【2022年】医療・介護・福祉職の有効求人倍率。長期推移・コロナ前後で比較

就職・転職のしやすさの目安になる有効求人倍率。医療や福祉業界の有効求人倍率は高いと言われますが、実際どの程度なのでしょうか? 全産業との比較、長期での推移、新型コロナウイルス流行前後で比較しました。

【2022年】医療・介護・福祉職の有効求人倍率。長期推移・コロナ前後で比較

1.有効求人倍率とは

有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人(仕事)があるかを表す指標です。全国のハローワーク(公共職業安定所)に登録されているデータをもとに算出され、毎月、厚生労働省から発表されています。

有効求人倍率の計算式

(有効求人数) ÷ (有効求職者数) = (有効求人倍率)

*有効求人数…ハローワークにおける、当月の新規求人数と前月から繰り越された求人数の合計

*有効求職者数…ハローワークにおける、当月の新規求職者数と、前月から繰り越された求職者数の合計

例えば、求職者100人に対して求人が200件あるときは「200件÷100人」で2倍に、求職者100人に対して求人が50件しかないときは「50件÷100人」で0.5倍になります。

このように有効求人倍率が1倍を上回ると求職者よりも求人数のほうが多く、1倍を下回ると求人数より求職者のほうが多いことを示します。つまり有効求人倍率が高いほど「売り手市場=人材不足」であり、低いほど「買い手市場=就職が難しい」という状態になります。

また有効求人倍率は景気の動向を見るための指標としても活用されています。経済活動が好調になると積極的に人を雇い入れる=有効求人倍率が高くなり、反対に不景気になると雇用が低迷する=有効求人倍率も低くなるというわけです。

2.医療・介護・福祉職の有効求人倍率の推移 

ここからは、医療・介護・福祉業界の有効求人倍率(全国平均)について、長期推移(過去9年間)と新型コロナウイルス流行前後の動向を見ていきます。

長期推移(年次|2013年〜2021年)

医療・福祉職の有効求人倍率は常に全産業を上回り慢性的な人材不足
*パートタイムを含む常用
出典:厚生労働省|一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

全産業と比べると、医療・福祉のいずれの職種も高い有効求人倍率を維持している、つまり慢性的な人手不足の状態が続いていることがわかります。

とくに有効求人倍率の上昇率が高いのは、ホームヘルパー介護職員の「介護サービスの職業」、保育士福祉相談員ケアマネジャー医療ソーシャルワーカーなどの「社会福祉の専門的職業」、看護助手歯科助手など「保健医療サービスの職業」です。2013年と2021年を比較すると約2倍に増加しています。

一方、低下が目立つのが医師歯科医師薬剤師です。2013年には6.91倍と非常に高い有効求人倍率を記録しましたが、2021年には1.91倍まで低下しました。この背景にはさまざまな要因がありますが、一つには医師・薬剤師の不足を受けて医学部・薬学部の定員増加、養成計画が進められたことが挙げられます。

慢性的な人材不足が言及されることの多い看護師(保健師、助産師)は、長期推移で見ると低下傾向にあるものの、2021年時点で有効求人倍率2倍超えと依然として高い水準が続いています。

診療放射線技師臨床検査技師臨床工学技士理学療法士作業療法士言語聴覚士視能訓練士歯科衛生士歯科技工士などの「医療技術者」は長期推移での動きは比較的小さいものの、常に約2.5倍〜3倍と高い水準で推移しています。

栄養士あん摩マッサージ指圧師鍼灸師柔道整復師義肢装具士心理カウンセラー臨床心理士などの「その他の保健医療の職業」は、2013年から2019年にかけて約1倍から約2倍に上昇したのち、2020年以降は低下に転じました。

新型コロナウイルス流行前後の推移(月次|2019年4月〜2022年4月)

医療・福祉職の有効求人倍率はコロナ禍前をピークにその後低下
*パートタイムを含む常用(実数)
出典:厚生労働省|一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

新型コロナウイルスの流行前、2019年12月は全職種で高い有効求人倍率となりました。とくに「介護サービスの職業」においては過去最高の4.8倍を記録しました。

2020年に入り国内で新型コロナウイルス感染症が流行し始めると、全体として採用活動が停滞(求人数が減少)し有効求人倍率も大きく低下。2022年4月現在もコロナ以前の水準には戻らずに低い水準を維持しています。

3.有効求人倍率を見る際の注意点

地域差・職種差がある

有効求人倍率はニュースなどで公表される際、全国の平均値であることが一般的です。実際は都道府県単位でも集計がされており、地域差があります。

例えば2022年4月時点の保育士の有効求人倍率を見ると、最も高かったのは栃木県の​​5.3倍、最も低かったのは秋田県の1.46倍でした(出典:厚生労働省)。このように同じ職種でも地域によっては約4倍もの差が生じることがあります。

また有効求人倍率は複数の職種を一つにまとめた大分類で算出されるため、その内訳を見ると職種ごとの差もあります。例えば2019年度の「介護サービスの職業」の有効求人倍率の詳細を見ると、施設介護員が4.31倍なのに対し、訪問介護員が15.03倍とかなりの乖離があることがわかります(出典:厚生労働省)。

ハローワーク以外の求人・求職者は含まれない

有効求人倍率はハローワークに登録されている求人・求職者の情報をもとに算出されています。そのためハローワークには掲載せずに民間の求人サイトや自社サイトなどで募集している求人や、ハローワークに登録していない求職者の情報は反映されていません。そのため、実際の採用・求職動向とはやや乖離がある可能性もあります。

有効求人倍率を見る際には、これらの注意点も踏まえたうえで参考にしましょう。

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