目次
1.保育士・保育所支援センターとは
保育士・保育所支援センターとは、保育士資格を持ちながら離職している潜在保育士や、保育士になりたい人、保育所を対象に就職や採用のサポートをおこなう機関です。都道府県や指定都市、政令市が主体となって運営しており、47都道府県に全部で75ヶ所設置されています(2025年4月時点)。
主なサポート内容は、保育士資格を持ち実務経験のある就職支援コーディネーターによる求人案内や相談対応、復職に役立つセミナー・研修の開催です。

これまでは、保育士・保育所支援センターの設置や運営方法は各自治体に委ねられていましたが、2025年4月に可決された改正児童福祉法により、2025年10月をめどに法律で定められることになりました。これにより、センターの業務内容や国・地方公共団体との連携強化などが規定されるため、有資格者の就職支援強化が期待されています。
法定化の背景
法定化の背景には、保育士不足の深刻化があります。求職者1人あたりに何件の求人があるかを表す有効求人倍率は、全産業平均で1.03ですが、保育士は2.50と2倍以上となっています。

また、2021年時点での保育士登録者数は約173万人ですが、実際の従事者数は約66万人と、全体の4割にも満たない状況です。

2.保育士・保育所支援センターのサポート内容
保育士・保育所支援センターでは、主に以下のようなサポートを無料で提供しています。
相談対応
「ブランクがあり再就職が不安」「時短で働きたい」などの再就職に関する悩みのほか、資格取得に関する相談に対応します。
セミナー・講習の実施
保育に関する知識や魅力を伝えるセミナー・講習を実施します。保育所職員による「今求められる保育士像」についてや、保育実習など内容は自治体ごとに異なります。
求人情報の提供
保育士再就職支援コーディネーターが配置されており、求職者のニーズに合う求人の紹介や、保育所の見学の調整・同行などをおこないます。
保育所向けの相談対応
保育所の雇用管理、採用方法などに関する相談対応やアドバイス、募集要項の調整をおこないます。また、園長などに対して雇用管理の改善を目的とした研修も実施します。
3.保育士・保育所支援センターの一覧
保育士・保育所支援センターは、各都道府県に設置されていますが、なかには「保育士再就職支援コーディネーター」のみを配置している地域や、複数の指定都市や中核市が合同で設置しているケースもあります。
サポート内容はセンターごとに異なるため、利用する際は最寄りのセンターに確認しましょう。すぐに就職する予定がなくても、保育士・保育所支援センターに登録することで、求人や就職相談会、研修などの情報が提供され、継続的な支援が受けられます。
センターの一覧は下記リンク先をご確認ください。
>保育士・保育所支援センター等の連絡先
4.潜在保育士の活躍に期待
保育士・保育所支援センターは、主に潜在保育士を対象に、再就職を後押しする機関です。慢性的な人手不足が続くなか、現場では潜在保育士の活躍が期待されています。
児童福祉法の改正により、2025年10月をめどに保育士・保育所支援センターの法定化が進められる方針です。センターの業務が整備されることで、保育士・保育所双方にとって、より実効性のあるサポートが期待されます。
参考
- こども家庭庁|「保育士・保育所支援センター」とは
- 厚生労働省|保育士・保育所支援センター設置運営事業の実施について