家庭的保育事業(保育ママ制度)とは?施設基準、働く職員と資格、保育内容について解説

保護者の就労中などに3歳未満の子どもを保育する家庭的保育事業。少人数を対象にアットホームな環境で保育をおこなう点が特徴です。家庭的保育者(保育ママ)になる方法と、施設基準、保育内容について解説します。

家庭的保育事業(保育ママ制度)とは?施設基準、働く職員と資格、保育内容について解説_KV

目次

1.家庭的保育事業(保育ママ制度)とは?

3歳未満の子どもを預かる認可保育事業

家庭的保育事業とは、保育者の自宅などで0〜2歳児を対象に保育をおこなうことです。待機児童の解消や児童が減少している地域における保育基盤を維持することが目的で、2016年に創設された「子ども・子育て支援新制度」において地域型保育事業のひとつに位置付けられています。

地域型給付の対象

「子ども・子育て支援新制度」の新設により、家庭的保育事業は市区町村の認可事業となりました。それに伴い、これまで各サービス種別ごとに実施されていた財政支援が一元化され、家庭的保育事業、小規模保育事業などは地域型保育給付の対象となっています。

認可保育所の主な種類
種類 対象年齢 給付金の種類
認可保育所 0〜5歳 施設型給付
地域型保育事業
家庭的保育事業
小規模保育事業
・事業所内保育事業
・居宅訪問型保育事業
0〜2歳 地域型保育給付
幼保連携型認定こども園 0〜5歳 施設型給付


家庭的保育事業をおこなう保育者は「家庭的保育者」または「保育ママ」と呼ばれています。預かる乳幼児の数は5人(保育補助がいない場合は3人)までで、家庭に近い環境で異年齢合同保育をおこなう点が特徴です。

厚生労働省がおこなった調査によると、全国の家庭的保育者の数は1,416人という結果でした(2021年時点)。保育所などに勤務する保育士の数が40万6,005人であるのに対し、非常に少ないことがわかります。また、地域によっては0人のところもあるなど自治体ごとにばらつきがあります。

2.家庭的保育事業の運営基準

家庭的保育事業の設置基準

家庭的保育事業は保育者の自宅や事業所用に契約したマンションなど児童の居宅以外でおこない、以下の基準を満たす必要があります。

基準
保育室の面積9.9㎡以上(児童3人を超える場合児童1人あたり3.3㎡以上追加で確保)
職員・乳幼児3人:保育者1人
※保育補助を置く場合、乳幼児5人以下に対し保育者2人
・調理員(外部委託の場合は不要)
・嘱託医
給食家庭的保育事業所内での調理または外部委託会社による提供、連携施設からの搬入、弁当持参 など


家庭的保育事業をおこなう場合、面積基準を満たす専用の部屋を設けるほか、十分な採光、照明、換気設備、衛生的なトイレなども必要です。乳幼児を遊ばせるための庭も基準に含まれていますが、付近にそれに代わる公園などがあればなくても運営可能です。

また、詳細な運営基準は自治体ごとに異なるため、各自治体のウェブサイトなどを確認してください。

連携施設が必要

家庭的保育者は自身の体調不良や休暇の際に保育を委託できるよう、保育所、幼稚園または認定こども園を連携施設として確保するよう定められています。

連携施設は家庭的保育事業では難しい集団保育の提供や、3歳以降の預け先としての役割もあります。ただし、離島や周辺に該当施設がないなどの理由により市区町村が認めた場合は、この規定が免除されます。

対象者

対象者は、保護者の就労や出産などにより保育の必要性が認められた3歳未満の乳幼児です。年度途中で3歳になっても年度末まで利用できます。また、過疎地やへき地などで近隣に幼稚園や保育所などの預け先がないなどの事情から、市区町村が認めた場合は3歳以降の受け入れも可能です。

利用条件は各自治体ごとに異なります。例として生後57日以上であることや、アレルギーがないことなどが設けられています。

保育時間

保育時間は一日8時間を原則とし、利用者の状況を考慮して定められています。延長保育や土曜保育の有無、休業日は家庭的保育者(事業者)によって異なります。

3.家庭的保育者になるには

家庭的保育者として働くには、市区町村の認定を受ける必要があります。認定に際して、下記いずれかの要件に該当しなければなりません。

家庭的保育者になる要件

  • 市区町村がおこなう研修を修了した保育士
  • 市区町村長によって保育士と同等の知識・経験を有すると認められる人で、乳幼児の保育に専念できる人かつ、児童福祉法で定める欠格事由に該当しない人

家庭的保育者になるためには、基礎研修と認定研修の2種類を受講する必要があります。

基礎研修

科目名 時間
導入 ・家庭的保育の概要 60分
家庭的保育の基礎 ・乳幼児の発達と心理
・食事と栄養
・小児保健Ⅰ・Ⅱ
・心肺蘇生法
合計6.5時間
家庭的保育の実際 ・家庭的保育の保育内容
・家庭的保育の環境整備
・家庭的保育の運営と管理
・安全の確保とリスクマネジメント
・家庭的保育者の職業倫理と配慮事項
・保護者への対応
・子ども虐待
・気になる子どもへの対応
合計10.5時間
研修を進めるうえで
必要な講義
・見学実習オリエンテーション
・グループ討論
合計2〜2.5時間
見学実習 2日以上
実施自治体の制度について(任意) 1〜1.5時間

認定研修

科目名時間
子ども家庭福祉(児童福祉・社会福祉関連)4時間
子どもの心身の発達と保育(発達心理学関連)8時間
子どもの健康管理(精神保健・小児保健関連)8時間
子どもの栄養管理(小児栄養関連)6時間
子どもの安全と環境(小児保健・養護原理関連)8時間
子どもの保育(保育原理・教育原理関連)6時間
保育実習(Ⅰ)
(連携保育所の3歳未満児クラス中心の実習)
48時間
保育実習(Ⅱ)
(連携保育所または認可保育所において実習)
※看護師、幼稚園教諭、1年以上の家庭的保育経験者を除く
20日


自治体によっては、保育士や幼稚園教諭、看護師など一定の資格を持っていることが要件となっているところや、資格がなくても研修を修了し市区町村長から認定を受ければ家庭的保育者となれるところなど要件は異なります。受講料は原則無料としている自治体が多いようです。

また、家庭的保育者になったあとも現任者研修の受講を義務付けている自治体もあります。

4.家庭的保育者(保育ママ)の仕事内容

子どもの保育と保護者対応

家庭的保育者の主な業務は、保護者の就労時間に合わせた保育の提供です。低年齢の子どもを対象とし、身の回りの世話や一人ひとりの発達に応じた保育をおこないます。

また、保護者とは対面での会話や連絡帳などの手段を通じてこまめにコミュニケーションを取ることも重要な業務の一つです。

上記以外にも市区町村の認可事業への移行に伴い、行政に対して収支や指導内容などの報告をおこないます。

家庭的保育者の一日

家庭的保育者は原則一日8時間となっていますが、保護者の就労時間に合わせて始業・終業時間を決めることができます

保育ママの一日

子どもを遊ばせる庭がない場合や地域との交流を目的として、近隣の公園や連携施設である保育所、児童館などに連れて行くこともあります。また、嘱託医の配置が義務付けられているため、定期的に健康診断や歯科健診も実施します。

家庭的保育者として10年間働く女性は、仕事の魅力とやりがいを以下のように話してくれました。

5.家庭的な環境で地域の保育を担う

保育者の自宅などのアットホームな環境で、少人数・異年齢合同保育をおこなう家庭的保育事業。待機児童の解消や、人口が少ない地域における保育需要を満たす役割が期待されています。一方で、家庭的保育者の人数には地域差が大きく、認知度が低いことも課題としてあります。

保育士や幼稚園教諭などの資格が活かせるほか、地域によっては資格がなくても、研修の受講と認定を受けることで家庭的保育者になることもできます。資格や子育て経験を活かしたい人は今後のキャリアのひとつとして考えてみるのも良いでしょう。

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保育士 / 保育補助 / 幼稚園教諭

参考

e-Gov|家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準

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