日本の高齢化が進む中、介護職員の負担軽減や効率的なサービス提供が求められています。そのようなニーズに応えるべく、「スマート介護士」という民間資格が2019年に登場しました。
この資格は社会福祉法人善光会が運営する「サンタフェ総合研究所」によって創設されました。介護の現場でロボットや情報通信技術(ICT)を活用することで、業務の効率化を目指しています。
スマート介護士を取得すると、介護職員はロボット技術やICTを駆使したサービス提供を先導することができます。例えば、介護ロボットを活用することで移乗や排泄など身体に負担がかかる姿勢・動作が軽減され、見守り型ロボットといったICTを用いれば、利用者の起床・就寝の把握や行動の異変、状態の迅速な共有などが可能になります。
スマート介護士の資格を創設した社会福祉法人善光会の宮本隆史さんはなるほど!ジョブメドレーの取材に対し、「知識を身につけて仕組みを変えていこうとする人たちが増えれば、介護業界全体の底上げにつながる。すると流通が増えて価格も下がり、また新しい技術やサービスが生まれる好循環ができていく」と期待を語ります。
一方で懸念されるのは、「介護にロボットを活用すること」への現場の抵抗感や戸惑いです。ロボットやICTの導入は運営事業者の理解と現場職員の技術的なスキルが必要となります。スマート介護士の資格を持つ人はその懸念を和らげ、スムーズな導入をサポートする役割を担います。
「いきなり『ロボット入れましょう!』ではなく、まずは働く施設を分析して『そもそも何が課題になっているのか』を解きほぐすことが大切です」(宮本さん)
このような資格は介護現場に新たな風を吹き込み、技術の進歩を活かしたケアの形を創出する可能性を秘めています。介護業界の未来をリードするスマート介護士の役割はますます重要になるでしょう。