給食献立作成や食生活に関するアドバイスをおこなう栄養士
栄養士の仕事は、栄養学に基づいたバランスの良い献立を考えたり、調理方法などをアドバイスしたりするのがメイン。ただ、働く場所によって具体的な職務が異なります。栄養士の主な勤務先となるのは病院、福祉施設、小・中学校など。このような施設では、患者や入所者、児童・生徒に栄養や食生活に指導をおこなったり、予算を考慮しながら献立を作ったりしています。給食を施設内で準備する場合には、調理員の協力を得て実際に調理をおこなうこともあるようです。また、なかには食品会社や化粧品会社で調査研究をおこなっている人も。少数ではあるものの、栄養コンサルタントやフードコーディネーターとしてフリーで活躍している人もいます。
毎年1万7,000人~1万9,000人が栄養士に
栄養士免許が交付されている人の総数は、約96万人(平成23年度:厚生労働省)。ここ10年は毎年1万7,000人~1万9,000人ほどの人が新しく栄養士の免許を取得しています。また、上級の栄養士資格である管理栄養士の免許交付総数は、17万人以上(平成24年度:厚生労働省)。平成17年に管理栄養士の試験に合格したのは8,000人弱でしたが、平成24年には1万人を超えてきています。
これらの免許取得者の約半数が、実際に栄養士・管理栄養士として従事しています。栄養士・管理栄養士ともに資格があっても、実務経験が伴わないとしっかりとした仕事ができないのが実情。そのため、常に最新の知識を得るための勉強や、技能を高める努力が必要です。
栄養士の給与ってどのくらいが標準?
栄養士として働いている人の所得は、35歳前後(勤続年数7年)程度で約310~350万円(平成26年賃金構造基本統計調査:厚生労働省)でした。年齢や経験を重ねるうち、年収は増加傾向にありますが、勤務先によって異なります。
たとえば就職先が一般企業の場合、給与は職場によってまちまち。基本給があまり上がらない企業だと年収・給与も上がりにくいようです。けれども保健所や栄養教諭、学校などの公共機関の場合、給与は公務員の給与体系に準じます。公務員は定期昇給があり、給与の上昇率も高め。さらに年に2回の賞与もあるので、年収が高めになる傾向があります。ただ、公務員として働くのは募集自体が少なく狭き門。また病院や福祉施設も人気ですが、早番や夜勤など労働時間が不規則になりがちです。自分のライフスタイルに合った職場を選ぶということも大切になってきます。
栄養士になるには?転職で有利なポイントは?
栄養士になるには、大学や短大、専門学校など厚生労働大臣指定の養成施設を卒業する必要があります。栄養士の資格取得後、実務経験(卒業した養成施設によって異なる)を経ると、管理栄養士の国家試験への受験資格が得られます。栄養士として働きだしたら、キャリアアップの一環として管理栄養士の資格取得にもチャレンジしておきたいですね。管理栄養士の資格を取ると、企業によっては数千~2万円ほど資格手当が出る場合もあるようです。
栄養士の転職では、同じ業種を選ぶと志望動機のアピールがしやすいのでおすすめです。たとえば、介護施設で働いていた人が別の介護施設に転職する場合。「高齢者の栄養管理に慣れている」などと言えば説得力が増すでしょう。ただ、前職の勤務歴があまりに短いと「この人はまた辞めてしまうのではいか」と懸念される可能性も。まずは一つの職場でじっくりと仕事に向き合い、確かな実力を身に着けることが必要です。