保育の公定価格見直しで何が変わる?採用担当者が最低限押さえておきたいポイント

2026年度に向けて示された保育分野の公定価格見直しについて、採用担当者が押さえておきたいポイントを整理しました。過疎地の小規模施設への支援や専門職の活用、処遇改善など採用活動に影響する制度変更をわかりやすく解説します。

保育の公定価格見直しで何が変わる?採用担当者が最低限押さえておきたいポイント

目次

こども家庭庁は2026年度予算案で、保育分野の公定価格見直しについての方向性を示しました。見直しの背景には少子化や人材不足による、保育園経営を取り巻く環境の厳しさがあります。

保育園の経営環境は地域によって大きな差があります。こうした状況を踏まえ、こども家庭庁は全国で質の高い保育を提供し続けることを目的に「保育政策の新たな方向性」を定めています。今回の公定価格の見直しもこの考え方に基づいています。

1. 新設される加算・拡充される制度

過疎地の定員割れ施設に支援

過疎地・人口減少地域の小規模施設の運営を維持するための新加算として「特別地域保育体制確保対応加算(仮称)」が創設されます。

この加算は、定員割れが生じている施設の運営を支え、地域の保育機能を維持することを目的としています。対象となるのは過疎地・人口減少地域の定員20人規模の施設で、利用者が15人以下になったケースです。

過疎地・人口減少地域の施設を支えることは、働く環境の維持にもつながります。なお、加算対象になるには、保育所の多機能化や他園との連携などの取り組みが必要です。

ICT推進に加算

今回の見直しには、業務負担軽減を目的とした新たな加算や支援も盛り込まれています。具体的には、ICTで業務効率化を進める施設を対象に「保育ICT推進加算(仮称)」が新設される予定です。加算の対象となるには、保育計画・記録、保護者連絡、登降園管理、キャッシュレス決済に対応できるシステムなどの活用が条件となります。

なお、この加算は市町村が国のDX基盤に参画していることが前提となります。また、「ここdeサーチ」の情報を最新化していることや、同年度にICT導入補助を受けていないことも要件となります。

障害児や医療的ケア児対応に関する制度・加算

障害児や医療的ケア児の受け入れを進めるため、保育士みなし特例の対象を拡大します。従来は看護師・保健師が対象でしたが、理学療法士作業療法士言語聴覚士心理職なども保育士とみなして配置できるようになります。

また、療育支援加算を見直し、新たに理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理職などを配置するための費用を算定できるようにします。配置された職員は障がいの特性に対応した保育の提供や、子どもが利用する障害児支援の事業者との連携、家族への助言などを担当します。

2. 新設・見直される減算

新設される減算

2026年7月から、公定価格から減算される仕組みが新たに設けられます。減算の対象になれば採用費や人件費を圧迫してしまうため、施設の運営体制を確認することが重要です。次のようなケースが減算の対象になります。

  • 安全計画の策定などをおこなっていない場合
    安全計画の策定や、定期的な研修・訓練、計画の見直しなどをおこなわない場合に基本分単価から減算する

  • 経営情報などの報告をおこなっていない場合
    都道府県への経営情報の報告や、修正の指摘に対して適切に対応しない場合に基本分単価から減算する

見直される減算

年齢別配置基準を下回る場合の減算については、適用するタイミングを見直します。従来は月末に急な退職があった場合でも、翌月から減算が適用されていました。人材確保には時間がかかることを考慮し、2026年度からは月の15日以降に退職し、基準を満たさなくなる場合、減算はその翌々月からの適用とします。

3. 採用判断の前提として押さえておきたい変更

保育士等の処遇改善

2026年度も保育士などの処遇改善が実施されます。これは人事院勧告を踏まえたもので、公定価格において人件費を5.3%引き上げる内容です。処遇改善が繰り返し進められた結果、こども家庭庁の資料によると、2023年の発足以来の引き上げ幅は21.2%となりました。

今回の公定価格見直しはこの処遇改善を前提としているため、人員計画を策定する際は、エリア内の相場に見劣りしないよう賃金水準の上昇を踏まえた給与設定が求められます。

3歳児配置基準の経過措置が終了

3歳児の年齢別配置基準は2024年度に20:1から15:1に改正されました。これまで経過措置として20:1での配置が認められていましたが、この経過措置は2027年度末で終了します。

配置基準を満たすためには、人員確保を前提とした採用計画を立てる必要があります。いつまでに何人必要になるのかを、中長期的に整理しておくことが重要です。

4. 制度変更を踏まえた採用活動を

今回の公定価格見直しでは、過疎地の小規模施設への支援や専門職の活用、処遇改善など、施設運営や採用活動に影響する変更が多くあります。そのため、制度の変更内容を把握したうえで、施設の立地や規模にあわせ、どのような影響があるか整理することが重要です。

また、新たな人材採用が必要になる場合は、地域の賃金相場や他園の募集動向を確認しながら、人員体制や条件面を検討していく必要があるでしょう。

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参考

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