保育士になりたい!保育士資格取得を支援する奨学金、助成金、給付制度7つを紹介

「保育の仕事に興味はあるけれど、資格を取るお金や時間がない……」と思っていませんか? 実は保育士は資格取得のための助成制度が充実しており、条件を満たせば学校に通わなくても取得できます。諦める前に、この記事を読んでみてください。

保育士になりたい!保育士資格取得を支援する奨学金、助成金、給付制度7つを紹介

目次

*本記事の内容は2023年10月時点の情報をもとに作成しています
*各制度内容や条件は自治体や団体によって異なるため、詳細は各自治体や団体の案内を確認してください

保育士になるには、保育士資格を取得する必要があります。資格を取得する主なルートとして、保育士の養成施設に進学し専門教育を修了する方法、都道府県で実施される保育士試験に合格する方法などがあります。(詳しくはこちら

いずれの方法をとるにしても、学費や受験料、学習期間中の生活費などが負担になります。今回は、それらの費用を支援してくれる各種制度を紹介します。

★すでに保育士資格を持っている人向けの支援制度はこちらからチェック!
保育士の就職、復職、育児を助ける支援制度まとめ

1.保育士修学資金貸付

保育士養成施設に通う学生が修学資金の一部を借りることができる制度です。卒業後、通常5年間保育士として勤務することで返還が免除されます。

実施団体によっては「学業が優秀であること」「家庭の経済状況から修学資金の必要性が認められること」などの条件を設けている場合があります。

概要保育士養成施設に通う学生に対し、修学資金の一部貸付けをおこなう
実施主体都道府県、指定都市(都道府県または指定都市が適当と認める団体を含む)
貸付上限額
      学費…5万円(月額)
      入学準備金…20万円(入学時のみ)
      就職準備金…20万円(卒業時のみ)
      生活費加算…4~5万円程度(月額)※生活保護受給者もしくはそれに準ずる経済状況の者に限る
利子無利子
貸付期間最長2年間
返還卒業後、5年間(過疎地や離島などの特例地域では3年間)の実務従事により返還を免除免除の条件を満たさなかった場合、返還が必要

2.保育士試験による資格取得支援事業

保育士試験の受験資格があれば必ずしも養成校に通わなくてもよく、各都道府県で年2回実施される試験に合格することでも、資格を取得することが可能です。この制度を利用すると、保育士試験に合格し保育士としての就業が決まった人を対象に、資格取得のためにかかった費用の半額の補助を受けることができます

原則として返還は不要ですが、1年未満などの短期間で保育士を辞めた場合は、返還を求められる場合があります。

概要保育士試験により保育士資格を取得した者が、保育所等に保育士として勤務することが決定した際、保育士試験受験のための学習に要した費用の一部を補助する
実施主体都道府県、指定都市、中核市
補助額学習に要した経費の半額(上限15万円)
対象経費試験対策講座の入学金・受講料、教材費など
対象期間保育士試験(筆記試験)から起算して2年前までに要した費用

3.日本学生支援機構の奨学金

保育士養成校に限らず、国内のあらゆる高校や大学、専門学校などを対象に奨学金事業をおこなっている日本学生支援機構の奨学金です。支給金額の幅が広く、返還が必要な貸与型奨学金(利子あり・なし)のほか、家庭の経済状況によって返還不要の給付型奨学金も利用できます。

詳細はこちら
日本学生支援機構(JASSO)|貸与奨学金

4.(雇用保険の加入者向け)専門実践教育訓練給付金

教育訓練給付制度は、国が主体となり雇用の安定と就職の促進を図るために実施しているキャリア支援制度のひとつです。雇用保険の被保険者が指定の教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給される制度です。

保育士などの業務独占資格の取得を目指す専門実践教育訓練では、受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6ヶ月ごとに支給されます。さらに資格を取得し、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合には受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。

教育訓練給付を受けるには雇用保険の加入期間などの条件がありますが、パートやアルバイト、派遣労働者も対象となります。

対象者以下のいずれかに該当し、専門実践教育訓練を修了(見込み可)した人
1. 雇用保険の被保険者(受講開始日に支給要件期間が3年以上ある者)
2. 過去に雇用保険の被保険者だった者(被保険者資格を喪失した翌日以降、受講開始日が1年以内**で、かつ支給要件期間が3年以上ある者)
*初めて教育訓練給付の支給を受ける場合は2年以上
**適用対象期間の延長がおこなわれた場合は最大20年以内
給付金額【受講中】受講者が支払った教育訓練経費の50%(年額最大40万円)まで
【修了後】受講者が支払った教育訓練経費の70%(年額最大56万円)まで(資格を取得し、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合)

なお、専門実践教育訓練を受講するには、事前にハローワークなどで訓練前キャリアコンサルティングを受けたうえで、受講開始日1ヶ月前までに受給資格確認を終える必要があります。そのほか細かい条件もあるため、ハローワークの案内を確認してください。

詳細はこちら
厚生労働省|教育訓練給付制度
ハローワークインターネットサービス|教育訓練給付制度

5.(ひとり親向け)自立支援教育訓練給付金

20歳未満の子どもを育てるひとり親を対象に、対象の教育訓練を修了した際にその経費の一部が支給される制度です。児童扶養手当の支給を受けているか同等の所得水準(例:子ども1人の場合に年間収入が365万円未満)にある場合に利用できます。

支給金額は経費の60%で、保育士資格の場合(雇用保険の専門実践教育訓練給付の講座を受講する場合)は年額最大40万円(総額最大160万円)が支給されます。対象経費は指定講座の入学料と受講料のみで、教材費や通学費などは対象になりません。

対象者母子家庭の母または父子家庭の父であって、20歳未満の子どもを扶養し、以下の要件をすべて満たす者
  • 児童扶養手当の支給を受けている、または同等の所得水準にあること
  • 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められること
対象講座雇用保険の教育訓練給付の指定教育訓練講座と、その他都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座
給付金額対象教育訓練を修了した場合にその経費(入学料・受講料)の60%を支給
【上限】(専門実践教育訓練給付の対象講座の場合)修学年数×40万円(最大160万円)
【下限】1万2,001円

利用には都道府県などで事前に講座の指定を受ける必要がありますので、自治体窓口に確認してください。

6.(ひとり親向け)高等職業訓練促進給付金

高等職業訓練促進給付金も、ひとり親を対象にした制度です。自立支援教育訓練給付金は教育訓練の修了とともに支給されますが、こちらは保育士など特定資格取得のための養成機関で6ヶ月以上修業する場合に、生活費の支援を目的に毎月給付金が支給される制度です。児童扶養手当の支給を受けているか同等の所得水準(例:子ども1人の場合に年間収入が365万円未満)にある場合に利用できます。

訓練期間中は最大月額10万円、修了後は最大月額5万円が支給されます。

対象者母子家庭の母または父子家庭の父であって、20歳未満の子どもを扶養し、以下の要件をすべて満たす者
  • 児童扶養手当の支給を受けている、または同等の所得水準にあること
  • 養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること
  • 仕事または育児と修業の両立が困難であること
対象資格保育士、看護師、介護福祉士、歯科衛生士、理学療法士、保健師、助産師など
給付金額【受講中】住民税非課税世帯:月額10万円、住民税課税世帯:月額7万500円
※訓練期間の最後の1年間は4万円増額
【修了後】住民税非課税世帯:5万円、住民税課税世帯:2万5,000円を支給
給付期間修業期間の全期間(上限4年)

利用には都道府県などで事前申請や面談などを受ける必要がありますので、自治体窓口に確認してください。

7.(幼稚園教諭向け)保育士資格取得支援事業

すでに幼稚園教諭免許を持っている人を対象に、保育士資格取得特例を利用して保育士資格を取得し、さらに保育所などへの就職が決まった際に、資格取得にかかった経費を補助する制度です。現在保育関連の仕事に就いていない人も対象となります。原則として返還は不要ですが、1年未満などの短期間で保育士を辞めた場合は、返還を求められる場合があります。

なお、この特例制度の実施期間は2024年度末までです。

概要幼稚園教諭免許状を持ち保育士資格を取得していない者を対象に、その者が特例制度を利用して保育士資格を取得したあと、保育士として保育所等に勤務が決定した際に、取得に要した養成施設等の受講料等の補助をおこなう
特例制度の条件(1)3年特例の場合
幼稚園教諭免許を有し、保育所等で3年以上かつ4,320時間以上の実務経験を有する者が、保育士養成施設において最大8単位の特例科目を取得すること
(2)幼保2年特例の場合
1の条件「保育所等で3年以上かつ4,320時間以上の実務経験」に加え、幼保連携型認定こども園における保育教諭としての実務経験を2年以上かつ2,880時間以上を有する者は、保育士養成施設において最大6単位の特例科目を取得すること(2単位免除)
実施主体都道府県、指定都市、中核市
補助額資格取得に要した経費の半額(上限10万円)
対象経費養成施設の入学金・受講料、教材費など

特例制度の詳細はこちら
厚生労働省|幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例制度

自分にあった制度で保育士を目指そう

資格を取得するための学費や生活費に不安のある人のために、国や自治体ではさまざまな支援制度を用意しています。条件を満たせば返還不要のものもありますが、申請期限や就労期間が設けられているため、利用条件は事前によく確認しましょう。

保育士は国を挙げて処遇改善が積極的に進められており、就業者が利用できる支援制度も多く、今後も活躍が期待されています。「子どもが好き」「育児経験を活かしたい」という人は、まずは資格のいらない保育補助として働いてみるという選択肢もあります。自分にあった働き方や制度を探してみてください。

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参考

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