大学を卒業して保育の道へ

——保育士になるまでの流れを教えてください。
原田さん:わたしは4年制大学で「保育学・幼児教育学」が学べる学部にはいったので、そこで保育コースを選択しました。その後、大学3年生のときに実習で保育園の様子をみて、「保育士の道に進もう」と思って採用試験を受けることにしました。
その後は公立の保育園に勤める「公務員保育士」をめざしていたので、地方自治体が9月に実施する採用試験に向けて勉強しました。もし公務員試験に落ちたら、私立(民間)の保育園を受けようかなと思ってましたね。
——「公務員保育士」の試験について教えてください。
まず筆記試験があって、合格したら別日に面接と簡単なピアノのテストがありました。ほかの自治体では、実際に子どもたちに保育をおこなう試験もあったみたいです。
公立保育園と私立保育園の違いはなに?
——公立の保育園を受けようと思った理由はありますか?
やっぱり公務員なので、給与や雇用が安定しているということですね。実際に勤続年数も長い人が多くて、40代や50代の方もたくさんいる環境でした。また、そのようなベテランの保育士の方から得られることがたくさんあるかなと考えて選びました。
——給与や雇用形態以外に私立の保育園との違いはありますか?
私立の保育園のほうが教育方針や保育の内容に園ごとの特色が色濃く出ると思います。公立の保育園は自治体の方針によって決まるので。
——あえて私立の保育園を選ぶ人もいるんですか?
私立の保育園を選ぶ人もいると思います。たとえば「自分は音楽に力を入れた保育がしたい」というように自分の保育観に合った園を選んだり、あとは実習に行って、自分に合った園にそのまま就職したりする人もいます。
——保育士になって良かったこと・大変だったことはなんですか?
これは公立・私立関係なく、保育士の仕事は子どもの成長をそばで見ることができるという点がいちばんのやりがいでした。
頑張れば頑張るほど子どもの成長につながったり、信頼関係をつくればつくるほど「先生好き」って言ってくれたり、自分がやったことがちゃんと返ってくるんですよね。それが自分のエネルギーになっていたので、保育の仕事はすごく楽しかったなぁ。
ただ、園によっても違うと思うんですけど、子どもたちと一緒に遊ぶ制作物の準備とか、書類の記入とか、どうしても持ち帰りの仕事が多くなってしまうのは大変でしたね。
保育士の1日を公開

——保育園の1日の流れについて簡単に説明をお願いします。
朝7時半から8時半までは、早朝保育があります。ご両親の仕事の都合で早朝に預かっている子たちがいるので、少人数なんですけどいろんな学年の子たちと過ごします。
9時半からはクラスごとに分かれた保育がはじまります。主活動と呼ばれているんですけど、内容はそのクラスの子どもの様子によって変わります。
0-1歳くらいは自由遊びが中心です。2歳後半から3歳くらいになってくると少しずつ集団活動をやるようになってくるので、制作をしたり、歌をうたったり、集団遊びをしたり、子どもたちの発達や興味に合わせた活動をします。
その後、乳児クラスであれば11時くらいから給食を食べはじめます。3歳くらいまではそのあとにおひるねの時間があります。起きたらおやつです。
——お昼たべて、おひるねして、起きて、おやつ?
そうです(笑)。子どもたちは3食だけでは栄養が足りないのでおやつをはさむんですよ。実は乳児クラスは朝にもおやつタイムがありますし。
——保育園のおやつって何をたべてるんですか?
栄養士さんが毎日のメニューを決めてくれていて、給食もおやつも手作りでした。おやつはゼリーとか、いろいろありましたけど、わたしがびっくりしたのは「マカロニきなこ」という、その名のとおりマカロニにきなこをかけたおやつがあって。
——・・・それはおいしいんですか?
それがめっちゃ人気なんですよ。中には苦手な子もいますけど、好きな子はいっぱい食べます。

ゆでたマカロニに砂糖ときなこを適量かければできあがり
——おやつを食べたあとはどうなりますか?
おやつの後は自由保育です。まだ食べている子もいるので。早い子は15時半くらいからお迎えがきて降園していきますね。
その後、だんだん人数が少なくなってきたらいろんな学年の子たちが一緒になって、夕刻保育にはいっていって、18時半には終わります。
◆とある保育園の1日
9:30 クラス保育(主活動
11:00 お昼ごはん
12:30 おひるね
14:30 おやつ
15:30 降園〜夕刻保育
18:30 閉園
入職前の準備に関するアドバイス

——最後に、入職前や入職後にやっておいて役に立ったことはありますか?
みんな実習で事前に何かしらの保育は経験すると思うんですけど、遊びのレパートリーは増やしておいて損はないです。ちょっとした空き時間に子どもたちとパッと遊べるものがあるとすごく役立ちます。
乳児クラスではよくアンパンマンの手遊びや『だるまさんが』のペープサート(紙に描いた人や動物をつかった人形劇)をやったり、幼児クラスでは手遊び歌をやったりしていました。同じ手遊びでも、速さを変えるだけで子どもたちは喜びますね。
とくに小道具は働きはじめてからなかなか作る時間が確保できないので、入職前に幅広い年齢でも楽しめて、誕生会とかでも使える汎用性の高いものを作っておくといいと思います。
——原田さん、ありがとうございました!