目次
1.ダブルワークとは
ダブルワークとは、2つの仕事を掛け持つ働き方を指します。一般的には非正規社員として2つの会社に勤める働き方を指しますが、正社員の副業もダブルワークと呼ばれています。
副業・兼業との違いは?
ダブルワークが2つ職を掛け持つ「働き方」なのに対し、副業は、本業とは別に収入を得るためにおこなう「仕事そのもの」を指します。
また、兼業は2つ以上の職を持つ「働き方」を指す言葉です。求人情報サイトなどでは「兼業可」などと記載され、ダブルワークとほぼ同じ意味で使われています。また、掛け持ちしている仕事に同等の時間や労力をかけている場合を兼業と呼ぶこともあります。
ダブルワークの広がり
近年、フリーランスやダブルワークなど、柔軟な働き方を選ぶ人が増えています。
この背景には、厚生労働省が、2018年(平成30年)に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、副業・兼業を促進したことが挙げられます。2018年は「副業元年」とも呼ばれており、実際に2017年〜2022年の5年間で、副業や兼業などのダブルワークをする人の数は約25%増加しています。

また、ガイドライン制定に伴い、ダブルワークを認める会社も増えています。日本経済団体連合会の調査によると、2022年時点では53.1%の会社が副業・兼業を認めており、2017年と比べると25ポイント増加しています。

2.ダブルワークのメリット
ダブルワークをするメリットは、単なる収入アップだけではありません。ここからはダブルワークのメリットを紹介します。
失業のリスクを低減できる
非正規雇用で働く場合、雇用期間に定めがあるため、会社側の都合で契約が更新されないこともあります。しかし、ダブルワークをすれば、片方の仕事を失っても、もう一方で収入を確保できるため、収入が完全になくなるリスクを低減できます。
また、ひとつは安定した仕事を選び、もう一方は不安定でも魅力的な仕事に挑戦するなど、仕事の選択肢が広がる点もダブルワークをするメリットです。
幅広い経験やスキルを得られる
複数の職場で働くことで、幅広い経験やスキルが得られ、人脈も広がります。本業で活用できるスキルの習得や、目指しているキャリアに必要な経験を積むために、ダブルワークをする人も少なくありません。
106万円の壁対策につながる
手取りの金額を重要視する人のなかには、「106万円の壁」対策としてダブルワークをする人もいます。
通常、従業員51人以上の企業で働く非正規社員は、以下のAかBのいずれかに該当する場合、社会保険に加入する必要があります。
A.1〜4すべての条件を満たす |
B.以下の条件を満たす |
---|---|
1.週の勤務時間が20時間以上*1 2.給与が月額8万8,000円*2(年間約106万円)以上 3.2ヶ月以上働く予定がある 4.学生*3ではない |
・年収の合計が130万円以上 |
※1 残業時間を除く
※2 残業代、賞与、通勤手当等を除く
※3 休学中、定時制、通信制を除く
ただし、Aの要件は在籍する会社ごとに計算されます。たとえば、毎月2つの会社から5万円ずつの収入がある場合、合計の月収は10万円を超えますが、それぞれ8万8,000円を超えないため社会保険料は発生しません。
社会保険に加入することで、健康保険を利用できたり、将来の年金も増えたりするため、手取りが減ったからといって必ずしも損とは言い切れません。
tips|106万円の壁とは?
106万円は、社会保険の加入条件となる収入のボーダーラインです。このラインを超えると、社会保険料が発生し手取りが減る場合があります。103万円や130万円など、収入によって税金や保険などの条件が変わるラインを総じて「年収の壁」と呼びます。それぞれの年収の壁についてこちらの記事で解説しています。
3.ダブルワークをするときの注意点
勤め先の就業規則を確認する
ダブルワークを始める前に、就業規則や労働規約を確認し、職場で副業・兼業が認められているか確認してください。情報漏えいや、人材流出を防ぐために、就業規則でダブルワークを禁止している会社があります。
副業を禁止している職場で、ダブルワークをした場合、服務規律違反を理由として処分の対象となる可能性があります。
確定申告が必要
ダブルワークをして年間103万円以上の収入を得る場合、以下のいずれかに該当すると確定申告が必要になります。
- 少ないほうの仕事の所得*が年間20万円以上の場合
- 年末調整を1度も受けていない場合
- 2ヶ所で年末調整を受けた場合
※ 副業をしている会社員の場合は、副業の売上から経費を引いた年間の利益額
確定申告には、所得がわかる書類が必要です。ダブルワークをする予定がある人は、収入証明書や源泉徴収票、給与明細書などの書類を大切に保管しておきましょう。
tips|確定申告とは?
確定申告とは、一年間の所得と所得税を計算し、税金の支払いに過不足があれば精算する手続きのことです。
確定申告の義務がない人でも、税金が多く徴収されていた場合や、年間の医療費が10万円を超えている場合、申告することで還付を受けられます。確定申告について詳しくはこちらの記事で解説しています。
スケジュール管理が必要
ダブルワークは2つの仕事を掛け持ちする働き方のため、スケジュールの管理が難しくなります。シフトをかぶって入れないよう、曜日や時間を固定するなどの対策が必要です。
スケジュール管理や、オーバーワークが心配な人は、1つの仕事は勤務時間が固定されたものを選び、もう一方は、自由な勤務形態で働けるスポットワークや在宅ワークなどを選ぶのもひとつの手です。
4.複数の仕事を掛け持ちしている人のリアルな声
なるほど!ジョブメドレーでは、医療や介護、福祉、美容分野で働いている人たちにインタビューをおこなってきました。兼業の働き方についても聞いているので、参考にしてみてください。
5.ダブルワークに関するQ&A
Q.雇用保険はどちらの会社で加入する?
A.以下の条件を満たす職場で加入します。両方の職場で条件を満たす場合は、「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係にある会社」で適用されるため、一般的に賃金が多いほうの会社で加入します。
雇用保険とは以下の条件を満たす労働者が加入できる保険制度です。加入することで、失業した際に、生活を保障するための給付を受けられます。
1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
2. 31日以上の雇用見込みがあること
>雇用保険について詳しくはこちらの記事で解説しています
雇用保険(失業保険)とは? パートも対象? 条件や受給期間、ハローワークでの手続きも紹介
失業手当はいくら、いつからもらえる? 受給条件や申請方法を解説!
Q.ダブルワークはいくらまで稼げる?
A.ダブルワークに限らず、年間の収入次第で、税金や社会保険、配偶者手当の条件が変わります。場合によっては手取りが減ってしまう場合もあるため注意が必要です。
壁の種類 |
年収 |
影響 |
手取りの変化 |
---|---|---|---|
税金に関する壁 |
103万円 |
所得税が発生 配偶者控除が一部適用されなくなる配偶者特別控除が適用になる |
手取りは減らない |
150万円 |
配偶者特別控除が満額適用されなくなる(配偶者の税額が増える) |
手取りが減る 世帯の手取りは減らない |
|
201万円 |
配偶者特別控除の対象外になる(配偶者の税額が増える) |
||
社会保険に関する壁 |
106万円 |
条件次第で、健康保険・厚生年金保険などの保険料の支払いが発生 |
手取りが減る |
130万円 |
国民健康保険や国民年金の保険料の支払いが発生 |
||
配偶者手当に関する壁 |
103万円 |
配偶者がいる場合、配偶者手当などの支給対象外になる(配偶者の手当が減る) |
手取りは減らない 世帯の手取りが減る |
130万円 |
厚生労働省|年収の壁について知ろうより作成
>年収の壁について詳しくはこちら
年収の壁とは?103万・106万・130万の違いや超えた場合をわかりやすく解説
Q.ダブルワークができる職場の探し方は?
A.多くの求人サイトでは、ダブルワークや副業OKの求人の絞り込み検索が可能です。ジョブメドレーでは求人検索画面の「特徴から選択」から選択できる「副業OK」にチェックを入れることで、ダブルワークが可能な求人の絞り込み検索ができます。

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