1.健診・検診センターとは
検査と診断で人々の健康を支える
健診・検診センターとは、病気の予防や早期発見のための検査をおこない、健康状態をチェックする施設です。身体の不調などの自覚症状があるときには病院を受診しますが、中には自覚症状がないまま進行する病気もあります。この自覚症状がない段階で病気の兆候を見つけるのが、健診・検診センターです。
健診・検診・人間ドックの違い
混同しがちな健診・検診・人間ドックですが、違いは次のとおりです。
<“健診”は病気にかかっている人を「ふるい分ける」定期的な検査>
健診とはいわゆる健康診断のことで、年齢に応じた検査をおこない、全身の健康状態をチェックします。企業に勤めている人が勤務先から案内される定期健康診断(一般健康診断)のほか、学校での健康診断や歯科健診、生活習慣病の予防・早期発見のために40〜74歳の人を対象としておこなう特定健康診査などがあります。一般的な健康診断の検査項目は身長・体重・血圧の測定、血液検査、心電図検査、胸部X線検査などです。
健診は大きく法定健診と任意健診に分けられ、上述の定期健康診断(一般健康診断)、学校での健康診断や歯科健診、特定健康診査は法定健診にあたります。“法定”の文字どおり、法律に基づいて対象者への健診の実施が義務付けられています。
<“人間ドック”は任意でおこなう詳細な健康診断>
一方で個人の意思によって受診する任意健診にあたるのが人間ドックです。全身の健康状態をチェックし「健康か、病気の兆候がないか」を確かめるのは法定健診と同じですが、大きく異なるのは検査項目の多さです。基本的な検査項目に加え、CTやMRI、胃カメラといった検査をおこない、より詳細に健康状態をチェックできることが特徴です。一泊二日で受診するタイプもあり、近年ではホテルでの宿泊がセットになっているものもあります。
<“検診”は特定の病気を早期発見・早期治療するための検査>
同じ「けんしん」でも健診と検診は異なります。前述のとおり健診が健康診断を指すのに対し、検診は「がん検診」や「婦人科検診」など特定の病気にかかっているかの検査を指します。健診や人間ドックは予防の意味合いが強いですが、検診の場合は病気の早期発見・早期治療が目的です。多くの健診・検診センターでは、健診のオプションとして検診をおこなっています。
健診・検診センターの種類
健診・検診センターは、病院に併設しているものと独立しているものに大別されます。病院に併設している健診・検診センターは、豊富な臨床経験を持つ職員が働いている傾向があり、病気が見つかった際にも併設している病院と提携して治療へ繋がりやすいのが特徴です。
一方で独立している健診・検診センターは、健診・検診に特化しているため、大量の検査を効率的に実施できるのが特徴です。また広い待合スペースやカフェスペースを設けるなど、受診者が過ごす空間にこだわっているところも見受けられます。
また、病院に併設しているか独立しているかに関わらず、健診・検診センターが事業所や指定の会場に出向いて検査や診断をおこなう巡回健診を提供している場合があります。
2.健診・検診センターで働く
多くの受診者に幅広い検査を提供する健診・検診センターでは、さまざまな職種の職員が働いています。
健診・検診センターで働く職種と仕事内容
・医師
受診者と面談をしながら問診や聴診、健康診断結果の説明をし、健康診断結果に基づくレポートを作成します。またレントゲンの読影や内視鏡、がん検診などもおこないます。一日に多くの受診者と接することや、書類作業が多いことが特徴です。
・看護師/准看護師
採血のほか、身長・体重・血圧の測定や検査の補助をおこないます。健診・検診センターで働く看護師がとくに求められるスキルは採血です。一日に多くの受診者が訪れるため、速くて正確な対応が必要になります。
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・保健師
受診者への保健指導が主な業務となります。診断結果に基づいて健康な生活習慣を身に付けるための指導をし、受診者からの健康相談にも応じます。また、状況によっては看護業務の補助に入ることもあります。
・診療放射線技師
放射線を用いた検査や画像診断を担当します。具体的には胸部X線撮影(レントゲン)、胃・大腸の透視検査(バリウム)、CT検査やMRI検査、婦人科検診では乳房X線撮影(マンモグラフィ)などをおこないます。
・臨床検査技師
尿検査や便検査といった検体検査や、心電図、眼底・眼圧・視力検査、聴力検査、エコー、肺活量検査、脳波検査といった生体検査をおこないます。幅広い検査に対応しますが、各検査ごとに担当を割り振って業務を進めるケースが多いようです。
・医療事務/受付(健診事務)
受診者の受付・事前説明・案内、問い合わせ電話の対応、診断結果のデータ入力や郵送といった業務があります。受付や案内ではとくに丁寧な対応が求められるため、接客経験を活かして働く人もいます。
健診・検診センターの仕事の特徴
健診・検診センターには、病院のように夜勤や当直、オンコール業務がありません。また受診時間も事前予約で決まっており、残業が比較的少ないのも特徴です。また各職種で検査ごとに担当を割り振られることが多く、同じ作業の繰り返しとなるため、ブランクがある人や育児と仕事を両立したい人でも働きやすいでしょう。
一方で全額自費で受診する人間ドックなどの場合は「患者さん」というより「お客さま」といった意味合いが強くなりやすく、より丁寧な対応を求められるといった一面もあります。時には待ち時間に対するクレームなど、受診者から直接厳しい言葉を受けることも考えられます。また多くの受診者に対応するため健診・検診は効率的におこなう必要があり、「流れを止めてはいけない」というプレッシャーを感じることもあるようです。さらに定期巡回をおこなう健診・検診センターでは、事業所や指定の会場へ出向くため、対応エリア内での出張が伴います。
3.健診・検診センターの今後
厚生労働省の調査によると、健診や人間ドックの受診率は徐々に増えているものの、2016年から2020年までの目標値として掲げている「40〜74歳の受診率80%以上」には至っていない状況です。

このように国民全体の受診率の上昇が課題であることに加え、近年の健康意識の高まりなどから、健診・検診センターで働く職員の需要は今後も増えると考えられます。
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