目次
- 1.特別児童扶養手当とは
- 障がいを持つ20歳未満の子どもを育てる家庭に対する給付金
- 特別児童扶養手当の支給金額
- 児童扶養手当、児童手当との違い
- 2.特別児童扶養手当を受給するには
- 受給する条件
- 受給時期
- 3.特別児童扶養手当の認定基準と所得制限
- 障害程度認定基準
- 所得制限
- 4.特別児童扶養手当の手続き方法
- 申請窓口と必要書類
- 定期的に必要な手続き
- その他必要な手続き
- 5.特別児童扶養手当に関するQ&A
- Q.特別児童扶養手当はどんな人がもらえるの?
- Q.特別児童扶養手当はいくらもらえる?
- Q.児童扶養手当と特別児童扶養手当は併給できる?
- Q.特別児童扶養手当は収入になる?
- Q.特別児童扶養手当の審査はどのくらいかかる?
1.特別児童扶養手当とは
障がいを持つ20歳未満の子どもを育てる家庭に対する給付金
特別養護扶養手当とは、20歳未満の身体・知的・発達・精神に障がいのある児童*を育てる父母、または父母に代わって養育している保護者を対象に支給される手当です。障がいを持つ子どもとその養育者の日常生活や直面するさまざまな課題に対し、経済的な支援を提供することで、豊かな生活を送れるようサポートすることを目的としています。
特別児童扶養手当の支給金額
障がいの認定基準「特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令」に基づき、その程度に応じて1級または2級として認定され、等級に応じた手当が支給されます。
障がいの内容は3.特別児童扶養手当の認定基準と所得制限で詳しく紹介します。
等級 |
支給金額 |
---|---|
1級 |
5万5,350円 |
2級 |
3万6,860円 |
児童扶養手当、児童手当との違い
特別児童扶養手当と似たような制度に「児童扶養手当」や「児童手当」があります。主な違いは対象者、子どもの年齢、そして支給される金額です。特別児童扶養手当の詳しい所得制限と金額は後述します。
特別児童扶養手当 |
児童扶養手当 |
児童手当 |
|
---|---|---|---|
対象者 |
身体、知的、発達、精神に障がいがある子どもを養育している人 |
ひとり親または父母に代わり子どもを養育している人 |
子どもを養育している人 |
子どもの年齢 |
0〜19歳(20歳になる前日まで) |
0〜18歳(18歳になった年の最初の3月31日まで)、障がい児の場合は19歳まで |
0〜15歳(15歳になった年の3月31日まで) |
所得制限* |
459万6,000円〜649万6,000円 |
全部支給:49万〜239万円 |
622万〜812万円 |
支給額 |
1級:5万5,350円 |
全部支給:4万4,140円 一部支給:1万410円〜4万4,130円 |
0歳~2歳:1万5,000円 3歳~小学校修了前:1万円 (第3子以降は1万5,000円) 中学生:1万円 |
*扶養親族が0人〜5人の場合
また、障がいのある子どもを対象とした手当には障害児福祉手当もあります。特別児童扶養手当が障がい児の養育者を対象とするのに対し、障害児福祉手当は障がいを持つ児童本人を対象とする手当です。
障害児福祉手当は精神または身体に重度の障がいがあり、日常生活において常に介護を必要とする在宅の20歳未満の子どもに支給されます。支給月額は1万5,690円で、原則として年に4回支給されます。
2.特別児童扶養手当を受給するには
受給する条件
特別児童扶養手当を受給するにはいくつかの条件があります。
お住まいの自治体によって条件が異なることもあります。申請の際は役所の福祉課や子育て支援課などの窓口に問い合わせるか、ウェブサイトをご確認ください。
受給時期
特別児童扶養手当の受給が認定されると、申請月の翌月分から手当が支給されます。支払いは4月期・8月期・12月期の年3回、申請者が指定した金融機関の口座に振り込まれます。12月期については11月に支給されます。
支給日は原則として支給月の11日ですが、11日が土日祝日にあたる場合は、その直前の平日に支払われます。
支払期 |
支払日 |
支給対象月 |
---|---|---|
4月期 |
4月11日 |
12月〜3月分 |
8月期 |
8月11日 |
4月〜7月分 |
12月期 |
11月11日 |
8月〜11月分 |
3.特別児童扶養手当の認定基準と所得制限
特別児童扶養手当は、対象児童の障がいの程度によって1級または2級に区分されます。おおむね身体障害者手帳1〜3級程度、療育手帳A・Bが対象となるほか、手帳がない場合でも障がいの程度によっては支給対象となる場合があります。等級別の障害程度認定基準は以下のとおりです。
障害程度認定基準
1級 |
---|
1.視覚障がい ・両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの 5.体幹の障がい |
2級 |
---|
1.視覚障がい ・両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの ・一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの 2.聴覚障がい ・両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの 3.平衡機能障がい ・平衡機能に著しい障がいがあるもの 4.そしゃく機能障がい ・そしゃくの機能を欠くもの 5.音声・言語機能障がい ・音声または言語機能に著しい障がいがあるもの 6.上肢の障がい ・両上肢のおや指およびひとさし指、または中指の機能に著しい障がいがあるもの ・一上肢の機能に著しい障がいがあるもの ・一上肢のすべての指を欠くもの ・一上肢のすべての指の機能に著しい障がいがあるもの 7.下肢の障がい ・両下肢のすべての指を欠くもの ・一下肢の機能に著しい障がいがあるもの ・一下肢を足関節以上で欠くもの 8.体幹の障がい ・体幹の機能に歩くことができない程度の障がいがあるもの 9.その他の障がい ・1~8のほか、身体の機能の障がい、または長期にわたる安静を必要とする病状が1~8と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しく制限されるもの ・精神の障がいであって、1~8と同程度以上と認められるもの ・身体機能の障がいや病状、および精神の障がいが重複しており、その状態が1~8と同程度以上と認められるもの |
所得制限
特別児童扶養手当には所得制限があります。受給者と配偶者、または扶養義務者の前年の所得が一定の額以上ある場合は支給されません。
扶養親族等の数 |
受給資格者本人 |
受給資格者の配偶者および扶養義務者 |
||
---|---|---|---|---|
所得額*1 |
参考:収入額の目安*2 |
所得額*1 |
参考:収入額の目安*2 |
|
0人 |
459万6,000円 |
642万円 |
628万7,000円 |
831万9,000円 |
1人 |
497万6,000円 |
686万2,000円 |
653万6,000円 |
858万6,000円 |
2人 |
535万6,000円 |
728万4,000円 |
674万9,000円 |
879万9,000円 |
3人 |
573万6,000円 |
770万7,000円 |
696万2,000円 |
901万2,000円 |
4人 |
611万6,000円 |
812万9,000円 |
717万5,000円 |
922万5,000円 |
5人 |
649万6,000円 |
854万6,000円 |
738万8,000円 |
943万8,000円 |
4.特別児童扶養手当の手続き方法
申請窓口と必要書類
特別児童扶養手当の申請は、居住地の自治体にある福祉課や子育て支援課などの窓口でおこない、審査を通れば申請の翌月分から支給開始となります。審査には数ヶ月かかることもあるため、なるべく早く手続きしましょう。
申請に必要な主な書類は以下のとおりですが、自治体によってルールが異なる場合があります。詳しくは自治体の窓口などでご確認ください。
- 特別児童扶養手当認定請求書
- 申請者と対象児童の戸籍謄本または抄本(発行後1ヶ月以内のもの)
- 児童の障がいの程度についての診断書(所定の様式によるもの)
- 身体障害者手帳または愛の手帳(所有している人)
- 個人番号確認書類(個人番号カード、通知カード)
- 本人確認書類(免許証・保険証など)
- 申請者名義の預金通帳
定期的に必要な手続き
特別児童扶養手当を受給している人は、定期的、または必要に応じて各種届出が必要となります。とくに所得状況届(現況届)は毎年8月12日から9月11日の間に提出が必要です。未提出のまま2年間経過すると受給資格を失うため、速やかに提出してください。
その他必要な手続き
以下の場合は必ず手続きをおこなってください。
- 児童または申請者が日本国外に住所を移したとき
- 児童が別居するなど、養育関係に変更があったとき
- 児童が児童福祉施設に入所したとき(通園施設を除く)
- 児童が障がいを理由とする公的年金を受けるとき
- 児童の障がいの程度が変わったとき
- 住所や氏名を変更したとき
- 申請者または児童が死亡したとき
- 振込先の金融機関や口座番号を変更したとき
- その他、受給資格に該当しなくなったとき
5.特別児童扶養手当に関するQ&A
Q.特別児童扶養手当はどんな人がもらえるの?
A.特別児童扶養手当は、20歳未満の身体・知的・発達・精神障がいのある児童を育てる父母、または父母に代わって養育している人を対象に支給されます。児童と養育者が日本国内に住所を持ち、障がいの程度が厚生労働省の定める基準に該当する必要があります。
Q.特別児童扶養手当はいくらもらえる?
手当の金額は、障がいの程度によって異なります。障がいの程度によって1級または2級に区分され、1級の場合は月額5万5,350円、2級は月額3万6,860円が支給されます。
Q.児童扶養手当と特別児童扶養手当は併給できる?
併用可能です。特別児童扶養手当と障害児福祉手当を併用することもできます。詳しくはお住まいの地域の福祉窓口にお問い合わせください。
Q.特別児童扶養手当は収入になる?
特別児童扶養手当は非課税の給付金です。したがって、受け取った手当は所得税や住民税の課税対象にはなりません。
Q.特別児童扶養手当の審査はどのくらいかかる?
申請から審査、そして結果の通知までの期間は通常1ヶ月から3ヶ月程度ですが、地域や申請の状況によって異なります。詳しい期間は、申請先の市町村の福祉窓口にお問い合わせください。
参考
- e-GOV|特別児童扶養手当等の支給に関する法律
- e-GOV|特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令