目次
1.アクティブエイジングの意味
アクティブエイジングとは、生活の質を下げることなく社会参加を続けながら年齢を重ねていくこと、そのための社会的な取り組みを指します。
アクティブエイジングという言葉は、1999年の世界保健機関(WHO)や2002年における国際連合の高齢者問題世界会議で使われ始めました。WHOによると、アクティブエイジングは単に身体が活動的でいられることや、労働に従事する能力があることだけでなく、社会的、経済的、文化的、精神的、市民的な事柄への継続的な参加を指すとしています。
高齢化は日本だけでなく世界でも急速に進んでいます。1950年代に世界の総人口における65歳以上の割合は5.1%でしたが、2020年には9.3%に上昇。2060年には17.8%にまで上昇すると推測されています。
高齢化が進むことで労働力の減少による経済成長率の低迷や、医療や介護にかかる費用の負担と給付のバランスが崩れるなど社会保障への影響が懸念されます。こうした課題解決のため、高齢者が社会に参加し、いきいきと生活を送ることが今後ますます重要になってきます。
2.アクティブエイジングで大切な3本柱
WHOでは、「健康」「参加」「安全」をアクティブエイジングの政策において3本柱としています。

3.高齢者が活躍する仕事
アクティブエイジングで重要視される「参加」。スキルに応じた労働や社会活動に参加することで、高齢者の孤立や人手不足解消の一助になります。
高齢者が体力や経験に合う労働の機会を得ることは、社会全体にとっても有益です。医療・福祉の現場ではそれまでの人生経験を活かせる職場や、新たに学びとなる分野での就労などで高齢者の活躍に注目が集まっています。以下、高齢者が活躍する職場の例を紹介します。
介護助手
介護福祉士などの資格を持っていなくても、専門職のサポートをおこなう介護助手や清掃、調理補助などとして働くことができます。介護人材が不足している施設は多く、元気な高齢者が介護業界で活躍することに期待が寄せられています。
保育補助
介護業界と同様に慢性的な人材不足の悩みを抱える保育業界でも、元気な高齢者が活躍しています。保育士の資格がなくても、保育補助として保育士のサポートができます。自治体によっては、保育補助への就労を支援する講習が開かれているところもあり、いきなり現場に入ることが不安な人は活用してみるのも良いでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育)の補助員
小学校に通う子どもたちが放課後や学校が休みの日(土曜日、夏休み、春休みなど)に安心して過ごせる遊びや生活の場である放課後児童クラブ(学童保育)。補助員は、子どもの成長を見守る放課後児童支援員(学童指導員)の補助業務をおこないます。放課後児童支援員になるには資格や実務経験、研修の修了などが必要ですが、補助員は無資格でも働けます。
看護助手
看護助手は看護補助者/ナースエイドとも呼ばれ、病院やクリニックなどにおいて看護師のサポートをおこないます。看護師や准看護師とは異なり、看護助手は無資格でも働けます。療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)のほか、病室内の環境整備、ベッドメーキング、看護用品および消耗品の整理整頓などが主な業務内容です。
4.高齢期を健康的に過ごすために
紹介した仕事以外にもシルバー人材センターに登録し、希望に合う仕事を探すこともできます。また、「ボランティアポイント制度」を導入している自治体もあり、ボランティア活動をすることでポイントが付与され、現金や金券などに交換することも可能です。
高齢化や人口減少などにより、高齢者の活躍が期待されています。これまでの経験やスキル、希望に合う就労や地域活動への参加を通して、健康的に暮らすことが期待できます。そのためには、シニア側の積極的な参加だけでなく世代間の連携も必要となります。働く側も受け入れる側も相互に理解し合う姿勢を大切に、ともに暮らす社会作りが望ましいです。
参考
世界保健機関|WHO「アクティブ・エイジング」の提唱