目次
1.異業種転職は難しい?
異業種転職とは、これまで従事していた業種とは異なる業種に転職することです。そもそも業種とは、事業内容によって「医療・福祉」「情報通信」「建設」などに分けた分野を指します。異業種転職は大きく分けて2種類あります。
- 異業種同職種転職……業種は変わっても同じ職種のまま
例:製造業で営業職をしていた人が福祉業界に転職し、営業職として働く
- 異業種異職種転職……業種も職種も変わること
例:製造業で営業職をしていた人が福祉業界に転職し、介護職として働く
転職の難易度は世代によって異なる
その業界についての知識や経験がないことなどから「採用されるか」「業務についていけるか」など不安が生じやすい異業種転職。難易度は年代によって異なります。
20代
社会人としての経験は浅いですが、ポテンシャルで採用される可能性があります。まだ企業独自のやり方や風土に染まっていないこと、仕事を習得する早さなどが期待され異業種であっても採用されるチャンスは大いにあります。
30代
社会人経験を10年程度積み、徐々に実績も増えている30代は転職活動が活発な世代でもあります。これまでの経験や強みを踏まえ、「なぜ異業種へ転職するのか」を論理的に伝えられると説得力が増します。
40〜50代
十分な実績を積み、リーダーや管理職などの役職を任されることも増える年代です。異業種転職となると「なぜ異業種への転職を希望するのか」「経験やスキルをどのように活かせるのか」について重点的に聞かれます。マネジメント経験の有無や専門性をどのように発揮できるか説明できると、採用される可能性は大いにあります。
60代以降
60代以降の転職はほかの世代に比べると難易度は高いといえます。定年制や再雇用制度の有無についても確認が必要です。また、嘱託職員、パート、アルバイトなどさまざまな雇用形態があり、希望する働き方とは異なる場合もあります。異業種転職の場合はさらに「未経験」の立場になることもあるため、これまでの実績や社会的地位にとらわれず柔軟に挑戦する姿勢が大切です。
異業種転職のメリットとデメリット、年収は?
異業種転職するメリットには主に次の3つがあります。
異業種転職のメリットはなんといっても「やりたい仕事」ができる点です。憧れの業種で働くことでモチベーションのアップにつながり、やりがいを感じられることも多いでしょう。また、給与水準が高い業界に転職した場合は前職よりも給与や待遇が良くなることも考えられます。
中途採用は即戦力が期待されることも多いため、異業種転職となると採用枠が少ないことも。実際に働いてみたら期待していた業務内容や活躍ができないなどのギャップが生じる可能性もあります。また未経験の場合は即戦力になることが難しいこともあり、慣れるまでは前職を上回る給与がもらえないことも多いでしょう。
2.異業種転職で失敗しないコツ
業界研究をする
漠然としたイメージで転職すると、入ってみてギャップを感じたり失敗したりする可能性があります。挑戦したい業界について事前にしっかりと調べておきましょう。
上記に加えて業界に関する書籍やニュースを読んでおくと、最近の動向やその業界の課題が見えてくるでしょう。また、業界に精通している専門家のSNSをフォローするなど、日頃からアンテナを張ってチェックするのもおすすめです。
志望動機を考える
書類選考や面接でチェックされる志望動機。とくに異業種転職の場合「なぜ前職を辞めて、この業種に転職するのか」面接官に納得してもらえるような説明が必要です。
なぜその業種を選んだのかを裏付けるエピソードとして、これまでの経験や自身の強みを絡めて伝えると効果的です。
面接では業種を変えた理由に加えて、数ある企業の中からなぜその企業を選んだのか伝えるようにしましょう。その際、給与などの待遇面ばかりを理由に挙げると「うちでなくても同条件のところがあれば、そちらに行ってしまうのでは?」と思われる可能性も。その企業だからこそできる業務内容や理念に共感したなどの理由も伝えるようにしましょう。
自己PRのポイント
ポイントは、経験すべてを盛り込むのではなく応募先企業で活かせそうな実績や経験について重点的に書くことです。面接官にとって履歴書や職務経歴書は、これまで経験してきた業務内容が会社でどう役立つかの判断材料になります。
業種を超えて役立つスキルを持っている可能性もありますので、これまでの経験や強みがどう役立つのかという視点を持ってアピールしましょう。
>より詳しいポイントはこちらの記事で解説しています
3.医療・福祉業界への異業種転職はできる?
人手不足のため未経験でも挑戦しやすい
2021年に厚生労働省がおこなった調査によると、仕事はあるが従事者がいないため求人を出している状態(未充足求人)が、医療・福祉業界は全産業中3番目に高いという結果でした。
また、「転職者実態調査の概況」によると「転職者を採用する際の問題」の回答に「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」は医療・福祉が78.7%と最も高い結果でした。これらの結果からも、十分な労働者数がなかなか集まらない現状が伺えます。
医療・福祉業界では資格が必要な職種も多いですが、事務職や営業職、有資格者のサポート業務など無資格でもできる仕事もたくさんあります。慢性的に人手不足の職場も多いため、異業種転職できる可能性は高いです。
職業訓練で資格も取得できる
ハローワークの求職者を対象に「離職者訓練・求職者支援(通称:ハロートレーニング)」が各地で実施されています。医療、介護、リハビリ、保育、調理など資格取得のためにさまざまな訓練があり、希望に応じて選べます。
異業種への転職に不安を感じる人は、このような公共のサービスを利用して知識や資格を身につけてから転職するのもおすすめです。
>職業訓練についての詳細はこちらの記事で解説しています
異業種転職に成功した人の実例
ここからは、実際に異業種転職に成功した人の実例を紹介します。
ここがポイント!
異業種転職では高い確率で「なぜこの仕事に就きたいのか」が問われます。単なる憧れだけで応募したと受けとめられないよう、下調べのうえ覚悟もしていることを伝えましょう。
ここがポイント!
営業から美容の仕事へと大きくキャリアチェンジしていますが、営業時代に培った接客経験やコミュニケーションスキルは美容でも十分活かせます。持っている知識をアピールしているのは良い点です。また熱意をしっかりアピールできている点も、ポテンシャルに期待されて採用される可能性が高い20代では効果的といえます。
4.経験やスキルを異業種で活かそう!
異業種転職では、新しい環境や業務についていけるかなどの不安も多く感じることでしょう。しかし転職や中途採用が一般的となったいま、業種を変えて転職する人も少なくありません。
成長が早く順応性が高いことなどから、若い人のほうが転職に有利に働くことは多いです。しかし、いずれの年代においてもスキルや人柄が評価されて採用につながる可能性はあります。異業種でもこれまでの経験が役立つことは大いにありますので、勇気を持って一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。