1.介護職の基本給が2023年度比で4.6%増
厚生労働省は3月18日、2024年度の介護職の基本給について、2023年度から4.6%増加し、25万3,810円になったと発表しました。介護分野で働く人の給与実態を調べる「介護従事者処遇状況等調査」の結果を公表したもので、2023年度と比較すると1万1,130円の増加でした。なお、この調査での基本給には手当や残業代などは含みません。
また、ほか職種についても基本給の増加が報告されました。介護の現場で勤務する主な職種の基本給は以下のとおりです。
職種 |
2023年度 |
2024年度 |
増加額・増加率 |
---|---|---|---|
24万2,680円 |
25万3,810円 |
1万1,130円 |
|
26万7,120円 |
27万7,800円 |
1万680円 |
|
27万9,500円 |
29万340円 |
1万840円 |
厚生労働省|令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)より作成
月の平均給与も4.3%増加の33万8,200円に
基本給に手当や一月あたりの賞与などを足した「平均給与」も増加していると報告されました。介護職の2024年度の平均給与は33万8,200円で、2023年度から1万3,960円(4.3%)増加しています。ほかの職種の平均給与についても、同程度の増加が確認されています。
職種 |
2023年度 |
2024年度 |
増加額・増加率 |
---|---|---|---|
介護職員 |
32万4,240円 |
33万8,200円 |
1万3,960円 |
生活相談員・支援相談員 |
34万150円 |
35万3,950円 |
1万3,800円 |
介護支援専門員 |
36万3,760円 |
37万5,410円 |
1万1,650円 (3.2%) |
厚生労働省|令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)より作成
この調査は介護報酬の「介護職員等処遇改善加算」を取得してる事業所を対象としたもので、介護老人福祉施設や訪問介護事業所などの1万3,801施設・事業所を対象に実施し、59.3%が回答しました。
2.処遇改善加算の現状
2024年度の介護報酬改定により、介護職などの処遇に関連する加算は「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。改定以前は「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3種類がありましたが、それぞれ算定要件や対象職種などが違うことから、事務作業の煩雑さや職種間の差が課題となっていました。
3.介護職の月収の推移
厚労省では処遇改善の効果が出ているか、定期的に介護職などの処遇状況を調査しています。過去の調査を振り返ると、処遇改善関連の加算を取得している事業所においては、介護職の月の平均給与は着実に増加しています。
2020年に当時の特定処遇改善加算を取得していた事業所において、介護職の平均給与は31万5,410円でした。処遇改善に関する取り組みが進んだ結果、2024年には33万8,200円まで上昇しており、5年間で2万円以上増加しています。
平均給与(月) |
|
---|---|
2020年 |
31万5,410円*1 |
2021年 |
32万3,190円 |
2022年 |
32万2,550円*2 |
2023年 |
32万4,240円 |
2024年 |
33万8,200円 |
*1 特定処遇改善加算を取得した事業所
*2 特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算を取得した事業所
厚生労働省|介護従事者処遇状況等調査(2021年度、2022年度、2024年度)より作成
4.介護職の収入は増加傾向
深刻な人手不足の解消やケアの向上を目的とし、国は介護職などの処遇改善に取り組んでおり、収入の増加が今後さらに期待されます。また、国は処遇改善加算などを通じて、2025年度は2.0%のベースアップを目指していますが、実際の給与にどの程度反映されるかについては、引き続き注目が必要です。
介護職の収入については、こちらの記事でも解説しています。男女別・都道府県別のデータなども掲載していますので、ぜひご確認ください。
>介護職の年収は?給料の高い県と勤務先をランキングで紹介
参考
- 厚生労働省|第41回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会資料
- 厚生労働省|介護従事者処遇状況等調査:結果の概要
#介護職 #介護職処遇改善 #介護職給料 #介護職給与 #介護職賃金 #介護職人件費