
1.診療情報管理士ってどんな仕事?
診療情報管理士は、医療事務と混同されがちですが仕事内容は異なります。医療事務は、診療報酬明細書の作成や受付業務が主な仕事。一方で診療情報管理士は、カルテの情報を記録し管理するのが主な仕事です。
記録する内容は、医師の医療内容や検査記録、看護記録など。これらは法律によって一定期間保存する義務があり、記録された情報の点検や保管も担います。
また、コーディング(ICDコーディング)という業務も診療情報管理士を説明するうえはで欠かせません。
これはICD(国際疾病分類)という基準に従ってカルテに記載された病名を整理していくもので、専門性が必要とされる業務です。診療情報管理士は、診療情報を扱うスペシャリストなのです。
診療情報管理士が働く場は、比較的大きな病院がほとんどです。給与はほかの事務系職員と同等レベルですが正職員での求人が多く、職場としては安定的。看護師のような夜間勤務や、患者さんとの直接の接触がないのも特徴として挙げられるでしょう。
2.資格は必須? 通信でも取得可能?
「診療情報管理士」は四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)と医療研修推進財団が共同で認定している資格です。
しかし、実は診療情報管理士業務に当たる際には必ずしも資格が必要というわけではありません。
まずは医療事務などの仕事をしながら診療情報を収集・管理・分析する現場経験を積んでいき、診療情報管理士としてを目指していくことも可能です。
とはいえ、専門性が求められる職種であることは間違いありません。資格を取得することで、より業務に対しての理解を深められるでしょう。
資格試験を受けるには、定めらたカリキュラムを修める必要がありますが、通信でも受講できるため、働きながらの取得も目指せます。
3.認定試験の概要
診療情報管理士認定試験の詳細は、毎年7月に公表予定となっています。
詳細は必ず受験する年の公示でご確認ください。
【実施日程】
年1回(2月中旬)
【受験料】
受験料:10,000円
【受験資格】
下記のいずれかを満たす者
・日本病院会診療情報管理士通信教育(2年制)を修了した者
・日本病院会指定大学および指定専門学校で指定単位を修得し、卒業した者
通信講座についての詳細は、日本病院会 診療情報管理士 通信教育ホームページをご覧ください。
また2020年6月現在、認定試験の受験要件を満たす指定学校は、大学が23校、専門学校が54校存在します。
■認定試験の合格率
令和2年2月9日に実施された第13回診療情報管理士認定試験の結果は、下記のとおりでした。
・受験者総数 3,169名
・合格者数 1,961名
・合格率 61.9%

4.診療情報管理士の将来性や職種としての魅力は?
さて、診療情報管理士の将来性はどうなのでしょうか。
日本では2003年から、「DPC(1日当たりの包括医療制度)」という医療費の支払いに関する新制度が導入されました。従来の医療費の支払いは「出来高払い方式」で、医療行為の一つひとつに料金が発生していました。
一方でDPCは「病気の種類」によって1日当たりの医療費を計算するというもの。つまり、さきほど説明したコーディングが密接に関係します。まだ新しい制度ですが着実に拡大しており、2016年4月には全一般病床の約55%が導入するにいたりました(平成28年度診療報酬改定の概要)。診療情報管理が求められる場は増えているといえるでしょう。
また、診療情報管理士の取り扱う情報や統計資料は、研究機関や地域社会などでも活用されているケースもあります。カルテ開示要請などの増加も予想され、診療情報管理士が受け持つ範囲は拡大する見込みです。
こうした背景から現在、医療事務系の職種のなかで診療情報管理士を目指す人が増えています。カルテを読み取る医学知識、記録の正確さや情報管理の適正さが要求され責任重大な仕事ですが、その分やりがいがある職種といえるでしょう。
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