1.幼稚園教諭の役割とは
2.一種免許状、二種免許状、専修免許状の違い
2-1.免許を取得するまでのルート
2-2.二種から一種への転向はできる?
2-3.免許の更新は必須?
3.幼稚園教諭の仕事内容
3-1.ピアノを弾ける必要はある?
3-2.幼稚園以外での活躍の場は?
4.幼稚園教諭のやりがい・つまずきやすいところ
5.幼稚園教諭の給与
6.幼稚園教諭に向いている人は?
1.幼稚園教諭の役割とは
幼稚園教諭の役割は、公立または私立の幼稚園にて、満3歳児から就学前の子どもたちに教育をおこなうことです。「幼稚園教員」や「幼稚園の先生」とも呼ばれます。
幼稚園のカリキュラムは「幼稚園教育要領」と、各幼稚園の教育方針にもとづいて作成されており、毎日そのカリキュラムに則って子どもたちと関わり活動しています。
保育施設とは違い、子どもたちを預かる時間は標準で4時間となっており、その時間はクラス担任として子どもたちと過ごすことが基本です。
「子どもと遊ぶ」というイメージが強い幼稚園教諭ですが、それ以外にも、毎日の教育カリキュラムの作成、活動のための準備、行事の企画や進行、職員会議、書類作成、保護者対応、送迎バスの添乗業務、掃除など、仕事内容は多岐に渡ります。
幼稚園教諭は、幼児期の成長をサポートする重要な仕事であると言えるでしょう。
2.一種免許状、二種免許状、専修免許状の違い
幼稚園教諭免許の種類は「一種免許状」「二種免許状」「専修免許状」の3種類に分けられます。
主に大学で取得できるのが一種免許状、短大や専門学校で取得できるのが二種免許状、大学院で取得できるのが専修免許状となり、各学校で所定の課程を修了すると、卒業と同時に免許が取得できます。
一種免許状と二種免許状の主な違いは、「学んだ時間」と「園長先生になれるか」という2点です。園長先生になるための条件は次の2パターンです。
園長先生になるための条件
- (1)専修免許状または一種免許状を持っていて「教育に関する職」で5年以上の経験がある
- (2)教育に関する職で10年以上の経験がある
現場の幼稚園教諭として働くうえで、免許による仕事内容の違いはありません。誰が一種免許を持っていて、誰が二種免許を持っているのか、ということは働いていてもほとんどわかりません。
ただし、幼稚園によっては一種免許と二種免許で給料に差をつけている園もあります。少しでもいい待遇で働きたい、将来的に園長職を目指したいという考えがある人は、一種免許状や専修免許状を取得しておくとよいでしょう。
2-1.免許を取得するまでのルート
一種免許、二種免許の違いはありますが、幼稚園教諭の免許は大学、短大、専門学校の教育課程を履修することで卒業と同時に取得することができます。
教育・保育系の学校では、幼稚園教諭免許と保育士資格、幼稚園教諭免許と小学校教諭免許など、2種類の免許や資格が取得できるようなコースになっていることがほとんどです。将来の働き方を考え、学生のうちに効率よく必要な資格免許を取得しておくとよいでしょう。
また、認定こども園法が改正されたことで「幼保特例制度」が設けられました。
全国で認定こども園が増加していることに伴い、保育士資格しか持っていない場合でも、保育施設における実務経験が3年以上(かつ勤務時間の合計が4,320時間以上)あり、大学において修得することが必要とされる8単位を修得し、各都道府県教育委員会の教育職員検定に合格することで、あとから幼稚園教諭免許を取得することも可能となっています。
幼保特例制度は期間が設けられているので、保育士資格しか取得していない社会人の方はぜひこの機会に取得しておきましょう(2025年度末までの延長が決定しています)。
2-2.二種から一種への転向はできる?
すでに二種免許を取得している場合、条件を満たしていれば一種免許をあとから取得することも可能です。
幼稚園教諭として5年以上の勤務経験があると、年数に応じて大学等で必要な単位を履修することで一種免許の取得ができます。必要な単位数は、勤務経験が長いほど少なくなります。具体的な勤務年数と必要単位数は各自治体に問い合わせてみましょう。
2-3.免許の更新は必須?
2022年の教育職員免許法の改正により免許更新制が廃止されたため、2009年以降導入されていた更新講習受講の必要はなくなりました。2022年7月1日時点で有効な教員免許状を持っている場合は、手続き不要で有効期限のない免許状となります。有効期限を超えていた場合でも、都道府県教育委員会に再授与申請手続きをすることで、再度交付されます。
3.幼稚園教諭の仕事内容
幼稚園の教育時間は基本的に4時間とされているので、園によって多少前後はしますが、子どもたちが登園している9時~13時、9時半~13時半頃になります。
管理職を除く一般的な役職は、クラス担任、副担任、フリー職員の3つに分けられていることが多く、子どもたちが登園している時間は基本的に子どもたちと過ごします。
1日の流れとしては、朝の会、主活動、自由遊び、昼食、帰りの会という流れで組まれていることが多いですが、活動内容は園によって特色があり、リトミックや英語、水泳、読み書き計算、鼓笛などを取り入れている園もあります。
子どものお世話をしたり、カリキュラムに沿って指導するほか、子どもの登園前には園内や園庭の掃除、設備点検、送迎バスへの添乗業務、降園後は書類の作成や職員会議、教材準備など、多くの仕事があります。
最近では子育て支援の一環として多くの園が延長保育を行っているので、延長保育の当番として夕方まで子どものお世話をすることもあります。
3-1.ピアノを弾ける必要はある?
保育園ではピアノを弾かない園も増えてきていますが、幼稚園ではピアノを弾くことが必要とされる園がまだ多くあります。
毎日弾く朝の歌、昼食の歌、帰りの歌のほか、季節の歌や、誕生日会、卒園式などの行事でピアノ伴奏の担当が回ってくることもあり、ピアノスキルは必須と言えるでしょう。
そのため、幼稚園の就職試験では実技試験としてピアノを取り入れている園も多く見られます。ピアノの代わりにギターなど、他の楽器でも代用可としている園もあるようですが、まだまだ少ない印象です。幼稚園教諭を目指す場合は、早い時期から練習をして対策できるとよいですね。
3-2.幼稚園以外の活躍の場は?
幼稚園以外での活躍の場としては、幼児教室や学童施設、子ども向け施設、ベビーシッター等が挙げられますが、いずれも幼稚園教諭免許は必須とされないことも多いです。
最近では認定こども園(幼稚園と保育園を合わせた施設)が増えていますが、就職する場合は幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を取得している方が優先されます。
幼稚園以外で活躍できる場は少ないため、現代のニーズに合わせて保育士資格も取得しておくと選択の幅が広がります。
4.幼稚園教諭のやりがい・つまずきやすいところ
幼稚園教諭のやりがいは、3歳から就学前の子どもたちの成長に大きく関われることです。毎日たくさんの子どもたちに囲まれ、新鮮で楽しい日々を過ごすことができます。
保育園とは違って1人または2人担任と少人数でクラスを担当するので、クラスの子どもたちとの団結力が深まり、1年を通してさまざまな行事を経験したり、思い出を共にしたりと、成長も一段と大きく感じられるでしょう。
逆に言えば、1人で多くの子どもたちを安全に預からなければいけないということでもあり、プレッシャーを感じてしまったり、一人ひとりの子どもと丁寧に関われなかったりすることに理想とのギャップを感じることがあるかもしれません。
国の設置基準ではおおむね子ども35人に幼稚園教諭1人とされていますが、子ども35人を大人1人で見ることは容易ではありません。加えて体力を使う仕事ということもあり、年齢とともに離職する方も見られます。
5.幼稚園教諭の給与
2023年11月時点でジョブメドレーに掲載されている幼稚園教諭の給料は次のとおりでした。なお残業手当や賞与など月によって変動する金額は含みませんので、実際に支給される金額はこれよりも高くなる可能性があります。幼稚園教諭の給料の一例として参考にしてください。
下限平均 | 上限平均 | 総平均 | |
---|---|---|---|
パート・アルバイトの時給 | 1,118円 | 1,274円 | 1,196円 |
正職員の月給 | 20万793円 | 23万8,482円 | 21万9,638円 |
正職員の年収 | 281万1,108円 | 333万8,744円 | 307万4,926円 |
6.幼稚園教諭に向いている人は?
幼稚園教諭は、毎日子どもの発達を考えてお世話をしたり、教育的指導をしたりする仕事です。そのため、子どもと関わることが好きで、成長面をサポートしたいという情熱を持った人が向いていると言えるでしょう。
また大勢の子どもたちに話をしたり、活動を引っ張っていったりと、クラス全体をまとめていくリーダーシップも求められます。
毎日の保護者対応や、行事のときには子ども、保護者、職員の前で話をする機会もあります。コミュニケーション能力を身につけ、人前で話すことに慣れていると安心ですね。
最初から完璧に仕事をできる人はいません。働きながら幼稚園教諭としてのスキルアップを目指していける向上心が大切です。
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