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密着した人
介護タクシードライバー 森裕亮さん(40)
美容師として15年勤務したのち、介護タクシー事業を展開するスギコー株式会社に転職。無資格・未経験で入社し普通自動車二種免許と介護職員初任者研修を、次いで介護福祉士資格を取得。現在は介護ドライバー・サービス提供責任者・美容師として勤務している。
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【7:00】出勤、事務作業

森さんの出勤時間は7時または7時半。この日は7時少し前に出勤しました。オンラインで打刻をしたら業務開始です。まずは乗務日報に利用者の氏名、到着時間、行き先、事務所への戻り時間を記入したら、次はデータ入力です。介護保険利用者の乗車時間や介助料金をパソコンに入力します。

30分ほど事務作業をしたら出発準備をします。窓ガラスと車体を拭いていざ出発です!
【8:00】1件目 送迎
住宅街にある利用者宅に向かい、クリニックへ送ります。

車椅子を押してリフトに乗せたら駐車用ブレーキをかけ、ストッパーとシートベルトを締めます。

ストッパーが確実に装着されているか直接触れて再確認し、静かにドアを閉めます。出発したらメーターをスタートします。

目的地に到着したらメーターを止め、クリニックの職員のもとまで車椅子を押します。リフトを戻したら1件目終了です。

森さん「一日こんな感じです。時間どおりに目的地に行って利用者さんを乗せて、送迎をしながら和気あいあいと仕事しています。安全運転が第一なので、急ブレーキを踏まないことと、アクセルを踏む際にG(加速度)がかからないよう常日頃から気をつけています」
【8:35】2件目 送迎

利用者を自宅からクリニックに送りました。
【9:30】3件目 送迎
介護ドライバーの業務は目的地までの移送だけではありません。病院に行くための準備を含む外出介助や、車椅子への移乗介助もおこないます。

このお宅ではベッドから車椅子に移乗し、クリニックへ送りました。

森さん「配車の依頼はご本人やそのご家族から来ることもあれば、ケアマネジャーから来ることもあります。ケアマネジャーからの依頼ということは介護保険を利用している方なので、どの程度体が動くのか、寝室がどこにあるかなどを事前に聞いています」
【10:30】4件目 ヘアカット

事務所に戻ったら次はヘアカットです。美容師免許を持つ森さんは介護ドライバーの傍ら、訪問理美容で利用者のヘアカットも引き受けています。「美容師としての腕をさびつかせたくない」と会社と話し合い、希望が通ったそうです。
バッグに道具一式(すきばさみ、ドライカット用はさみ、長いはさみ、短いはさみ、量感調節用のはさみ、クロス、ブルーシート、手鏡)を入れたら自転車で利用者宅に向かいます。
【11:30】昼食

ヘアカットの帰りにスーパーで温かいそばを買いました。
【13:00】5件目 送迎

急な依頼が入りました。利用者を病院に迎えに行き、近隣の自宅へ送ります。困っている利用者からの依頼があれば、イレギュラーな送迎もできる限り受けるようにしているそうです。
【13:30】事務所に戻って事務作業

送迎の合間は「待機時間」となり、いつでも稼働できる状態で待ちます。この時間を利用して事務作業をおこないます。
森さんはサービス提供責任者でもあるため、利用者一人ひとりのモニタリングや契約書の作成、介護保険を利用する人の訪問介護計画書を作成することもあります。
介護タクシーの訪問介護計画書には「車椅子で安全に通院するため、歩行介助で車に乗り込める」といった、車に乗るまでの細かい目標を記載するそうです。
【15:40】6件目 送迎

午前中にクリニックに送った利用者を迎えに行き、自宅へと送ります。到着したら車椅子を押し、部屋の中まで移動してベッドへ移乗します。

車の運転に加えて介護業務もおこなう介護ドライバーのやりがいを聞いてみました。
森さん「利用者さんに『ありがとう』と言ってもらえるとやりがいを感じます。感謝される仕事に就けていることが、社会においての存在意義だと思いますね」
【16:30】事務所に戻って事務作業

この日は1時間ほど残業をするので残業申請をし、利用人数、運行時間、売り上げ金額をまとめて日報に記入しました。この時間から放課後等デイサービスの送迎をおこなう日もあるそうです。
【17:00】退勤

パソコンで打刻をしたら業務終了です。
おつかれさまでした!
「スキルアップをしながら環境整備をしていきたい」
業務の合間に介護ドライバーになったきっかけと、これからの展望を聞きました。

およそ5年前、当時勤めていた美容室に車椅子のお客さんが来たのをきっかけに、介護の仕事を意識するようになりました。その後、将来を見据えて15年続けた美容師を辞めることにしました。
ハローワークで運転と介護をできる仕事を探したところ、紹介されたのがスギコー株式会社でした。その日のうちに面接を受けに行き、契約社員として採用が決まったそうです。
介護タクシーのドライバーとして働くには自動車二種免許と介護職員初任者研修以上の資格取得が義務付けられています。どちらの資格も持っていませんでしたが、入社後、全額会社負担で取得。2022年には介護福祉士国家試験にも合格し、晴れて正社員として登用されました。現在は希望どおり介護ドライバー、サービス提供責任者、美容師と三足のわらじを履いてます。
責任あるポストに就き、今後をどう見据えているのかを聞いたところ、静かにこう語ります。
森さん「先輩が卒業して仕事を任されても、1から10まですべてできるようスキルアップを目指しています。あとは、入社してくれる人たちが自分らしく運転ができて、教育もできる環境を整えていきたいですね。ヘアカットの利用者も増やしていきたいので、ゆくゆくは専用の車も欲しいです(笑)」
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取材協力:スギコー株式会社