお渡しするまでの一連の流れを総称して「調剤業務」とするようです。なお、薬剤師法第19条では、薬剤師でない者が販売、または授与の目的で調剤することは医師などによる例外を除いて禁止とする旨が明記されています。
よく耳にするピッキングとは?
薬局における「ピッキング」とは、処方箋に記された医薬品を棚から取り出し、必要数集めることを指します。こう聞くと誰にでも簡単にできる業務に思えますが、それほど単純ではありません。
数ある医薬品の中から処方箋に記されたものを正しく選ぶだけでなく、その数量(錠剤であれば錠数、外用薬であれば本数など)を調剤棚から正しく取り出し、その都度確認していく作業のことを一般に「ピッキング」と呼びます。
医薬品に対する知識だけでなく、処方箋を正確に読み取り集薬するという確かな技術(スキル)が要求される重要な作業です。
調剤業務の流れは?
未経験の人でもイメージしやすいよう、調剤業務の一連の流れをまとめました。

2.調剤補助員の仕事内容
なにができて、なにができないの?
調剤業務の今後のあり方について、2019年に厚生労働省から以下のように通知(薬生総発0402第1号平成31年4月2日)されました。なお、この通知では薬局などにおける適切な管理体制のもとで薬剤師以外が実施することが可能な行為(いわゆる「調剤」に該当しない行為)が示されています。
1 調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、以下のいずれも満たす業務を薬剤師以外の者が実施することは、差し支えないこと。なお、この場合であっても、調剤した薬剤の最終的な確認は、当該薬剤師が自ら行う必要があること。
- 当該薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること
- 薬剤師の薬学的知見も踏まえ、処方箋に基づいて調剤した薬剤の品質等に影響がなく、結果として調剤した薬剤を服用する患者に危害の及ぶことがないこと
- 当該業務を行う者が、判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること
2 具体的には、調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、当該薬剤師の目が届く場所で薬剤師以外の者が行う処方箋に記載された医薬品(PTPシート又はこれに準ずるものにより包装されたままの医薬品)の必要量を取り揃える行為 、及び当該薬剤師以外の者が薬剤師による監査の前に行う一包化した薬剤の数量の確認行為 については、上記1に該当するものであること。
3 「薬剤師以外の者による調剤行為事案の発生について」(平成27年6月25日付薬食総発0625第1号厚生労働省医薬食品局総務課長通知)に基づき、薬剤師以外の者が軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても、引き続き、薬剤師法第19条に違反すること。ただし、このことは、調剤機器を積極的に活用した業務の実施を妨げる趣旨ではない。
4 なお、以下の行為を薬局等における適切な管理体制の下に実施することは、調剤に該当しない行為として取り扱って差し支えないこと。
- 納品された医薬品を調剤室内の棚に納める行為
- 調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや院内の配薬カート等へ入れる行為 、電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する行為
- 薬局において調剤に必要な医薬品の在庫がなく、卸売販売業者等から取り寄せた場合等に、先に服薬指導等を薬剤師が行った上で、患者の居宅等に調剤した薬剤を郵送等する行為
5 薬局開設者は、薬局において、上記の考え方を踏まえ薬剤師以外の者に業務を実施させる場合にあっては、保健衛生上支障を生ずるおそれのないよう、組織内統制を確保し法令遵守体制を整備する観点から、当該業務の実施に係る手順書の整備、当該業務を実施する薬剤師以外の者に対する薬事衛生上必要な研修の実施その他の必要な措置を講じること。
(参考)厚生労働省「調剤業務のあり方について」
※ハイライトは編集部
つまり、調剤補助員ができる業務を簡単にまとめると以下のようになります。
◎できること
- ピッキング業務
- 医薬品の棚入れ
- 薬剤師による鑑査の前におこなう一包化された薬剤の数量チェック
- お薬カレンダーや院内の配薬カートに調剤済みの薬剤を入れる
- 在庫がなかった場合などに医薬品を郵送
- レセプト、請求業務
- その他、従来の調剤事務業務
×できないこと
- 錠剤の加工
- 軟膏剤、水剤、散剤等の直接計量や混合
- 処方監査
- 疑義照会
- 調剤薬鑑査
- 服薬指導
薬剤師やこれまでの調剤事務との違い
薬剤師との大きな違いは、医薬品の調製や処方監査や調剤薬鑑査をおこなえるか否かです。医師の処方にもとづき調剤し、最終的な確認後に服薬指導などをするのが薬剤師の仕事です。
また、これまでの調剤事務との1番の違いは「ピッキング業務」と「一包化の補助」が可能となった点です。
なお、調剤補助員も大きく括ると調剤事務員となるのですが、今後は受付・受電対応・入力作業などをメインに行う事務員と、ピッキング・医薬品の棚入れ・医薬品の郵送などをメインに行う調剤補助員とで差別化が図られることも考えられます。
調剤補助員になるには
現在、調剤補助員になるために必要となる経験や資格に関する明確な規定はありません。しかしながら、ピッキング業務などをスムーズにこなしていくためには、一定以上の医薬品の知識は求められます。
薬局内のどこにどの医薬品が保管されているのか、処方箋に書かれているものは成分名(一般名)なのか医薬品名(商品名)なのか、ジェネリックに変更する場合の薬品名などです。すでに調剤事務員としてこうした知識がある人は、調剤補助員としても即戦力となるでしょう。
3.調剤補助員の今後の需要は
これまで薬剤師以外がおこなうことは、グレーゾーンとされてきたピッキング業務や1包化における補助的な業務。これらを調剤補助員がおこなうことで薬剤師の負担が減るため、薬剤師は調剤業務や対人業務に専念することができ、薬局や医療機関のサービス向上につながると考えられます。
以上のことから、これから調剤補助員の需要はますます増加するといえます。
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