
1.デイサービス(通所介護)とは
1-1.看護職員(看護師・准看護師)の役割、仕事内容
1-2.看護職員の配置基準・配置時間
1-3.地域密着型通所介護とは
1-4.療養通所介護とは
1-5.認知症対応型通所介護とは
2.デイケア(通所リハビリテーション)とは
2-1.看護師・准看護師の役割、仕事内容
2-2.看護師・准看護師の配置基準
2-3.精神科デイケアとは
3.まとめ
デイサービスとデイケアは、共に利用者が施設に足を運んでサービスを受けるという点は共通していますが、その目的が異なっている点が大きな違いです。デイサービスでは入浴や食事などの生活介護を主軸にした介護サービスを受けられ、デイケアでは機能回復を目的としたリハビリテーションが主軸となる、と理解しておけば良いでしょう。それでは、それぞれのサービスの詳細と、そこで求められる看護師の役割について見ていきましょう。
1.デイサービス(通所介護)とは
デイサービスは、要介護1~5の認定を受けた高齢者の方が利用できる事業所です。ここでは入浴や排せつ、食事といった身体介護、レクリエーション、機能訓練等のサービスが提供されています。このほかにも、機能訓練に特化したデイサービスやカジノ型のデイサービスなど、さまざまなコンセプトを持った事業所があるのが特徴です。厚生労働省の「介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、2016年時点では、全国に23,038の事業所があります。
1-1.看護師の役割、仕事内容
デイサービスで看護師が担う主な業務は、バイタルチェックや利用者の服用する薬の管理、食事提供時の誤嚥の対応、入浴介助などです。また事業所によっては機能訓練指導員として働く場合もあり、その際は個別支援計画に基づいて利用者の機能訓練をサポートします。
1-2.看護師の配置基準・配置時間
デイサービスにおける看護職員の配置要件は、2014年までは1名を専従とし、定員数10名以下の事業所である場合には、看護職員(看護師・准看護師)または介護職員のいずれか1名が配置されていれば良いとされていました。
しかし、各地域で看護職員の不足が問題視され、2015年の介護報酬改定で、看護職員の人員配置の緩和が行われました。これにより、病院・診療所・訪問看護ステーションと連携し、健康状態の確認を行えるようにすることで、配置基準を満たせるようになりました。
また、介護報酬改定前は事業所のサービス提供時間帯を通じて専従となっていましたが、この人員配置の緩和により、利用者の健康状態の確認等の看護職員が業務を行う時間のみ専従であれば良いとされました。ただし、事業所がサービスを提供しているその他の時間帯は、必要な際に事業所に駆けつけることのできる、または適切な指示ができる連絡体制などが整っていることが条件となっています。
そして、2016年には定員数18名以下のデイサービスは「地域密着型通所介護」となり、通常のデイサービスは、定員数10名以下の場合の配置要件は適用されなくなりました。
【人員基準】
※生活相談員または介護職員のうち1名以上は常勤
管理者
常勤で1名
生活相談員(社会福祉士等)
事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1名以上
看護職員(看護師・准看護師)
専従で1名以上(サービス提供時間帯を通じて専従する必要はなし)
※病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携も可
介護職員
平均提供時間数に応じて、利用者の数が15名までの場合1名以上
※利用者の数が15名を超す場合、1名超えるごとに0.2ずつ介護職員数に加算
機能訓練指導員
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持つ方1名
1-3.地域密着型通所介護とは
2016年の介護保険法の改正により、定員数18名以下のデイサービスは地域密着型通所介護となりました。この事業所は、自宅にこもりきりとなっている高齢者の孤独感の解消や、普段介護を行っている家族の負担軽減のために、食事をはじめとした日常生活上の支援や機能訓練などを提供しています。サービスを利用できるのは、原則として、事業所のある市区町村に住む要介護3~5の認定を受けた高齢者が対象となっており、要介護1~2の高齢者は、介護予防サービスが受けられます。
もう1つの特徴は配置要件です。デイサービスと同様、看護職員の人員配置の緩和が適用されているため、配置基準はほぼ同じですが、定員数10名以下の場合、看護職員または介護職員のどちらか1名が配置されれば良いという、2014年のものが引き続き適用されています。
【人員基準】
管理者
原則専従かつ常勤で1名
生活相談員(社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉主事)
勤務している時間数の合計数を事業所がサービスを提供している時間帯の時間数で割った数が1名以上
基準を満たす例
・(生活相談員A 4時間+生活相談員B 5時間)÷事業所のサービス提供時間9時間=1
基準を満たしていない例
・(生活相談員A 3時間+生活相談員B 4時間)÷事業所のサービス提供時間9時間=0.78
看護職員(看護師・准看護師)
利用定員が10名以下の場合
・介護職員といずれかで専従1名
利用定員が11名以上の場合
・専従で1名以上(サービス提供時間帯を通じて専従する必要はなし)
※病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携も可
介護職員
利用定員が10名以下の場合
・介護職員といずれかで専従1名
利用定員が11名以上の場合
・利用者の数が15名までの場合1名以上
※利用者の数が15名を超す場合、1名超えるごとに0.2ずつ介護職員数に加算
機能訓練指導員
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持つ方1名
1-4.療養通所介護とは
看護師による観察が必要な難病の重度要介護者やがん末期患者で要介護1~5の方を対象にしたサービスを行っている療養通所介護です。定員数は9名以下で、利用者の孤独感の解消や普段介護を行っている家族の負担軽減のほか、訪問看護・医師との連携を密に行っているのが特徴です。地域密着型通所介護と同様、原則は事業所のある市区町村に住んでいる方が対象になっています。
この事業所は管理者を務めるのは常勤の看護師で、利用者を支援する人員は利用者数1.5名に対し、介護職員または看護職員が1名必要です。管理者となった看護師は看護職員と兼務ができます。また、療養通所介護の一部の事業所では児童発達支援などの障がい福祉サービスも行っています。
【人員基準】
管理者
常勤で1名(下記の看護職員と兼務可能)
看護職員または介護職員
利用者数1.5名に対し、介護職員または看護職員のいずれかが1名必要(うち1名以上は専従の看護師)
1-5.認知症対応型通所介護とは
認知症対応型通所介護は、要介護1~5の認知症となった方を対象に、日常生活上のサポートや機能訓練などを提供しています。認知症対応型通所介護には、特別養護老人ホームをはじめとした社会福祉施設に併設されていない「単独型」と、施設に併設されている「併設型」、認知症対応型共同生活介護事業所・地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設にてサービスを提供している「共有型」の3つの種類があります。
単独型と併設型の定員数は12名以下で、利用者へ直接支援を行う人員は看護職員または介護職員を2名(1名+サービス提供時間に応じて1名以上配置)とされています。
認知症対応型共同生活介護事業所はユニットごとに1日あたり3名以下、地域密着型特定施設・地域密着型介護老人福祉施設は施設ごとに1日あたり3名以下と、それぞれ定員を設けています。共有型は、単独型や併設型とは異なり、人員配置は従業員数により変動します。
【人員基準】
■単独型・併設型
管理者(厚生労働大臣が定める研修を修了した方)
常勤で1名
生活相談員(社会福祉士等)
1名(事業所のサービス提供時間に応じて1名以上配置)
看護職員(看護師・准看護師)または介護職員
2名(1名+サービス提供時間に応じて1名以上配置)
機能訓練指導員
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持つ方1名
■共有型
管理者(厚生労働大臣が定める研修を修了した方)
常勤専従で1名
従業員
認知症対応型通所介護事業の利用者と事業所のある施設の利用者を合計した利用者数に対して、事業所のある施設の人員配置を満たす必要な人員数以上
2.デイケア(通所リハビリテーション)とは
デイケアは、要支援1〜2または要介護1~5の認定を受けた方がリハビリテーションや日常生活上のサポートを受けられる事業所です。厚生労働省の「介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、2016年時点で全国に21,063の事業所があります。デイケアの特徴は老人保健施設、病院、診療所などに併設されているという点です。これはデイサービスのような介護サービスをメインとした事業所とは異なり、身体機能の回復・維持をはじめとしたリハビリテーションがメインとなるためです。
2-1.看護師・准看護師の役割、仕事内容
デイケアにおける看護師・准看護師の役割は、リハビリを希望する利用者のバイタルチェックや薬の管理、入浴などの介助といったデイサービスと同様の業務のほか、医師の指示のもとでの処置や利用者の様子の記録、リハビリの補助なども担当します。
2-2.看護師・准看護師の配置基準
リハビリをメインとした事業所なので、介護メインのデイサービスとは配置基準も異なります。こちらは医師・従事員に分かれ、従事員は利用者10名に対して1名以上必要となります。従事員は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・介護職員のいずれかです。また利用者100名に対して1名以上の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置が必要ですが、リハビリの提供時間が1~2時間の場合、適切な研修を受けた看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師でも可能となっています。
【人員基準】
医師
専任常勤で1名以上(病院、診療所併設の介護老人保健施設の場合、当該の病院、診療所の常勤医との兼務可)
従事者(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・介護職員のいずれか)
利用者10名につき1名以上
※うち理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は利用者100名につき1名以上(リハビリの提供時間が1~2時間の場合、適切な研修を受けた看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師でも可)
2-3.精神科デイケアとは
病院やクリニックには高齢者を対象としたデイケアのほかに、精神科デイケアというものがあります。これは精神障がいを持った方の社会生活機能を目的としており、1日6時間の患者ひとりひとりに合わせたプログラムをグループごとに行っています。ここでは、看護師は患者の健康管理やプログラムの準備・運営、個別支援などを役割を担っています。また、精神科デイケアは利用者数によって小規模・大規模の2つに分かれています。小規模の利用者数は30名
【人員基準】
■小規模の場合
精神科医師
1名(兼務可)
作業療法士、精神保健福祉士または臨床心理技術者のいずれか
専従で1名
看護師
専従で1名
■大規模の場合
精神科医師
2名(兼務可)
作業療法士または経験のある看護師
専従で1名
看護師
専従で1名
臨床心理技術者又は精神保健福祉士
専従で1名
精神科医師以外の従事者
専従で1名
3.まとめ
今回は通所サービスのデイサービスとデイケアの人員配置や、看護師・准看護師の役割についてご紹介しました。看護の知識を高齢者のために役立てたいという方にはぴったりな職場なので、興味のある方はジョブメドレーに登録されているデイサービスの看護師求人やデイケアの看護師求人をご覧になってみてくださいね。