1. 【2019年最新版】臨床心理士の資格・仕事内容・試験難易度・年収・公認心理師との違いなどについて!

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コラム2019/08/13
【2019年最新版】臨床心理士の資格・仕事内容・試験難易度・年収・公認心理師との違いなどについて!

心の問題を解決する心理学のプロフェッショナル「臨床心理士」について、その働き方や年収、資格の取得方法、試験の難易度や合格率、公認心理師との違いなどについて徹底調査しました。

診療心理士画像

1.臨床心理士とは?

臨床心理士はクライアントの心の問題を解決していく、心理学の専門家です。

心理学と一括りにしても、その学問の幅は広く「行動心理学」「社会心理学」「犯罪心理学」「産業心理学」「スポーツ心理学」など様々です。臨床心理士はその中でも「臨床心理学」に特化した資格として、1988年に日本臨床心理士資格認定協会により定められました。

■そもそも「臨床」とは?

臨床心理・臨床検査・臨床研究など、「臨床」とつく言葉はよく耳にするけれど、言葉としての意味をよくわかっていない人も多いのではないでしょうか。

臨床は「現場」や「実践的な」というような意味合いを持ち、医療分野においては患者さんに対して直接的な診察や診療をおこなうことを指します。

2.臨床心理士の仕事内容

臨床心理士は、心理検査(心理テスト)やカウンセリングなどの心理療法を駆使してクライアントの心の問題を解決に導いていきます。

臨床心理士のおこなう専門業務について、日本臨床心理士資格認定協会では以下の4種に分けて定義されています。

(1)臨床心理査定
種々の心理テストや観察面接を通じて、個々人の独自性、個別の固有な特徴や問題点の所在を明らかにすること。また同時に、心の問題で悩む人々をどのような方法で援助するのが望ましいか明らかにしようと、他の専門家と共に検討する。

(2)臨床心理面接
来談する人の特徴に応じて、さまざまな臨床心理学的技法(精神分析、夢分析、遊戯療法、クライアント中心療法、集団心理療法、行動療法、箱庭療法、臨床動作法、家族療法、芸術療法、認知療法、ゲシュタルト療法、イメージ療法など)を用いて、クライアントの心の支援に資する。臨床心理士の最も中心的な行為。

(3)臨床心理的地域援助
地域住民や学校、職場に所属する人々(コミュニティ)の心の健康や地域住民の心理的被害の支援活動を行うこと。また、一般的な生活環境の健全な発展のために、心理的情報を提供したり提言する活動も“地域援助”の業務に含まれる。

(4)上記3つに関する調査・研究
心の問題への援助をおこなっていくうえで、技術的な手法や知識を確実なものにするために、基礎となる臨床心理的調査や研究活動を実施する。

日本臨床心理士資格認定協会HPより一部抜粋

point

代表的な臨床心理学技法の概要

精神分析 クライアントの思うままに話してもらうなどし、クライアントの心に浮かんだ一連の連想を手がかりに、心の奥底を分析していく。週4日以上の面接が必要になるため、現在はあまりおこなわれていない。
遊戯療法 おもに子どもを対象とし、言葉のやりとりではなく遊びを通して、心の問題やストレスをケアしていく。
クライアント中心療法 「クライアントが中心で、カウンセラーは脇役」という考え方でおこなう療法。そのためカウンセラーは積極的な指示やアドバイスよりも、傾聴に比重を置く。
集団心理療法 数名のグループでの対人交流や活動を通しておこなう療法。集団に受容・承認される体験や社会性の獲得など、グループ内での相互作用が生まれる。
行動療法 クライアントの行動をコントロールし、「こころ・精神」ではなく行動修正から精神疾患を治療していく。
認知療法 「自分の考え方」や「ものの見方」など、そういった「自分自身の認知」を分析し、認知の歪みを修正することで症状の改善を図る。
家族療法 家族や職場など、身近な人とのコミュニケーションに注目し、その領域にける悪循環を改善し、コミュニケーションを修正する心理療法。通常は家族とも面接をおこなう。
芸術療法 絵画・音楽・写真などさまざまな芸術分野を通して自己表現をし、治療へと導いていくもの。

3.臨床心理士の働く場所

就業場所の割合を領域別でみると、「医療・保健領域」が最も多く41.9%、次いで「教育領域」が36%、「大学・研究所領域」が25.3%という結果でした。

臨床心理士就業領域別の割合

出所:一般社団法人 日本臨床心理士会/第7回「臨床心理士の動向調査」

ただし、臨床心理士は非常勤で働く人が多く、複数の領域で就業している場合があるため、上記のグラフは複数回答のものとなっています。

臨床心理士の就業形態の割合と、1人あたりの就業する領域数については下記グラフの通りです。

臨床心理士就業領域数


臨床心理士就業領域数

出所:一般社団法人 日本臨床心理士会/第7回「臨床心理士の動向調査」

臨床心理士の仕事内容はどんな領域においても「心の問題の解決」というベースがありますが、領域によって職場や対象とするクライアントなどが異なります。それぞれの働き方についてみていきましょう。

<医療・保健領域>

働く場所は主に病院とクリニックになります。精神科や心療内科を中心に、総合病院では内科や外科などを横断的に対応することもあります。仕事内容としては患者さんに対するカウンセリング・心理検査・集団精神療法など。基本的には主治医の指示に従い、検査やカウンセリングを実施し、所見を医師に伝えます。

<教育領域>

教育領域での、臨床心理士の代表的な働き方として「スクールカウンセラー」があげられます。スクールカウンセラーは小学校~高等学校で働き、基本的には非常勤職員という扱いになります。仕事内容は生徒・保護者・教職員とのカウンセリング、保護者や教職員向けの助言や研修、ストレスチェック等による予防的対応などです。

またスクールカウンセラーのほかにも、幼稚園で働くキンダーカウンセラー、自治体における教育相談室や教育センターなども教育領域に含まれます。

過去にインタビューをした臨床心理士のTさんは、高等学校のスクールカウンセラーとしてのエピソードを以下のようにお話ししてくれました。生徒とのふれあいの時間も楽しみのひとつとなるようです。

ギャルな子が多い学校だったんですが、そういう子たちが調理実習で作ったパンとかカレーをくれるんですよ。見た目がものすごいギャルなだけに、そういう純粋な気持ちがすごく嬉しかったですね。

「これ読んでうちらの気持ち勉強しなー」って、ポップティーンや小悪魔agehaなどのギャル雑誌を読まされました(笑)。

▼臨床心理士 Tさんの転職インタビューはこちら

【転職者インタビューvol.27】臨床心理士15年目41歳/フリーランス(スクールカウンセラー、学校講師、ライター等)

<大学・研究所領域>

大学・専門学校・研究機関などで働く臨床心理士は、主に教育や講義、心理系学問を発展させるための研究などをおこなっています。これから臨床心理士を目指す学生の指導も重要な仕事です。

また、大学や専門学校に設置された学生相談室や教職員向けの相談業務もここに含まれます。

<福祉領域>

福祉領域においては児童相談所・療育施設・心身障害者福祉センターなど、臨床心理士の活躍の場は多数あり、こういった福祉施設では地方公務員として採用されることが多いです。

その中でも有名な職種として、児童相談所で働く「児童心理司」があります。被虐待児とその保護者に対して心理検査やカウンセリングをおこない、心理状態の診断とその後の処遇を検討します。

<産業・組織・労働領域>

一般企業などに配置され、その組織に所属する人を対象とします。メンタルヘルスケアの研修による予防、職場の悩みやうつ症状を改善するためのカウンセリング、回復した従業員へのケアなどを中心におこないます。

昨今は一般企業においてもメンタルヘルスケアが重要視されているため、今後も需要が伸びそうな領域です。

<司法領域>

司法領域とは、裁判所・少年院・刑務所・鑑別所・警察などを指します。司法領域で働く場合も基本的には公務員としての勤務になります。主な職種としては「家庭裁判所調査官」「法務教官」「保護観察官」などがあげられます。いずれも臨床心理士の資格が必須というわけではなく、臨床心理士になるまでに学んだことを業務に活かすことができる職種といえます。

<私設心理相談領域(開業)>

臨床心理士としての「開業」が、この「私設心理相談領域」にあたります。個人または組織でカウンセリングルームなどの心理相談機関を開設し、運営します。利用者個人の心の問題から、家庭の問題、学校や職場での相談ごとなど、様々な心理的問題の課題解決に取り組みます。

4.臨床心理士になるには?大学院は必須?

臨床心理士の資格を取得するためには、日本臨床心理士資格認定協会の資格試験に合格する必要があります。とはいえ誰でも受験できるというわけではなく、指定された大学院・専門職大学院の修了を基本とした、一定の受験要件が定められています。また、国家資格とは違い一度取得すれば更新不要というわけではなく、5年に一度の更新が必須となります。更新するには、指定の研修会やワークショップに参加するなどし、5年以内に規定の実績を達成する必要があります。

4-1.主な受験資格

主な受験資格は以下の通り。

  • ● 指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者
  • ● 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者
  • ● 諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者
  • ● 医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験2年以上を有する者など
  • 日本臨床心理士資格認定協会HPより引用

    4-2.通信制の大学院も存在する

    数は少ないのですが、臨床心理士の受験資格を満たせる通信制の大学院もいくつかあります。

    通信制のメリットは、「基本的には通学しなくてよい」こと。そのため、社会人として働きながら資格取得を目指すことも可能です。しかし、通信制と言ってもスクーリング(通学)が必須の科目もいくつかあるため注意が必要です。スクーリングの日数は大学院にもよりますが、3年間でおおよそ30日~40日としているところが多いです。詳しくは各大学院に問い合わせて確認しましょう

    通信制の大学院の例


    4-3.試験の難易度や合格率

    2018年度の臨床心理士試験の受験者数は2,214人。そのうち合格者は1,408人で合格率は63.6%でした。ここ数年の合格率は60~65%程度で推移しており、合格者数は半数を超えているものの、余裕を持って合格できるとは言えない難易度でしょう。

    ここ数年間における受験者数と合格率の推移は以下の通りです。

    臨床心理士合格率

    5.公認心理師との違い

    心理職としての新しい資格「公認心理師」が、2017年に新たに定められました。臨床心理士との1番の違いは「国家資格である」という点です。

    公認心理師の受験要件としても大学院での修了が必要とされるているうえ、現状では職域においても重なっている部分も多く、明確な差別化はされていません。今後は公認心理師が心理職における主流の資格となり、臨床心理士が発展形の上位資格となるのか、それともそれぞれで差別化が図られ専門性を追求していくのか。これからの動向が気になるところです。

    ▼公認心理師についての記事はこちら!

    【2019年最新版】公認心理師とは?臨床心理士との違い・受験資格・仕事内容・現任者講習などについて調査しました!

    あわせて、その他の代表的な心理職資格についても簡単に確認していきましょう。

    その他の心理職資格

    認定心理士 高度な専門性を担保する資格ではなく、大学において心理学の基礎を学んだことを証明する資格。そのため、この資格のみを根拠として就労することは少ない。
    産業カウンセラー 2001年までは公的資格だったが、その後民間資格となった。企業におけるメンタルヘルスの対策や、職場環境改善等の支援をおこなう。管理職や人事担当者が取得することもある。
    学校心理士 学校などの教育機関において、生徒・保護者・教職員のカウンセリングや相談業務にあたる民間資格。スクールカウンセラーが職種名なのに対して、こちらは資格名となる。
    臨床発達心理士 子どもから大人までの「発達」に関連する問題に対して支援する。児童相談所や児童福祉施設では、臨床心理士と並んで応募要件に含まれていることもある。

    6.臨床心理士の年収

    日本臨床心理士会が定期的に発表している「臨床心理士の動向調査(第7回)」によると、2015年における臨床心理士の年収は、300万円台が最も多く19%、続いて200万円台が16.5%、400万円台が15.5%、500万円台が9.3%となっており、200~400万円台が約半数を占めていました。

    過去にインタビューをした臨床心理士のTさんは、「不登校対策キャンプの相談員」「若者の就労支援」「通信高校のスクールカウンセラー」「調理師専門学校のスクールカウンセラー」「医療メディアの記事執筆」の、5つの仕事を非常勤で掛け持ちしており、年収にして約470万円ほどでした。

    7.臨床心理士のやりがい・つらいこと

    心の問題により塞ぎ込んでしまった子どもや仕事を辞めてしまった人が、自分のカウンセリングや心理療法によって元気を取り戻し、再び充実した生活を送っている。そういった姿をみることができると大きなやりがいに繋がるでしょう。

    一方でつらい点として、医療機関で働く場合、臨床心理士のおこなうカウンセリング・心理療法には保険点数が適応されません。心理検査には保険点数がつきますが、それだけで十分高い点数になるとはいえません。そのため医療機関側にしてみれば金銭的なプラスが少なく、臨床心理士に対する給与も高額にしづらい状況があるようです。

    8.診療報酬上の臨床心理士のあつかい

    これから心理職の従事者は、大きく分けて以下の4パターンになると考えられます。

    1.臨床心理士資格のみを持つ人

    2.公認心理師資格のみを持つ人

    3.臨床心理士と公認心理師どちらの資格も持つ人

    4.その他の資格のみを持つ人

    臨床心理士のなかには、公認心理師を取らずにこのまま働いていこうと考えている人もいるかと思われます。しかし、その場合に注意しなくてならない点として「医療機関における働き方」があげられます。

    これまでの診療報酬上では心理職に従事する者を「臨床心理技術者」とし、資格要件などはとくに存在していませんでした。しかし「平成30年度診療報酬改定の概要」において、以下のような決定がなされました。


    公認心理師に関する国家試験が開始されることを踏まえ、診療報酬上評価する心理職については、経過措置を設けた上で、「公認心理師」に統一する

    最初の国家試験が行われる平成30年度については、従来の「臨床心理技術者」に該当する者を、公認心理師とみなす。

    平成31年度以降、当面の間、以下のいずれかに該当する者を公認心理師とみなす。

    (1) 平成31年3月末まで保険医療機関で従事していた臨床心理技術者

    (2) 平成31年4月以降新たに臨床心理技術者として従事する者のうち公認心理師の受験資格を有する者


    つまり、これからは臨床心理士では保険診療によって保険点数を得ることができなくなったとみられます。経過措置があるため2019年3月末まで医療機関で働いていた人は、診療報酬の運用上では公認心理師としてみなされますが、2019年4月以降に新たに従事する場合は公認心理師の資格取得が必須となります。

    なお、この経過措置には明確な期間が定められていないため、“みなし期間”がいつ終了するかは2019年8月時点では発表されていません。

    9.最後に

    今後の臨床心理士はどのような立ち位置になっていくのか、公認心理師とどのように差別化が図られていくのか、などはいまだ未知数です。しかし国家資格という明確な基準ができたことで「公的機関においては公認心理師資格を持っていることが雇用の要件となる可能性も高い」という声もあります。

    さらに今後は、診療報酬における心理職が、公認心理師のみに統一化されます。

    今後の臨床心理士の立場が不透明である以上、これからは臨床心理士のみでなく、並行して公認心理師の資格取得も目指すことが無難といえるでしょう。

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