1.資格がなくても保育の仕事ができる「子育て支援員」
2015年度から施行された「子ども・子育て支援法」によって、小学校就学前のすべての子どもを対象とする保育や子育て支援の場が広がることになりました。しかし、保育士など保育や子育て支援に係る人材が不足しており、これが現状大きな課題となっています。
そこで、地域の子どもが健やかに成長できる環境を確保できるように、保育や子育て支援に関心があり、保育の仕事をしたい人を活用する新たな仕組みがスタートしました。それが子育て支援員制度です。子育て支援員として働きたい人のために、各種の研修が用意されています。
2.地域ごとに子育て支援員研修を実施
研修は都道府県、または市町村単位で行われます。研修終了後に「子育て研修修了証書」が交付され、全国どこでも子育て支援員として働くことができます。
東京都の場合、研修受講料は原則として無料ですが、テキスト代、交通費、昼食代、健康診断費用(見学があるコースのみ)が必要です。大阪市の場合は、「基本研修」と「専門研修(一時預かり事業研修の場合)」で費用は5,000円となっています。
子育て支援員になりたい人すべてが受ける「基本研修」は8科目8時間。保育や子育て支援分野の各事業で働くために必要な基礎的知識や技術などを学びます。また、事業の特性に応じた「専門研修」では、子育て支援事業の特性に合った専門的な内容を習得します。「専門研修」の科目数や時間数はそれぞれ異なります。
3.希望する事業に応じて4コースから選択
一口に保育や子育ての仕事といってもその事業はたくさんあり、必要となる知識も異なってきます。そこで、子育て支援員研修では、各事業(職場)の特色に応じて4つのコースが設定されています。各コースではどんな事業に対応しているのかみてみましょう。
(1) 地域保育コース
「一時預かり事業」の保育従事者として働く場合に、地域保育コースの研修が義務付けられています。また、「事業所内保育事業」や「小規模保育事業」で保育従事者、「家庭的保育事業」で家庭的保育補助者として働く場合は、地域保育コースのうち地域型保育の研修が必須です。
(2) 地域子育て支援コース
「地域子育て支援拠点事業」「利用者支援事業・普通型」「利用者特定事業・特別型」の3事業で、専任職員として働く人のための研修です。職場には子育てひろば、子供家庭支援センターなどがあります。
(3) 放課後児童コース
「放課後児童クラブ(学童保育)」の補助員として働く人のための研修内容になっています。
(4) 社会的養護コース
「乳児院」や「児童養護施設」などで補助的職員として働く人のための研修内容になっています。
4.子育て支援員の研修を受けるメリット
子育て支援員は保育や子育てに関する知識を持った人材として、上記以外にもさまざま職場で働くことができます。国家資格ではありませんが、資格として評価してくれる事業者は少なくありません。研修時間がそれほど多くなく、試験を受けなくてもいいことも大きな魅力でしょう。
子育て経験者に限らず、保育や子育て支援の仕事に携わりたいと考えている人なら、誰でも受講できる子育て支援員の研修。「保育の仕事を始めたい!」と考えている方は、受講してみてはいかがでしょうか。