契約社員とは?正社員や派遣との違い、メリット・デメリット、無期雇用になる方法を解説

契約社員は期間を定めて働く雇用形態です。近年は働き方が多様化し、さまざまな雇用形態があるため、その違いがわからないという人もいることでしょう。この記事では、契約社員にはどのような特徴があるのか、正社員やその他の働き方との違い、働く前に知っておくべきポイントを解説します。

契約社員とは?正社員や派遣との違い、メリット・デメリット、無期雇用になる方法を解説_KV

目次

1.契約社員とは

契約社員とは、期間を定めた労働契約(有期労働契約)を企業と結んで働く雇用形態を指します。契約期間は、半年や1年など企業ごとに異なりますが、労働契約法で最長3年と定められています。ただし、医師歯科医師薬剤師などの専門的業務従事者と満60歳以上の労働者の上限は5年です。

なお、契約社員は契約職員とも呼ばれますが、ほぼ同じ意味で使われます。企業で働く場合を契約社員、医療・福祉業界に多い社会福祉法人や学校などで働く場合を契約職員と呼ぶのが一般的です。

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2.契約社員と正社員、派遣社員との違い

 

契約社員

正社員

派遣社員

労働契約期間

あり

なし

あり

雇用元

勤務先企業

勤務先企業

派遣元企業

給与体系

月給・日給

月給・年俸

時給

昇進・昇給

原則なし

あり

原則なし

ボーナス

あり

あり

派遣元による

退職金

あり

あり

派遣元による

社会保険

あり

あり

あり

転勤

なし

あり

なし

労働契約期間

  • 契約社員:雇用期間に定めのある有期雇用契約。最短雇用契約期間の定めはなく、期間満了ごとに契約を結び直す。
  • 正社員:雇用期間の定めのない無期雇用契約。
  • 派遣社員:雇用期間に定めのある有期雇用形態。最短雇用契約期間は31日間から。労働者、派遣元、派遣先の三者が合意のうえ、契約を更新することで最長3年まで労働期間を延長可能。

雇用元

  • 契約社員・正社員:企業、医療法人・社会福祉法人などの法人、個人事業主などと「直接雇用」契約を結ぶ。
  • 派遣社員:派遣元の企業と雇用契約を結び、派遣先で働く「間接雇用」。派遣先が具体的な業務の指示や指導をおこなうが、所属は派遣元。

給与体系

  • 契約社員:月給制または日給制による支払いが一般的。
  • 正社員:月給制または年俸制が一般的。
  • 派遣社員:時給制が多い。

昇進・昇給

  • 契約社員:役職変更や、昇給は原則なし。ただし、契約更新時の交渉などにより昇進や昇給の可能性はある。
  • 正社員:勤続年数や成果など企業が定めた評価基準に従い、昇進・昇給のチャンスがある。
  • 派遣社員:派遣元から給与が支払われるため、派遣先と同じ評価が適用されることはなく、原則として昇進・昇給はなし。ただし、契約更新時などで、派遣元と交渉することは可能。

ボーナス

  • 契約社員:支給有無は企業ごとに異なる。厚生労働省が2021年におこなった調査では、53.8%の企業で契約社員にもボーナスを支給
  • 正社員:支給有無は企業ごとに異なる。上記の調査では86%の企業が支給と回答。
  • 派遣社員:一般的に時給制度が採用されているため、ボーナスの支給はなし。

退職金

  • 契約社員:支給有無は企業ごとに異なる。厚生労働省の調査では、契約社員に退職金を支給した割合は15.5%
  • 正社員:支給有無は企業ごとに異なる。同調査では、正社員に退職金を支給している企業の割合は77.7%
  • 派遣社員:派遣元による。支給方法は基本給に上乗せして支払われる退職金前払い制度や、退職時に一括支給など。

退職金について詳しくはこちら
退職金の相場はいくら?勤続年数、産業別の金額といくらもらえるか確認する方法

社会保険

社会保険は雇用形態に関わらず、次の条件に当てはまる場合、雇用主には労働者を加入させる義務があります。

健康保険

厚生年金

次の1もしくは2のすべての条件を満たす場合

  1. 1日または1週間の労働時間および月の所定労働日数がおおむね正社員の4分の3以上
  2.  
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2ヶ月を超えて雇用される見込みがある
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 学生でない
  • 従業員51人以上の会社で働いている。もしくは従業員50人以下の会社で社会保険に加入することを労使で合意している

介護保険

40歳以上のすべての人が加入

雇用保険

次のすべての条件を満たす場合

  • 31日以上継続して雇用される見込みであること
  • 週の所定労働時間が20時間以上であること

労災保険

雇用されるすべての労働者が加入


事業者が、条件を満たしている労働者を加入させない場合違法となります。

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tips|臨時職員、特定有期雇用職員、準社員、嘱託社員とは?

契約社員、正社員以外にもさまざまな雇用形態と呼称があり、それぞれの意味は次のとおりです。

  • 臨時職員……雇用期間を定めて臨時で雇用される社員。契約社員とほぼ同義
  • 特定有期雇用職員……専門的な知識を持つ、または60歳以上も引き続き同じ事業主に雇用される労働者で、無期雇用への転換期間が延長されるなどの特別措置が取られる職員
  • 準社員……正社員に“準ずる”社員として、正社員と非正規社員の中間の立場
  • 嘱託社員……定年退職後に再雇用される社員

3.契約社員のメリット・デメリット

契約社員として働く場合、メリット・デメリットともにあります。

メリット

異動や転勤がない

あらかじめ部署や勤務地が雇用契約で定められているため、契約期間中は基本的に異動や転勤がありません。育児や介護、通院などで居住地や生活リズムの変更が難しい人にとっては、生活環境を維持しやすい働き方です。

勤務日数や時間を調整できる

雇用契約で勤務日数や時間が決められているため、ワークライフバランスが取りやすい場合があります。希望条件に合った求人を探し、資格取得のための通学や保育園の送迎などと両立させることも可能です。

得意分野を活かせる

働く期間だけでなく、業務内容もあらかじめ雇用契約で定められているため、得意分野や経験を活かせる働き方といえます。正社員より業務範囲が限られることが多く、仕事内容を絞って求人を選べるのも魅力です。また、職務内容の変更が少ないため環境の変化が苦手な人にとっても、無理のない働き方ができる傾向があります。

デメリット

昇進・昇給のチャンスが少ない

契約社員は業務範囲に限りがあるため、昇進や役職に就く機会がほとんどありません。キャリアアップを希望している人にとっては、物足りなさを感じる可能性があります。

また、昇給のチャンスも正社員と比べて少ないほか、継続的な収入を得られる見込みが正社員よりも低いため、住宅ローンの審査が通りづらいなどの影響もあります。

社会情勢の影響を受けやすい

会社の業績や景気の悪化により、契約を打ち切られてしまう可能性があります。労働者が契約更新を希望していても、会社や社会情勢などの状況次第では、人員調整の対象となりやすい点がデメリットです。

正社員と比べて賃金が低い傾向

2021年に厚生労働省が契約社員を対象におこなった調査によると、全産業の平均年収で最も多かったのは100〜200万円以下の34.3%で、次いで200〜300万円が30.4%と続きます。同年の全産業の平均年収(正社員)では、約490万円となっており、契約社員のほうが給与水準が低いことがわかります。

4.契約社員から正社員になるには

契約社員から正社員になるには、主に次の3つの方法があります。

(1)無期転換ルールを利用する

無期転換ルールのイメージ

2013年に労働契約法が改正され、同じ職場での契約期間が通算5年を超えた場合、無期雇用契約への転換が認められる「無期転換ルール(通称:5年ルール)」が定められました。働き始めてから5年が経過したら自動的に無期雇用に転換されるわけではなく、「労働者自らが雇用主へ申請した場合のみ」適用となる点に注意しましょう。また、雇用主は申し出を断ることはできません。

ただし、無期雇用になったからといって、正社員になれるとは限りません。待遇はそのままで契約期間の定めだけがなくなる「無期雇用社員」や、勤務地や業務内容が限定される「限定正社員」となるなど、企業ごとに扱いが異なります。

(2)正社員登用制度を利用する

正社員登用制度とは、契約社員を含む非正規雇用から正規雇用へと転換する制度です。制度の有無や登用する際の基準は企業ごとに異なります。筆記試験や面接などの選考が設けられている場合もあるため、就業規則で確認するのがおすすめです。

また、ジョブメドレーでは「正社員登用あり」の条件に絞って求人検索もできますので、活用してみてください。

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(3)正社員として転職する

勤務先で継続して働きたくない場合や、正社員登用制度がない場合は、正社員として転職するのも一つの方法です。正社員になると責任も増しますが、業務範囲も拡大し、スキルアップやキャリア形成もしやすくなります。

ジョブメドレーでは、雇用形態を「正社員」に絞って求人検索できます。

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5.契約社員として働く際のチェックポイント

入社後に「思っていたのと違った」という事態を避けるため、契約を結ぶ前に以下の点を確認しておきましょう。

契約期間

契約期間は、最長3年以内であれば企業が自由に設定できます。3年以上働く希望があるのに、契約期間が1年だと契約更新されない可能性もあるため、注意が必要です。

業務内容

契約社員の業務は雇用契約を結ぶ前に、企業側が提示しなければなりません。求人や面接で見聞きした業務内容と相違があれば、入社前に人事部門に確認しましょう。

勤務地と時間

契約社員は基本的に転勤がありませんが、雇用契約書に「業務上必要がある場合に転勤を命ずる」などと記載があれば、入社前に人事に確認しましょう。また、勤務時間に関して、始業・終業時間、休憩時間、残業の有無のほか、休暇日数もチェックします。

給与形態

日給制や月給制など、給与形態やその計算方法のほか、ボーナスの有無や賃金の支払われる時期も確認しましょう。契約後、賃金を上げることは難しいため、納得がいかない場合は入社前に交渉することが大切です。

給与交渉の詳しい方法はこちら
【例文つき】転職で給与交渉するのはあり?メール・面接での切り出し方や書き方を解説

就業規則

労働条件の効力は、個別の雇用契約書(労働条件通知書・労働契約書)よりも就業規則が優先されるため、雇用契約書以外にも、会社の就業規則を一読しておくと安心です。

6.希望の条件に合う働き方を

契約社員は、期間に定めがある雇用形態ですが、ワークライフバランスが取りやすく、専門性が高められる働き方です。無期転換ルールができたことや、正社員登用制度により、無期雇用社員や正社員になるチャンスもあります。

ジョブメドレーに掲載中の契約社員の求人には、業務内容、給与、福利厚生、社会保険の加入などの待遇が詳しく記載されています。「退職金あり」「賞与あり」など条件を絞って探すこともできますので、希望に合う職場を探してみてください。

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退職金あり/賞与あり/住宅手当
資格取得支援/研修制度あり
無資格可/未経験可

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