目次
1.離職票が届かない?状況別・やるべきこと一覧
離職票が届かない場合、退職からの経過時間や失業手当の申請予定の有無によって、対応方法が異なります。
2.離職票とは?
失業手当の受給手続きに必要な書類
離職票(雇用保険被保険者離職票)は、失業手当(雇用保険の基本手当)の受給手続きに必要な書類です。ハローワーク(公共職業安定所)が発行し、退職した会社を経由して受け取るのが一般的です。
離職票はいつ必要?
離職票が必要になるのは、失業中の人が次の仕事を見つけるまでの間、雇用保険の失業手当(基本手当)を受給するときです。失業手当は、原則として離職日の翌日から1年間の受給期間があり、この期間を過ぎると手当が受けられなくなるため、早めに手続きをおこなってください。
失業手当の詳しい受給条件についてはこちら
>失業手当はいくら、いつからもらえる?受給条件や申請方法を解説!
tips|転職先が決まっていても離職票は受け取ると安心
すでに次の仕事が決まっている人や、雇用保険の加入期間が基準に達していない人は、失業手当の給付対象にならないため、一般的に離職票を使う機会はありません。
しかし、万が一新しい職場を短期間で離職することになった場合、前職の雇用保険の加入期間と合算して失業手当の受給資格を得られる可能性があります。「今は必要ない」と思っても、将来的に必要になるかもしれないので、受け取った場合は大切に保管しておきましょう。
3.離職票の受け取り方は2パターン
離職票の受け取り方には、「会社から郵送で受け取る方法」と、2025年1月20日から開始した「マイナポータルで電子データを受け取る方法」の2つがあります。
パターン1:会社から郵送で受け取る場合
会社から郵送で離職票を受け取る場合、手元に届くのは10日〜2週間後が目安です。

STEP1:会社に離職票の発行を依頼する
退職前に会社の人事部や総務部などの担当者へ、離職票が必要な旨を伝えます。
会社によっては、申し出なくても離職票を発行してもらえる場合もありますが、確実に受け取れるよう、担当者に依頼しておくと安心です。
STEP2:会社がハローワークへ書類を提出する
離職日の翌日から10日以内に、会社の担当者が「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を管轄のハローワークへ提出します。書類の提出は雇用保険法によって義務付けられているため、必ず提出されます。
STEP3:ハローワークから会社へ離職票が交付される
提出された書類に基づき、ハローワークから会社へ離職票が交付され、会社経由で退職者本人に送付されます。
パターン2:マイナポータルで電子データを受け取る場合
マイナポータルから受け取る場合、送付にかかる手間や期間がかからず、郵送よりも早く受け取れる点や、受け取った電子データを印刷せずにスマートフォンの画面などで提示できる点がメリットです。

事前準備1:マイナンバーの登録状況を確認する
マイナポータルのホーム画面にある「その他のわたしの情報」から、雇用保険に関する情報が表示されるか確認します。勤め先の事業所名と被保険者番号が表示されない場合は、事業所を通じてマイナンバーの登録または変更が必要です。
事前準備2:「雇用保険WEBサービス」と連携する
マイナポータルの「外部サイトとの連携」メニューから「雇用保険WEBサービス」をタップし、連携設定をおこないます。「連携手続き完了」の画面が表示されたら完了です。
STEP1:会社に「電子申請」での手続きを依頼・確認する
会社にハローワークへの離職手続きを電子申請でおこなうよう依頼します。会社が紙様式でハローワークに申請した場合、マイナポータルで離職票を受け取ることはできません。
また、電子申請を初めて利用する会社の場合、電子証明書やGビズID(共通認証システムで使う事業所ごとのID)の取得などの準備が必要なため、退職の2週間ほど前に依頼しておくことをおすすめします。
STEP2:マイナポータルで離職票を受け取る
会社による電子申請手続きがハローワークで処理されると、マイナポータルに離職票のファイルが届きます。送信された書類はマイナポータルアプリの「お知らせ」画面からPDFで確認できます。
4.離職票の書き方
紙の離職票は「離職票-1」「離職票-2」の2枚つづりになっており、それぞれに退職者本人が記入する箇所があります。マイナポータルで発行された離職票の場合、失業手当を申請する前の記入は不要です。
離職票-1の書き方
離職票-1には、個人番号(マイナンバー)と失業手当の振込先の金融機関情報を記入します。

(1)個人番号
情報漏洩防止の観点から、個人番号はハローワークに到着し手続きをおこなう直前に記入してください。
(2)求職者給付等払渡希望金融機関指定届
失業手当の振込先として希望する金融機関の情報を記入します。口座名義は必ず本人名義の口座を指定してください。
離職票-2の書き方
離職票-2は、会社がハローワークに提出する離職証明書をもとに作成され、賃金の支払い状況や離職理由が記載されています。記載内容が正しいか確認したうえで記入してください。

(1)離職理由欄
離職理由となった項目に一つだけ◯印をつけます。会社(事業主)が実態と異なる離職理由を選択していた場合、正しい離職理由に印をつけます。
(2)具体的事情記載欄
離職理由について、上に記載されている会社記入の離職理由と一致する場合は「同上」、異なる場合は実際の理由を記入します。
(3)離職者本人の判断
会社が記した離職理由に異議があるかないかを◯印で選択します。
(4)署名欄
自身の記入内容に間違いがないかを確認し、フルネームで署名します。
退職理由の区分の確認方法
離職理由は、失業手当の給付制限期間や所定給付日数に影響することがあります。受給する際に不利にならないよう、離職区分に記載されている13種類の区分も確認してください。
離職区分 |
意味 |
---|---|
1A |
解雇(1B及び5Eに該当するものを除く) |
1B |
天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能になったことによる解雇 |
2A |
特定雇止めによる離職(雇用期間3年以上雇止め通知あり) |
2B |
特定雇止めによる離職(雇用期間3年未満等更新明示あり) |
2C |
特定理由の契約期間満了による離職(雇用期間3年未満等更新明示なし) |
2D |
契約期間満了による退職(2A、2B又は2Cに該当するものを除く) |
2E |
定年、移籍出向 |
3A |
事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職 |
3B |
事業所移転に伴う正当理由のある自己都合退職 |
3C |
体力の不足や、妊娠・出産、親族の看護など、自己の意思に反して退職を余儀なくされた、正当な理由のある自己都合退職(3A、3B又は3Dに該当するものを除く) |
3D |
特定の正当な理由のある自己都合退職(平成29年3月31日までに離職した被保険者期間6月以上12月未満に該当するものに限る) |
4D |
正当な理由のない自己都合退職 |
5E |
被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇 |
離職理由に異議を申し立てた場合、ハローワークによって事実関係の調査がおこなわれます。調査の際、離職理由を証明できる資料があれば、ハローワークに持参することをおすすめします。
5.離職票入手後の手続きの流れ

離職票が手元に届いたら、お住まいの地域を管轄するハローワークで失業手当の受給手続きを進めます。手続きの流れは以下のとおりです。
(1)求職の申込みと受給資格の決定
ハローワークで「求職の申込み」をおこなったあと、持参した離職票などを提出します。提出された書類に基づき、受給資格があるかの確認・決定がおこなわれます。
(2)雇用保険説明会への参加
受給資格が決定すると、後日開催される雇用保険説明会の日時が案内されます。この説明会で「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、第一回目の「失業認定日」が通知されます。
(3)失業の認定
原則として4週間に1度、指定された日にハローワークへ通い、失業状態であることの認定を受けます。
(4)失業手当の受給
失業の認定を受けると、認定された日数分の基本手当が、指定した金融機関の口座に振り込まれます。
失業手当の詳しい受給方法はこちら
>失業手当(失業保険)はいくら、いつからもらえる?改正後の受給条件や申請方法を解説!
6.離職票の再発行方法
離職票を紛失したり、破損したりした場合でも再発行は可能です。再発行方法は以下の3つです。
会社に依頼する
退職した会社に離職票の再発行を依頼します。退職者が用意する書類はとくにありませんが、会社側の手続きや連絡、郵送などで時間がかかることがあります。
ハローワークで申請する
ハローワークの窓口、あるいは郵送でも再交付を申請できます。会社の所在地を管轄するハローワークであれば発行が早くスムーズですが、ほかの地域のハローワークでは受け取りまでに時間がかかる場合があります。
〈再交付申請に必要な書類〉
- 雇用保険被保険者離職票再交付申請書
- 本人確認書類(運転免許証や住民票の写しなど)
オンラインで電子申請する(e-Gov)
デジタル庁が運営するe-Gov電子申請システムを利用すればオンライン上で再交付申請が可能です。申請後は郵送にて離職票が交付されます。
〈再交付申請に必要な書類〉
- 本人確認書類(運転免許証や住民票の写しなど)
本人確認書類はスキャンしたデータを送信するか、現物またはコピーを郵送して提出します。電子証明書により本人確認ができる場合は提出不要です。
7.離職票と間違いやすい関連書類との違い
離職票とよく混同される書類に「離職証明書」と「退職証明書」があります。それぞれの違いは以下のとおりです。
離職票 |
離職証明書 |
退職証明書 |
|
---|---|---|---|
正式名称 |
雇用保険被保険者離職票 |
雇用保険被保険者離職証明書 |
– |
使用目的 |
失業手当の受給手続きに必要 |
離職票を発行するために必要 |
従業員が退職したことを証明する |
発行者 |
ハローワーク |
会社 |
会社 |
離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)
離職証明書は、会社がハローワークへ離職票の交付を申請するために提出する書類です。賃金の支払い状況や離職理由などが記載されます。
離職証明書は3枚複写の様式で、ハローワークでの手続きを終えると、3枚目が「離職票-2」として退職者へ渡されます。
退職証明書
退職証明書は、勤務期間、業務の種類、職位、賃金、退職(解雇)理由などが記載される書類です。転職先での手続きや、社会保険の手続きなどで、退職したことを証明する書類として提出を求められることがあります。
なお、退職証明書は労働基準法第22条により、退職者から請求があった場合、会社は退職証明書を発行する義務があります。
8.離職票に関するよくある質問(Q&A)
Q.アルバイトやパートでも離職票はもらえますか?
A.離職票は、雇用形態にかかわらず、以下の雇用保険の加入条件を満たす人であれば交付の対象となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
雇用保険の加入状況がわからない場合は、給与明細の控除欄に「雇用保険料」の項目があるか確認するか、会社の人事・労務担当者に問い合わせてください。
Q.離職票は退職前にもらえますか?
A.離職票を退職日よりも前に受け取ることはできません。会社がハローワークに対しておこなう離職票の交付申請(=離職証明書などの提出期限)は、退職日の翌々日から10日以内と決められているためです。
Q.離職票が届かず失業手当の申請手続きが遅れる場合は?
A.退職日翌日から数えて12日間経過しても離職票が手元に届かない場合、失業給付の「仮手続き」をおこなえます。
失業手当を受け取るには、求職の申し込み後、7日間の待期期間を過ごす必要があります。仮手続きをおこなうことで、離職票がなくてもこの待期期間が始まるため、結果的に失業手当を早く受け取ることにつながります。
仮手続きをおこなった場合、最初の「失業認定日」(仮手続きから約4週間後)までに離職票を提出する必要があります。
参考
- 厚生労働省職業安定局|ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き