急性期、回復期、慢性期の違いとは
看護師の仕事は「診療の補助」と「療養上の世話」の2つの役割があり、このバランスが急性期と回復期・慢性期では違います。
急性期は、「診療の補助」がメインとなります。生命が危機的な状態の患者さんに対して、確実かつ安全な処置が求められます。また、手術前後の管理もおこなうので、周術期に関する仕事も多くあります。
一方で回復期・慢性期は、「療養上の世話」がメインとなります。急性期を乗り越えた患者さんのリハビリテーションや、長期療養が必要な患者さんとの関わりが中心となり、精神的・身体的サポートが重要となるケアを提供します。
患者の状態がどんどん変わる「急性期」
急性期とは病気になりはじめた時期のことをいいます。病気やけがにより容態が不安定で、症状が急激に現れるのが特徴です。そのため、患者さんの身体的、精神的な負担が大きい時期でもあります。
急性期は経過が早く、刻一刻と変化していく患者さんの状態をしっかりと把握することが必要です。たった数時間でもがらりと容体が変わっていることも多い急性期。現在だけでなく「朝はこうだった」「1時間前にはこうだった」といった的確な状況報告、素早い判断、迅速な対応が求められます。
他職種との連携をとりながら突然の容体急変のリスクにも備えます。地域の救急指定病院や救命救急センターでは、急患に備えた体制を整えておくことが欠かせません。患者さんの命と健康を守る急性期は、24時間気の抜けない緊張感のなかにも、やりがいは大いにあると考えられます。
リハビリをおこない治癒を目指す「回復期」
患者さんの容体が危機的な状態である急性期を乗り越えると、回復期に入ります。からだの機能の回復を図る時期であり、危機を脱したとはいえ合併症のリスクはまだ残っています。そのため、しっかりと患者さんのケアをしなければなりません。
回復期を乗り越え、病気になる前の生活により早く安心して戻ることができるように対応する必要があります。とくに、けがや突然の発病など、患者さんが社会生活への復帰に不安を感じている場合もあります。現在の疾病、障がいの状態や今後の経過について、患者さんの立場で説明をすることが大切です。
また、退院後に支障なく生活できるよう、早期から社会復帰への情報提供や関連部門との調整をしていきます。患者さんの不安を取り除くことができ、退院、転院がスムーズにいけば、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
長期的な治療と向き合う「慢性期」
慢性期とは、病状が比較的安定している時期のことをいいます。再発の予防や体力の維持を目指し、長期にわたる治療を続ける必要があります。
慢性期は、生活習慣病などで入退院を繰り返す患者さんも多いステージ。患者さんが治療に対して後ろ向きになってしまう場合もあるので、その気持ちを受け止めながら社会復帰を後押しすることが大切です。
ほかのステージに比べ高齢者も多いため、治療後の退院が難しかったり、転院先に悩む社会的入院患者が多いのが現実です。ただ経過がゆっくりなため患者さんとの距離が近く、一人ひとりとじっくり向き合うところにやりがいを見出せます。
急務が少ないので、子育てとの両立もしやすい職場が多くあります。