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こんにちは。なるほど!ジョブメドレー編集部の山口です。私たちは医療・福祉分野で働いている・働きたい人に役立つ知識や、これらの分野に興味を持ってもらえるような情報を届けるべく、日々取材や記事編集に取り組んでいます。
先日も「介護職員初任者研修」がどのような資格か調べ、学習の流れを整理し、どのような仕事ができるようになるのか……とまとめているときにふと気付きました。「この研修、自分でも受けられるのでは?」
そうとなったら百聞は一見にしかず、実体験こそが一番の取材ということで、さっそく資料を取り寄せ申し込み、週1日・3ヶ月間の勉強期間が始まりました。
1.介護職員初任者研修とは
まずは「介護職員初任者研修(以下:初任者研修または研修)」について簡単に説明します。すでにご存じの方は飛ばしてしまってOKです。
初任者研修は介護職(ヘルパー)のいわば入門資格で、介護に最低限必要な知識・技術を学ぶことができます。無資格・未経験でも受講でき、修了試験に合格すると通所介護や施設介護に加え、訪問介護でも働くことができるようになります。
また、家族の介護のために学ぶ人も多く、家庭でも職場でも役立てられるメリットもあります。基礎レベルながら実践的なキャリアのスタートに立てる、とてもチャレンジしやすい資格です。
資格について詳しくは>介護職員初任者研修とは
2.受講する教室はどう選ぶ?
実際に選ぶポイントとして重要だと感じたのは「費用」と「通いやすさ」。修了後すぐに介護事業所への転職を考えているなら、転職先としての魅力も踏まえて検討すると良さそうです。
費用が抑えられるのは公的機関、受講後の就職
初任者研修は、自治体や福祉法人、介護事業を運営する民間企業(事業所)や資格試験の予備校などが講座を開いています。民間の授業料の相場は数万円〜10万円程度で、受講後そのままスクール運営元の介護事業所に就職するとキャッシュバックで実質無料になるケースが多いほか、早期の申し込みで割安になることも。
離職中やパートタイム勤務などで資格取得を目指す人は、条件を満たせばハロートレーニング(職業訓練・求職者支援訓練)を利用することもできます。受講料無料(テキスト代のみ)、収入などの条件を満たせば給付金をもらいながら受講可能です。ほかにも公的機関が実施するものは無料または助成金などが受けられることがあるので、まずは住んでいる地域の資格取得支援制度がないか調べてみることをおすすめします。
私が受けたときはキャンペーンのタイミングで申し込むことができ、受講料は約5万円でした。授業料を安く抑えるチャンスは意外とたくさんあることを知っていると、挑戦のハードルが下がるのではないでしょうか。
働きながら取るなら通いやすさが継続のカギ
講座は全部で15〜16回、対面・通信授業併用でも3分の2以上は教室に通って受講します(詳しくは「3.授業はどんなふうに進むの?」)。授業の頻度と期間は週1回で修了まで3ヶ月程度、週2〜3回の場合1〜2ヶ月程度になります。すべて出席して修了試験を受けるには、無理なく通える場所・曜日の講座を選ぶことが肝心です。
フルタイムで働きながら受けるなら、都合のつく平日または土日開催の授業を週に1回受講し、3ヶ月かけて学習するのが現実的だと感じました。離職中やすでに働いている職場で受講するといった場合は、週2〜3回の授業がある短期集中講座も十分選択肢に入れられると思います。通学が苦にならない距離であることも、挫折しないためには重要な要素です(私は自宅から20分で通える教室にしました)。
実際に受講していたクラスでも、途中で出席が難しくなり、残念ながら最終回の修了試験をキャンセルされた人がいました。講座では振替えや補講の機会が準備されていますが、欠席が重なると最終回に間に合わないこともあります。難しい資格ではありませんが、何かといそがしい大人だからこそ無理なく確実に学習を進めたいですね。
就職・転職するなら事業所運営のスクールが向いている
私が受けたのは、全国で介護サービスを展開する大手事業所が開催している講座でした。そこで感じたのは、修了(合格)後に資格を活かして就職・転職したい場合はやはり介護事業所主催の講座を受けることが近道になるということです。
というのも、修了後の就職で受講料が実質免除・軽減されるという経済的なメリットに加え、受講者向けに介護事業所の紹介や説明会の案内など仕事につながる情報を提供してもらえるためです。介護職の中でも訪問介護員(ヘルパー)の有効求人倍率は約15倍と非常に需要が高く、講師やスクール職員の話しぶりからも「ぜひうちで働いてほしい」というメッセージが強く伝わってきました。
介護業界未経験での就職や、転職に不安があるという人にとっては、初任者研修を受講することで“就職先の確保”もできて一石二鳥ではないでしょうか。私が転職を前提に講座を受けるなら、求人情報や会社のホームページなどを見て「転職先として魅力的な会社」の中から教室を選びたいなと思います。
3.授業はどんなふうに進むの?
130時間のカリキュラムを学ぶ
近くて通いやすそうな教室に決め受講を申し込むと、分厚いテキストがどさっと数冊送られてきます。それもそのはず、10科目130時間で学ぶ介護保険制度や介護技術の基本が網羅され、講座によりますが全体で700〜1,000ページほどの教科書で勉強します。
講義は対面、または通信と対面を組み合わせて受講し、決められた数のレポート(宿題)を提出します。知識面の講義から始まり、途中からは教室内の実習で介助の基本を学びます。講師は複数人の分担制で毎回同じとは限らないため、疑問点があればその日のうちに解消するのが良いでしょう。とくに実習でわからないことは、あとから思い返そうとしても難しいことが多いと感じます。
科目 | 通信受講の上限 | 合計時間 |
---|---|---|
1. 職務の理解 | ― | 6時間 |
2. 介護における尊厳の保持・自立支援 | 7.5時間 | 9時間 |
3. 介護の基本 | 3時間 | 6時間 |
4. 介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 7.5時間 | 9時間 |
5. 介護におけるコミュニケーション技術 | 3時間 | 6時間 |
6. 老化の理解 | 3時間 | 6時間 |
7. 認知症の理解 | 3時間 | 6時間 |
8. 障害の理解 | 1.5時間 | 3時間 |
9. こころとからだのしくみと生活支援技術 | 12時間 | 75時間 |
10. 振り返り | ― | 4時間 |
合計 | 40.5時間 | 130時間 |
もし授業を休んでしまったら?
病気や急用で授業を休むことになってしまっても、振替えをして別の日時で授業を受けることができます(具体的なルールは受講先による)。履修漏れがあると修了試験が受けられないので、授業を欠席した場合は早めに振替えの手続きをしておけば安心です。
カリキュラムの時間や履修の条件は都道府県が定めており、各運営元がそれに従って受講ルールを決めています。私が受けた講座では1日あたり7時間・うち休憩1時間(2023年時点)で、一定時間以上遅刻するとその日は欠席扱いとなるため、「午前だけ欠席する」といったことはできませんでした。
服装や持ち物は?
受講の際は動きやすい服装にエプロン着用が基本です。教室内で上履きになる場合は毎回忘れずに持参しましょう。初任者研修は介護現場の基礎を学ぶ場であり、実際に介助の練習もおこなうため、動きやすい服装であることはとても重要です。
授業の持ち物はその日のテキストと上履きに加え、タオル、前開きのパジャマ、箸やスプーン、アイマスクなどです。基本の持ち物以外は、練習する介助の内容で必要なものが異なります。
介護職員初任者研修の実習で必要になる持ち物(例) | |
---|---|
タオル | バスタオル、フェイスタオルなど複数枚。枕カバーの代用や着替え介助中に体を覆う、筒状にして腰や足の支えに使うなど幅広く使われる |
前開きパジャマ | 着替え介助の練習用。ボタンが大きく、余裕のあるサイズのものが使いやすい(教室では私服の上から着用する場合もある) |
箸・スプーンなど | 食事介助の練習用。コロナ禍の配慮もあり、実際に食べ物を用いるかどうかは感染状況や運営元の方針による |
アイマスク | 視覚障害を模擬的に再現。移動介助や食事介助で使うことがある |
研修は複数の講師が分担しているため、授業の順番は必ずしもテキストのページ順でない可能性があります(持ち物の勘違いに注意!)。教室の備品にないものや、衛生上他人と共有できないものを忘れてしまうと介助の練習ができない場合もあるので、日々いそがしかったとしても授業予定と持ち物はしっかり把握しておきたいところです。
課題と試験は着実にこなせば怖くない!
私が受けた講座では選択式の問題と記述課題で構成された6回のレポート課題があり、記述量は回によって大きく異なりました(そのため、1時間かかることもあれば10分で終わることも)。出題範囲は予習・復習どちらの場合もあり、手書きだったため普段パソコンで原稿を打っている身としては久々の「宿題」に新鮮さを覚えました。こればかりは地道にやるしかないですね。
試験は最終回に1時間程度で実施され、35問の択一式でした。講座によっては択一式と記述式の組み合わせの場合もあります。出題範囲は研修で習った内容全体ですので、改めて対策問題集などを買うよりも、習ったところやとくに重要と説明されたところをメモしてしっかり復習することが大切だと感じました。
合格基準は7割といわれており、カリキュラムや出題基準は厚生労働省・都道府県により決められているため、スクールによって難易度や採点基準が変わることはないと考えていいでしょう。反対に、試験前に振り返りや確認テストがあるかどうかはスクールによるので、配布される時間割で確認してください。
結果はその日出席した受講生全員が合格! ちなみに渡されたのは合否のみで、点数はわかりませんでした。
4.仕事でも生活でも役立つのが強み
介護職員初任者研修は、週1日以上の勉強時間が確保できれば無資格・未経験でも受けられる、比較的挑戦しやすい資格です。修了(合格)すると無資格では就労できない訪問介護員としても働けるようになり、就職や転職のチャンスが広がります。
初任者研修が役に立つのは、仕事だけではありません。介護技術の基礎や考え方を学ぶことで、家族の介護や急な入院にも気持ちの備えができますね。初任者研修を受けて気付いたことや実践的な学びについては、こちらの記事でまとめています。
>働きながら介護職員初任者研修を受けてわかった学び7つ【実践編】
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