
わかば薬局港南台店のみなさん:写真中央が髙橋さん
入居者様との距離の近さ。それが在宅薬剤師の魅力

髙橋さんは、在宅事業部 部長と首都圏エリアマネージャーを兼務している
ーそもそも、在宅医療における薬剤師にはどのような役割があるんでしょうか?
薬剤師というと「薬局で薬を渡してくれる人」という印象が強いですよね。
ですが、在宅薬剤師は医師の訪問診療に同行し、老人ホームなどの高齢者施設や患者様の自宅を訪問するんです。そこで直接お薬をお渡ししたり、患者様の経過を観察したりするほか、健康相談なども受けます。
ちなみに、わかばでは、基本的には施設への訪問診療同行をおこなっていて、自宅へ訪問することはほとんどないんです。
ーわかばは、なぜ在宅医療に力を入れ始めたんですか?
介護保険法が制定される以前の1997年に、わかばの社長が老人ホームを訪れる機会があったんです。
そこで社長が見たのは、入居者様に処方された薬のシートを介護スタッフがハサミで切り分けて個人に配布していくという光景で、かなりの危機感を覚えたそうです。
この環境は絶対に変えなくてはならない! と。
ーたしかに、薬の渡し間違いなども発生しそうで危険ですね。
そうなんですよね。
そこで、わかばがその施設の一包化までの調剤を全て引き受け、お薬を届けるような仕組みを作りました。
そうすることで、看護師や介護スタッフの服薬管理に充てていた時間が大きく減り、入居者様と接する時間が増え、各々の専門業務をいままで以上に集中して取り組めるようになったんです。
さらにそれだけにとどまらず、「この方にはこのお薬がいいんじゃないか」「こんな食生活にしてみてはどうだろうか」と、入居者様や介護スタッフ、医師や看護師などとも積極的にコミュニケーションを取るようにしていきました。

多職種とのやり取りの様子
ー現在の訪問診療同行や居宅療養管理指導のようなものですね。
そうですね。いまで言う訪問診療同行の前身のような業務を時代に先駆けてやっていたそうです。
その後、介護保険法が制定され、世の中的にも薬剤師による在宅医療が広がっていきました。
ーいまでは在宅医療に関わる薬局が増えてきたと思いますが、そのなかでも「わかば」ならではの特徴はありますか?
施設訪問する薬剤師と入居者様の関係って、希薄なイメージを持たれることが多いんですよね。
ですが、うちは決してそんなことはなく、むしろ積極的にコミュニケーションを取っていきます。そうすることで、入居者様の状態をしっかり把握できますし、信頼関係が構築され、色々な健康相談をしてもらえたりするんです。
外来調剤薬局と違って、入居者様との距離がすごく近いんです。それがなによりの魅力であり、やりがいですよね。
ー例えばどのようなコミュニケーションをおこなうんですか?
実施していることのひとつとして「あっかんべぇ運動®️」があります。
入居者様の健康状態に変化がないかどうかを確認するために、入居者様に「あっかんべぇ」をしてもらいます。そうすることで舌や口腔内、まぶたの内側などの状態を観察できるんです。
このように日頃から一人一人の状態を把握することで、「あれ、何か普段と違う」という気づきが得られるんです。そういう運動を一緒におこなったりして、入居者様との心の距離を近づけています。
ほかには、入居者様とのコミュニケーションではないんですが「介・看・薬連携」というものをすごく意識していますね。

「実際はこういう感じで…」と、わかばの人事担当の大久保さんと再現
ー「かいかんやくれんけい」というのは?
“介”護職・“看”護師・“薬”剤師の3職種での連携のことです。それぞれ多職種同士の連携を密に取れるような体制をつくっています。
一般的な在宅の現場において、看護師と薬剤師で話すことは多いんですが、介護スタッフと薬剤師で話すことは少ないんです。医師と介護スタッフも同じく少ないですね。
ですが、入居者様のことを一番理解しているのは介護スタッフなんです。
なので我々が各職種の間に入り込んで、調整役になれたらなと。

一包化監査支援装置:わかばでは最新鋭の機器が取り入れられている
ーなるほど。在宅業務の1日の流れを教えてください。
ざっくり説明すると、午前中に施設の訪問診療同行をおこなって、午後に調剤・さまざまな書類の作成・次の訪問の準備。といったパターンが多いですね。
ー1日に何施設くらい訪問するんでしょうか?
薬剤師によっては午前中に1施設訪問して、午後は別の施設へ。というパターンもあるんです。
基本的には1施設に半日かけるので、訪問するのは多くても2施設までですね。
ー1施設につき、何名くらいの入居者さんを視ていくんですか?
グループホームなどの比較的小規模な施設では20〜30名ほど。
大規模な施設だと100名以上になることもあります。
ただ、1人の薬剤師が全員を視るわけではなく、何人かで分担するんです。
だいたい1人の薬剤師につき、1施設あたり30〜50名ほどでしょうか。

施設の在宅現場での業務の様子
ー在宅薬剤師のあり方と言いますか、必要な資質や能力は?
「多職種とスムーズに連携を取れるか」という点につきますね。
ーコミュニケーション能力ということでしょうか?
たしかにコミュニケーション能力が高ければ、多職種の方々とも仲良くなれると思います。
ですが、それだけではダメなんです。
多職種とうまく情報を共有して連携させる折衝能力やスケジュール管理能力。しっかりとしたエビデンスのある資料を探してくるリサーチ能力。自分の考えや提案を、多職種にちゃんと理解や協力をしていただくためのプレゼン能力。
そういった様々な能力を複合的に駆使していかなければいけないんです。
とても難しそうに聞こえるかもしれませんが、わかばは教育体制も整っており、業務をこなしていくなかで自然と身につけていくことができます。
わかばが目指す「薬剤師の3本柱」

わかばではプロフェッショナルを育てるための研修が入念におこなわれる
ーわかばの教育体制について教えてください。
会社の教育理念は「変化を前向きに捉えることができる人の創造」です。
薬局業界には調剤報酬改定が必ずあります。その調剤報酬改定には「国が薬剤師に対して期待していること」がメッセージとして隠れていると、わかばは考えています。
なのでそのメッセージを前向きにとらえて、その変化に対応できる薬剤師を育てていきたいんです。
ーなるほど。具体的な教育方針なども教えていただけますか?
まず「薬剤師」と一括りにしても、その業務は意外と幅広いんです。すべてを完璧に1人でこなすには限界があるので、わかばの薬剤師にはそれぞれの分野でスペシャリストを目指してもらいたいと考えています。
その分野というのが「薬局オペレーション薬剤師」「在宅薬剤師」「かかりつけ薬剤師」の3つ。この3つを目指すべき3本柱として掲げています。
ー「在宅薬剤師」はこれまでのお話でわかったんですが、あとの2つの分野についても教えてもらえますか?
「薬局オペレーション薬剤師」は、薬局と人の管理をおこないます。マネジメントに特化した存在ですね。私が担っているような複数の薬局と人を管理するエリアマネージャー職を想定しているもので、「マネジメント力」「リーダーシップ力」の2つの能力を備えた薬剤師となります。
わかばの掲げる「かかりつけ薬剤師」は、一般的なかかりつけ薬剤師業務に加えて、処方箋の中から様々なヒントを見つけて患者様へOTC医薬品や健康食品などを提案したり、地域の方々に向けた健康サポートの活動をおこなったり、更には薬剤師の質を担保する為に後輩や実習生の教育もおこなうことができる薬剤師です。
新卒社員の場合、わかばの掲げる3本柱の基礎の部分は全員習得できるカリキュラムを設けています。それぞれで教育カリキュラムは変わってきますね。
ちなみにですが、中途社員の場合は各個人の能力や志向に応じて必要なカリキュラムに参加してもらってます。新卒の研修とは異なり、OJTを中心に完全にオーダーメードのプランを立ててます。
ー例えば新卒社員の場合、「在宅薬剤師」はどんなカリキュラムを?
新卒社員であれば、入社2ヶ月後から教育担当の薬剤師を付けて、すぐに現場に同行してもらいます。
在宅業務の雰囲気はすごく独特で、外来業務とは全く違うんです。なのでまずは現場の雰囲気を肌で感じて、先輩の動きを見ながら自分だったらどう動くかっていうことを考えてもらいます。
その半年後くらいから、現場をシミュレーションしたロールプレイを並行して実施しています。
また、訪問診療同行はチームで動くので、気難しい医師や厳しい看護師などと組むこともあります。例えどんな方と、どんな現場でチームを組んだとしても万全なパフォーマンスを発揮できるよう、ロールプレイの内容は様々なシチュエーションを想定します。
これらの研修は、6〜9ヶ月で1人で訪問診療同行ができるようなカリキュラムになっています。
先ほどお話ししたわかばが求める多職種連携で在宅業務がおこなえるようになるには、その後1〜2年の訪問診療同行の経験や知識を重ねて、3年目までにわかばで活躍する在宅薬剤師を成長させるように教育していきます。

在宅薬剤師の研修「診療同行ロールプレイ」の様子
ー独り立ちまで、かなりの時間をかけていくんですね。
薬剤師の仕事は患者様の命に関わる仕事なので、当然といえば当然かなと。
もちろん、なかには在宅業務が苦手な薬剤師もいるんです。
そういう方には、先ほどお話しした「薬局オペレーション薬剤師」や「かかりつけ薬剤師」を極めてほしいですね。
「薬局オペレーション薬剤師」は、管理職や管理職候補となりうる薬剤師を選抜して、マネジメント力やリーダーシップ力をつけるための研修をおこなっています。外部講師を招くこともありますが、取締役も実際に講師を担当し、熱意ある講義をしていますね。
「かかりつけ薬剤師」は、新卒社員から育てる場合は1年目から担当の患者様を持ってもらい、4年目から本格的に「かかりつけ薬剤師」として活躍できるように教育をおこなっています。また、定期的に医師を招いて臨床推論や病態の研修をおこない、かかりつけ薬剤師に必要な知識を身に付けてもらっています。
こんな感じでわかばでは、一人前の特色ある薬剤師として自信を持って行動ができるよう、時間をかけて手厚い研修をおこなっています。
在宅業務が得意な薬剤師も、苦手な薬剤師も、地域で人の為に活躍できる薬剤師になってほしいですね。
わかばで働くスタッフに聞いてみた

ここまでのお話を聞くと、わかばには大きな志があり、薬剤師にとっても自分を大きく成長させることができる魅力的な環境のように思えますが、他職種にとってはどうなのでしょうか? わかば薬局 港南台店で医療事務として働く加藤さんにお話を伺いました。
ー医療事務を始めたきっかけと、入社の決め手を教えてください。
わかばに来る以前は一般企業の事務員をやっていたのですが、より社会貢献につながる仕事をしたいという想いと、手に職をつけたいという気持ちが強く、医療事務への転職を決めました。
わかばを選んだ決め手は、医療事務の求人は経験者を募集しているところが多いなか、未経験からでもOKだった点と、福利厚生が充実していて女性も働きやすそうな職場だった点が大きいですね。
わかばは「えるぼし認定」も獲得しているんです。
ー「えるぼし認定」というのは?
女性活躍推進法に基づく制度で、女性が活躍しやすい環境などが整備されている企業に対して、厚生労働大臣から送られる認定マークです。
段階によって1〜3つ星で評価されるんですが、わかばは全ての基準を満たして、3つ星を獲得しています。
世の中にはたくさんの会社がありますが、3つ星を獲得している企業は現在(2020年3月時点)450社ほどしかなく、わかばはとても評価の高い認定を受けているんです。
ーそれはすごいですね! 女性も働きやすいのが伝わってきます。福利厚生についてはどのような点が魅力ですか?
まず、お休みがしっかり確保されているんですよね。
基本的に週休二日制で、年間休日は125日。このなかには夏季休暇3日、年末年始休暇5日も含まれています。
もちろん産休育休制度も取得しやすいよう整備されていて、産休育休から復職される方も9割を超えているんです。
あとはそうですね、住宅手当や家族手当などの各種手当や、退職金や保養施設なども用意されています。この規模の会社ではかなり充実している方なのではないかなと。
特に、福利厚生の一環で利用している “ベネフィットステーション” は、わかばのスタッフにはとても人気ですね。旅行や映画館、遊園地などのレジャー施設、スポーツクラブやレストランといった、140万件ほどのサービスが会員価格でお得に利用できるんです。
オンとオフはしっかり切り替えて、日々業務にあたっていますね。
ー在宅をメインとする薬局での医療事務の仕事を教えてください。
朝は9時に出勤してまずは掃除。週に1回ミーティングがあって、そのあとは個々の業務に入ります。
具体的な内容としてはレセコンの入力、在庫管理、納品チェック、薬剤の取りそろえ、分包アシスト作業、施設での薬剤セット、受診スケジュールの管理などですね。
あとは電話対応をしたり、薬剤師さんと一緒に薬のお届けに行ったり。

医療事務スタッフの業務の様子
ーありがとうございます。わかばで実際に働いてみて感じた魅力を教えてください。
外来が多い店舗や、在宅が多い店舗など、薬局の種類はさまざまなんですが、どの店舗でも変わらないのは人の良さですね。
先輩後輩関係なく、助け合って仕事をする雰囲気ができあがっています。
また、運営している方々が「どうしたら医療事務の人が働きやすい職場になるか」ということも考えてくださっているので、薬剤師さんとの壁もまったくなく、楽しく働ける職場なんです。
ーなるほど。職場の雰囲気が詳しくわかりました!ありがとうございます。
わかばが考える “これからの薬局”とは

ー超高齢社会などの社会的な問題。また一般社会や医療のIT化が進む時代の流れの中で、今後はどういった薬局が求められていくと思いますか?
今後はどんどん薬局の規制緩和が進んでいき、「処方箋を受け取って薬を渡すだけ」といった従来の受動的な薬局には厳しい時代が来るのかなと考えています。
いま、オンライン診療などが話題になっていますよね。何年か先には薬局に行かなくても薬が手に入る。そんな時代の潮流となるんじゃないでしょうか。
そうなったとき、「病院のすぐ近くにある薬局」といった立地的な強みは失われていきます。
そこから生き残れるのは積極的にサービスや付加価値を提供できる薬局だと思うんです。
わかばでも、積極的な健康指導・食生活の提案・健康フェアの開催など、薬局側から様々な情報を発信して、規制緩和に備えた仕組みづくりをおこなっています。
「わかばの薬局に行けばこんなことをしてくれる」「身体の調子が悪いから、わかばの薬局に相談に行こう」と患者様から選んでもらえ、地域とともに発展していけるような薬局になれたらなと、そう考えています。