目次
1.夜勤専従とは
夜勤のみの働き方のこと
夜勤専従とは、夕方から早朝までなど夜間のみに勤務する働き方を指します。夜間の看護ニーズがある一方、家庭の事情や本人の体調などで夜勤を避けたい職員もいるため、夜間の人員確保に課題を抱える病院も少なくありません。こうした課題の対応策として、夜勤専従を導入しているところもあります。
夜勤専従には、主に2つの働き方があります。ひとつは2交替制で夕方から翌朝までの16時間勤務とし、間に休憩・仮眠時間を設ける方法です。ふたつめが3交替制です。夕方もしくは深夜からの8時間勤務で休憩時間を1時間とする方法です。
変形労働時間制によってできる働き方
通常の労働時間は、労働基準法により1日8時間・週40時間までと定められています。しかし、夜勤などの長時間勤務が発生する職場では、1ヶ月単位などの変形労働時間制を採用することで、週40時間を超えなければ1日8時間以上の勤務が可能になります。
変形労働時間制をとる場合、従業員と労使協定を結ぶ必要があります。
日勤との違い
日勤との違いは、主に職員数と業務内容、忙しさにあります。夜勤は日勤と比べて少人数体制のため、一人ひとりが広範囲の業務をこなす必要があります。また、夜間は日中におこなうような検査や問診補助などの業務はありません。勤務先によっては夜間のほうが時間に追われることなく落ち着いて働けるところもあります。しかし、人員が限られているため、緊急時はより迅速な対応を求められるという側面もあります。
2.夜勤専従のメリット・デメリット
メリット
給料が高い
労働基準法により、22時〜朝5時までの労働には割増賃金を支払うことが義務づけられています。1時間あたり1.25倍の賃金となるほか、勤務先によっては夜勤手当として1万円〜1万5,000円などが別途支給されるため、給料が高くなります。
プライベートを充実できる
夜勤明けの日とその翌日は休みとしている病院も多く、勤務日数が週に2〜3日など少ないことが一般的です。そのため、平日の日中に用事を済ませたり、ジムや習い事に行くなどプライベートを充実させられます。
委員会や研修に参加する必要がない
夜勤専従の場合、日中に開催される委員会や研修などに参加する必要がなく、看護業務のみに集中できます。
人間関係の悩みが少ない
夜間は日中と比べて職員数が限られているため、人間関係に悩まされることが少なく、シフト次第で苦手な人と顔を合わせる機会を減らせる点もメリットです。
デメリット
生活リズムが崩れやすい
夜勤のある日とない日を交互に送っていると生活リズムが不規則になり、体調不良につながることもあります。また、職員数や夜勤希望者が少ない職場では、代わりの人員確保が難しいことから休みづらい可能性があります。
キャリアアップ・昇給しづらい
夜勤専従は委員会や研修などに参加不要のため、看護業務に専念できる点がメリットです。一方、病院によっては業務の範囲に限りがあり、結果的にキャリアアップや昇給につながらないこともあります。
ある程度の経験が必要
日中よりも少ない人員で業務をおこなうため、緊急時には判断力が求められます。そのため、病院勤務3年以上などの経験が必要とされる職場もあります。
3.夜勤専従のシフト例と仕事内容
シフト例
夜勤専従として2交替制(16時間勤務)、3交替制(8時間勤務)の場合、シフトは次のようなパターンが考えられます。

日本看護協会では、夜勤がもたらす健康上・業務上のリスクや悪影響を考慮し、夜勤専従者の勤務時間の上限を月144時間までと推奨しています。この上限に当てはめると、2交替制の場合は月9回程度、3交替制の場合は月18回程度の勤務回数となります。
また、同協会では夜勤専従者の負担を軽減するための措置や対策を十分にとったうえで、勤務者自身の選択を尊重して夜勤をおこなうよう呼びかけています。
仕事内容
夜勤専従として働く看護師の仕事内容は、専従ではない夜勤勤務者とほぼ同じです。主な業務は以下のとおりです。
- 病棟巡回
- 看護記録
- 点滴交換
- 配薬
- ナースコールへの対応
- おむつ交換
- 排泄介助
夜間救急を受け入れている病院の場合は上記以外に、緊急入院患者の受け入れなども発生します。
2交替制の夜勤専従として働く場合の一日の流れは、次のようになります。

4.夜勤専従はニーズのある働き方
夜勤専従は夜勤を専門におこなう働き方のことです。多くの病院が夜間の人手不足に直面しており、夜勤専従のニーズは高まっています。夜勤手当や深夜割増賃金が加わるため、給料が高くなるメリットがあります。一方、少人数で業務をおこなうため責任を重く感じたり、体調を崩しやすくなったりするデメリットもあります。夜勤専従の働き方を選ぶ際は、給料以外にも業務内容や人員体制なども確認するとよいでしょう。
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参考
- 公益社団法人 日本看護協会|夜勤・交代制勤務に関するガイドライン