目次
1.保育園と幼稚園、認定子ども園の違いは?

就学前の子どもたちを預かる施設は、保育園(保育所)・認定こども園・幼稚園の3つがあります。主な違いは以下のとおりです。
保育園 |
認定こども園 |
幼稚園 |
|
---|---|---|---|
管轄省庁 |
こども家庭庁 |
こども家庭庁 |
文部科学省 |
施設の位置づけ |
児童福祉施設 |
園により異なる |
教育機関 |
目的・機能 |
保育 |
保育園・幼稚園の |
教育・保育 |
利用できる年齢 |
0〜5歳 |
0〜5歳 |
3〜5歳 |
入園の条件 |
保育を必要とする事由がある場合 |
園により異なる |
幼児教育を希望する場合 |
標準的な保育時間 |
8〜11時間 |
4〜11時間 |
原則4時間 |
休園日 |
日・祝日・年末年始 |
園により異なる |
土日・祝日・年末年始 |
保育料 |
世帯収入などに応じて自治体が定めた金額 |
世帯収入などに応じて自治体が定めた金額 |
園により異なる |
保育者の資格 |
保育士 |
|
幼稚園教諭 |
給食の提供 |
あり |
園により異なる |
任意 |
ここからは、保育園・幼稚園・認定こども園それぞれについて詳しく紹介します。
2.保育園(保育所)とは
定義
保育園は、こども家庭庁が管轄する施設で、正式には「保育所」と呼びます。児童福祉法で定められ、0歳から就学前までの子どもを対象に、保育を提供します。
預かり時間
主な預かり時間は、月曜日から土曜日までの日中8時間です。一部の園では延長保育も実施しており、土日・祝日に子どもを預かる場合もあります。
>保育士について詳しくはこちら
保育士になるには?必要な資格/免許や仕事内容についても解説
保育園の種類
保育園には、児童福祉法で定められた設置基準を満たす認可保育所と、認可を受けていない認可外保育施設の2種類があります。
|
認可保育所 |
認可外保育施設 |
---|---|---|
目的 |
保育を必要とする児童を保育 |
施設によって異なる |
施設基準 |
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(厚生労働省令) |
認可外保育施設指導監督基準(厚生労働省通知) |
面積基準 |
乳児室の面積:1.65㎡/人 |
保育室の面積:おおむね1.65㎡/人 |
保育従事者 |
すべて保育士※ |
保育従事者の3分の1以上が |
申し込み方法 |
保育所がある自治体に申し込む |
施設に直接申し込む |
運営費 |
国からの給付など |
原則として保護者からの保育料 |
保育料 |
保護者の収入や子どもの年齢に応じて、自治体によって定められる |
施設によって異なる |
※0〜2歳児を4名以上受け入れる場合、保健師・看護師・准看護師を1人に限り保育士としてカウントできる
認可保育所(認可保育園)とは
定義
認可保育所は、都道府県知事や市区町村長により認可を得た保育施設です。認可を得るためには、児童福祉法に基づく「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」を満たす必要があります。
特徴
認可保育所には、公立(自治体)と私立(法人など)の2種類があります。どちらも入園手続きは、自治体を通じておこなわれます。
また、子どもを認可保育所に入園させる場合、保護者は自治体から「給付認定」を受ける必要があります。認定を受けるには、両親共に月48時間以上就労しているなど、日中に子育てができない理由が必要です。
認可外保育施設(認可外保育園)とは
定義
認可外保育施設は「認可外保育施設指導監督基準」に定められた、施設基準を満たした保育施設です。基本的に国からの給付を受けていないため、運営費用は保護者からの保育料でまかなわれます。
特徴
認可保育所と比べて、保育の自由度が高いため、利用者のニーズに合わせた保育が可能です。また、入園の際に「給付認定」は不要です。
園によっては、自然の中での活動や英語教育などに力を入れる施設もあります。病院にある院内保育園や、居宅訪問型保育(ベビーシッター)、ベビーホテルなども認可外保育施設に含まれます。
>認可外保育施設について詳しくはこちら
認可外保育園とは?認可との違いや無償化についてわかりやすく解説
3.幼稚園とは
定義
幼稚園は、文部科学省が管轄する教育機関です。一般的に満3歳から就学前の子どもを対象とし、心身の発達を促すことを目的とした教育をおこないます。
預かり時間
主な預かり時間は平日の10時から14時ごろまでの約4時間です。また、土日・祝日は基本的に休園日で、夏休み・冬休みなどの長期休暇もあります。ただし、園によっては、土日や夏休み期間の預かりや、平日17時ごろまでの延長保育を実施している場合もあります。
利用条件
幼稚園に入園する際、保護者の状況は問われません。満3歳から就学前の子どもであれば、誰でも入園を申し込むことができます。
>幼稚園教諭免許状の取得方法について詳しくはこちら
幼稚園教諭の仕事内容は? 免許の取り方、やりがい、保育士との違いについて調べてみました
幼稚園の種類
幼稚園にも、公立と私立の2種類があります。
公立幼稚園
公立幼稚園は国や県、市区町村などが運営する幼稚園です。私立幼稚園と比べて在園児数が少なく、先生の目が届きやすい点がメリットです。また、保護者の費用負担が少ないことや、送迎バスがないなどの特徴があります。
私立幼稚園
私立幼稚園は、学校法人や宗教法人などの民間が運営する幼稚園です。現在、幼稚園全体の約7割が私立幼稚園で、そのうちの約9割の施設では、早朝預かりや、延長保育などの預かり保育をおこなっています。
また、私立幼稚園は、運営母体によって教育の方針が異なり、プログラミングや英語、運動に力を入れるなど、園によって特色があります。
4.認定こども園とは
定義
認定こども園は、幼稚園と保育所の機能を兼ね備えた教育・保育施設です。こども家庭庁が管轄しており、0歳から就学前までの子どもを対象に、保護者のニーズに応じた柔軟な保育・教育をおこないます。
預かり時間
認定こども園は、保育が必要な家庭や、教育を受けさせたい家庭の両方に対応しており、家庭の事情に応じて、10時〜14時の4時間や、9時〜20時の11時間などの利用が選べます。
働く職員
認定こども園で働く職員は、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持つことが望ましいとされています。ただし、詳しい条件は認定こども園の種類によって異なります。
認定こども園の種類
認定こども園は地域や保護者のニーズに応じて選択できるように、4つのタイプがあります。
幼保連携型
幼保連携型は、幼稚園と保育園の両方の機能を併せ持つ施設です。就学前の子どもへ、教育と保育を一貫して提供します。幼保連携型で働く場合、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を持っている必要があります。
幼稚園型
幼稚園型は、認可幼稚園に保育園的な機能が追加された施設です。土日や夕方の預かり保育などをおこないますが、幼稚園として担う教育機関の役割は変わらず、「幼稚園教育要領」に基づいた教育をおこないます。
保育園型
保育園型は、認可保育所に幼稚園的な機能が追加された施設です。保育が必要ではない家庭の子どもも受け入れますが、保育園として担う、児童福祉施設の役割は変わらず、「保育所保育指針」に基づいた保育をおこないます。
地方裁量型
地方裁量型は、認可外の幼稚園や保育園などが、教育と保育の両方の機能を備えることで自治体から認定を受け、認定こども園として運営される施設です。
>認定こども園について詳しくはこちら
認定こども園とは? 幼稚園・保育園との違い、4つのタイプ、必要な資格・免許、給料などを紹介
5.保育園・幼稚園で働く
保育園と幼稚園は、どちらも子どもを預かる施設ですが、働き方や仕事の内容、必要な資格などが異なります。大きな違いは以下のとおりです。
認可保育所 |
認可外保育施設 |
幼稚園 |
|
---|---|---|---|
配置基準 |
(保育士) 0歳児:子ども3人に1人 |
(保育士) 0歳児:こども3人に1人 |
(保育教論) 1学級あたり専任教諭1人 |
必要な資格 |
保育士資格 |
保育士資格・看護師資格の保有が望ましい |
幼稚園教論 |
仕事内容 |
保育 |
保育・教育 |
保育 |
※ 保育に従事する者のおおむね3分の1以上は、保育士または看護師の資格を有する者であること。11時間を超える時間帯については、児童が1人である場合を除き、常時2人以上配置すること
ここからは、保育園と幼稚園の働き方などの違いを紹介します。
保育園・幼稚園で働くために必要な資格・免許
認可保育所
認可保育所で保育士として働くためには、保育士資格が必要です。ただし、保育士のサポートをおこなう保育補助であれば、無資格・未経験からでも働ける場合があります。
>保育補助の仕事について詳しくはこちら
保育補助になるには無資格でもOK? なり方や仕事内容、就業場所、給与について解説
認可外保育施設
認可外保育施設では、保育に従事する職員の1/3以上が保育士または看護師の場合、資格を持っていない人でも保育者として勤務できます。また、園によっては「受験資格認定対象」となっており、2年以上かつ2,880時間以上職務に従事した場合は、保育士試験の受験資格を得ることも可能です。
なお、採用や条件面では資格保有者が優遇される傾向があります。保育士や看護師の資格を持っていない場合、子育て支援員などの民間資格を取得していれば、無資格の場合より採用されやすくなるでしょう。
>子育て支援員の資格取得方法について詳しくはこちら
保育の仕事がしたい人向けの新制度「子育て支援員」になる方法
幼稚園
幼稚園で働くには、教員免許の幼稚園教諭免許状が必要です。幼稚園教諭には一種と二種があり、園児の教育に従事する場合は二種免許が必要になります。保育補助の求人であれば、無資格からでも応募可能です。
保育園・幼稚園の仕事内容
保育園で働く保育士の1日のスケジュール
保育園で働く保育士は、基本的に7時から20時の間の実働8時間のシフトで、土日・祝日の週休2日で勤務します。土曜保育をおこなう園では、月に1〜2回の土曜出勤があります。
保育園で働く保育士の1日の流れは以下のとおりです。

幼稚園で働く幼稚園教諭の1日のスケジュール
幼稚園で働く幼稚園教諭は、基本的に8時から17時の実働8時間のシフトで勤務します。土日・祝日の週休2日で、年に数回、園の行事や保護者説明会などで土曜出勤があります。
なお、園の春休み・夏休み期間も、研修や行事の準備、預かり保育の対応などがあるため、基本的には出勤となります。
幼稚園で働く幼稚園教諭の1日の流れは以下のとおりです。

保育園・幼稚園の給料
2025年4月時点のジョブメドレーに掲載されている求人から、保育園・幼稚園の賃金相場を算出しました。なお、残業手当など月によって支給額が変動する手当は集計対象外のため、実際に支払われる賃金はこれより多くなる可能性があります。
正職員 |
正職員 |
アルバイト・パート |
|
---|---|---|---|
認可保育所 |
25万9,582円 |
363万4,148円 |
1,367円 |
認可外保育施設 |
24万4,362円 |
342万1,068円 |
1,267円 |
幼稚園 |
22万8,061円 |
319万2,854円 |
1,254円 |
*年収は「月給の総平均 × 14ヶ月(ボーナスは月給の2ヶ月分)」で試算
>保育士の給料について詳しくはこちら
保育士の平均年収は安い?公務員の給料や処遇改善で上がるのか解説
保育園・幼稚園で働くメリット
保育園で働くメリット
保育園では、幅広い年齢の子どもたちを受け入れるため、乳幼児から卒園まで長期的に関わり、子どもの成長過程を見守ることができます。また、さまざまな年齢の子どもたちと関わるなかで、保育に関する多様な知識やスキルを学べる点も大きな魅力です。
幼稚園で働くメリット
幼稚園では、遊びをとおして考える力や伝える力を育てる取り組みがおこなわれています。基本的にクラス担任を一人で受け持つことが多く、製作活動や劇の演出など、日々の活動に自分のアイデアを活かしやすいのも特徴です。
また、開園時間が短いため、身体的な負担が少なく、閉園後に教材の準備や事務作業の時間を取りやすい環境です。夏休みや冬休み期間などに、長期休暇を取得しやすいため、プライベートの時間も大切にできるでしょう。
6.自分に合った保育園・幼稚園を見つけよう
保育園と幼稚園には、子どもの年齢や過ごし方、保育の目的に違いがあります。園によって教育方針や雰囲気にも個性があり、職場環境もさまざまです。気になる園があれば、公式サイトを見たり、見学に足を運んだりして、「ここで働きたい」と思える場所を見つけていきましょう。
ジョブメドレーでは保育園や幼稚園の求人を1万4,119件掲載しています(※2025年4月時点)。園の1日のスケジュールや仕事内容も紹介しているので、この機会にぜひチェックしてください!