目次
1.【職場別】看護師の給料
看護師が活躍する職場は多岐にわたります。ジョブメドレーに掲載されている求人(2025年4月時点)から、職場別に正職員とパート・アルバイトの給料相場を算出しました。

職場別の年収では、訪問看護ステーション、住宅型有料老人ホーム、精神科特化型訪問看護ステーションの順に高いという結果でした。この理由の一つとして、在宅医療が推進されたことから、訪問のニーズが高まっていること、夜勤やオンコール対応があることが考えられます。

パート・アルバイトの時給では、正職員同様に訪問看護ステーションが1位でした。訪問看護施設数は年々増加していることから、人材確保のために時給が高く設定されている可能性があります。
訪問看護の現状と詳しい仕事内容はこちらから
>訪問看護の仕事内容とは?提供サービスや対象者、職場ごとの給料について解説
2.看護師の平均給料
厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」をもとに、看護師の平均給料について、月収、年収、ボーナス(賞与)、時給の順に紹介します。全産業平均もあわせて参考にしてください。
平均月収
看護師 |
全産業平均 |
|
---|---|---|
女性 |
36万2,300円 |
29万3,900円 |
男性 |
37万3,500円 |
39万8,600円 |
男女計 |
36万3,500円 |
35万9,600円 |
厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査より作成
*上記金額には基本給のほか職務手当、通勤手当、家族手当などの諸手当のほか、残業代も含む
看護師の平均月収は、男女ともに36万円前後です。男性は全産業平均を下回っていますが、女性と男女計では上回っています。とくに、女性では全産業より約7万円高い点が特徴です。
平均年収
看護師 |
全産業平均 |
|
---|---|---|
女性 |
517万8,900円 |
419万4,400円 |
男性 |
534万8,300円 |
590万8,100円 |
男女計 |
519万7,000円 |
526万9,900円 |
厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査より作成
年収では男性が女性より17万円ほど高い結果になっています。これは、後述する男性のボーナス額の高さが影響しています。
全産業との比較では、女性だけ看護師のほうが高いという結果です。
平均ボーナス額
看護師 |
全産業平均 |
|
---|---|---|
女性 |
83万1,300円 |
66万7,600円 |
男性 |
86万6,300円 |
112万4,900円 |
男女計 |
83万5,000円 |
95万4,700円 |
厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査より作成
平均ボーナス額では、男性が女性より3万5,000円高いという結果です。ボーナスは月給をベースに算出されることが多いため、月給が高い男性のほうが上回っていると考えられます。
全産業と比べると男性で26万円ほど看護師のほうが低く、女性では16万円ほど看護師のほうが高いことがわかります。
平均時給
看護師 |
全産業平均 |
|
---|---|---|
女性 |
1,914円 |
1,387円 |
男性 |
3,328円 |
1,699円 |
男女計 |
1,946円 |
1,476円 |
厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査より作成
パート・アルバイトで働く人の時給は、男女ともに全産業よりも高く、看護師だけでは男性のほうが女性より1,400円以上高いのが特徴です。この理由の一つとして、体力のいる職場や夜勤のある職場でのニーズがあることが考えられます。
3.【都道府県別】看護師の年収ランキング
都道府県 | 年収 | |
---|---|---|
1 | 東京 | 568万9,100円 |
2 | 京都 | 564万200円 |
3 | 大阪 | 559万8,300円 |
4 | 神奈川 | 546万2,600円 |
5 | 奈良 | 542万7,300円 |
6 | 愛知 | 542万1,000円 |
7 | 群馬 | 538万7,800円 |
8 | 宮城 | 538万3,700円 |
9 | 栃木 | 527万2,800円 |
10 | 静岡 | 521万7,000円 |
11 | 全国 | 519万7,000円 |
12 | 滋賀 | 519万5,100円 |
13 | 山梨 | 517万7,300円 |
14 | 長野 | 514万7,400円 |
15 | 秋田 | 513万8,200円 |
16 | 兵庫 | 513万3,400円 |
17 | 岩手 | 513万700円 |
18 | 北海道 | 512万3,400円 |
19 | 埼玉 | 511万3,600円 |
20 | 富山 | 510万9,000円 |
21 | 千葉 | 510万600円 |
22 | 山口 | 509万9,200円 |
23 | 広島 | 509万4,600円 |
24 | 新潟 | 508万2,300円 |
25 | 山形 | 507万6,200円 |
26 | 和歌山 | 506万2,200円 |
27 | 三重 | 505万6,000円 |
28 | 茨城 | 503万2,500円 |
29 | 福井 | 500万1,900円 |
30 | 長崎 | 500万1,200円 |
31 | 香川 | 497万3,400円 |
32 | 石川 | 491万3,500円 |
33 | 高知 | 489万9,500円 |
34 | 岡山 | 489万900円 |
35 | 徳島 | 482万8,700円 |
36 | 島根 | 482万7,100円 |
37 | 鳥取 | 480万8,700円 |
38 | 岐阜 | 479万6,400円 |
39 | 福岡 | 471万9,700円 |
40 | 青森 | 471万3,400円 |
41 | 福島 | 471万3,100円 |
42 | 熊本 | 467万8,400円 |
43 | 佐賀 | 464万7,900円 |
44 | 愛媛 | 460万8,000円 |
45 | 大分 | 446万7,100円 |
46 | 沖縄 | 443万4,400円 |
47 | 宮崎 | 433万7,100円 |
48 | 鹿児島 | 426万9,100円 |
厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査より作成
都道府県別の年収ランキングからは、人口・勤務先ともに多い首都圏が上位を占めていることがわかります。上位3都府は550万円を超える高水準となっており、首位の東京と最下位の鹿児島では142万円の差があります。
上位では関東や関西の都市部とその近郊が目立つ一方、41位以降では九州・沖縄地方が占めるという結果です。
4.【勤続年数別】看護師の給料

看護師の年収は、勤続年数が長くなるにつれて増加する傾向があります。
男女別に見ると、1〜4年目までは女性の年収が上回っていますが、5年目以降に逆転し差が広がっていきます。10〜14年目では、男性の年収が女性より71万円高いという結果です。この理由の一つとして、女性はライフステージに応じて、働き方や勤務時間を変化させていると考えられます。
5.【年齢別】看護師の給料

年齢別に年収を見ると、男性では40〜44歳にかけて昇給しピークを迎えます。40代後半で一旦下がるものの、50代後半にかけて再び緩やかに上昇します。
一方、女性の場合は50代後半にかけて昇給し続けますが、男性よりその幅は穏やかな点が特徴です。先に紹介した勤続年数同様、30代から40代前半における女性の働き方の変化が影響していると考えられます。
6.【新卒・初任給】看護師の給料
2024年に日本看護協会がおこなった調査によると、高卒・3年課程新卒者と大卒者の初任給(月額)は次のような結果でした。
平均基本給 |
平均月収 |
平均年収 |
|
---|---|---|---|
高卒・3年課程新卒者 |
20万9,697円 |
27万6,127円 |
386万5,778円 |
大卒者 |
21万5,614円 |
28万4,063円 |
397万6,882円 |
*平均月収には、通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善などの手当を含む
*平均年収は平均月収×14(ヶ月)で算出
高卒・3年課程卒者と大卒者では、月給で約8,000円、年収で約11万円の差があります。一般的に大卒者のほうが給与が高く設定されていること、大学で学んだ知識への評価などが理由に考えられます。
7.夜勤手当の金額
2023年に日本看護協会がおこなった調査によると、二交替制、三交替制の場合の夜勤手当は以下の結果でした。
1回あたりの平均手当額 |
|
---|---|
二交替制 夜勤 |
1万1,368円 |
三交替制 準夜勤 |
4,234円 |
三交替制 深夜勤 |
5,199円 |
夜勤手当についてのアンケート結果や過ごし方はこちら
>看護師の夜勤手当、2位は「1万円以下」1位はいくら? 夜勤の実態調査
8.【施設規模別】看護師の給料
看護師の給料は職場の規模によっても異なり、規模が大きいほど年収が高くなっています。
事業所規模 |
平均年収 |
---|---|
10人以上の規模計 |
519万7,000円 |
10~99人 |
459万6,400円 |
100~999人 |
495万200円 |
1,000人以上 |
564万8,400円 |
厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査より作成
9.看護師の給料を上げる方法
ここからは給料を上げるための方法を紹介します。
資格を取得する
専門看護師や認定看護師などの資格を取得すると、資格手当の支給や昇給、業務範囲の拡大による診療報酬の加算など、さまざまなメリットが期待できます。
講習を受講している時間も勤務扱いとして給与が支給されるなど、金銭面のサポートをおこなっている職場もありますので、勤務先の規則を確認してみましょう。
専門看護師のなり方、メリットはこちら
>専門看護師とは? 種類や役割、認定看護師との違いを知ろう
認定看護師のなり方、種類はこちら
>認定看護師になるには?種類と取得費用、更新方法、専門看護師との違いを解説
特定行為看護師のなり方、メリットはこちら
>特定行為看護師とは?なり方や研修の種類、期待される役割について解説
診療看護師のなり方、メリットはこちら
>診療看護師(NP)とは?なり方やできること、特定看護師との違いを解説
キャリアアップを目指す
役職に応じた昇給制度を設けている職場では、看護師長や看護部長などに就くことで、給料アップが見込めます。ただし、事業所の規模が大きいほど、ポストに就く機会が少ない可能性もあります。到達目標を段階的に示すクリニカルラダー制度を採用している場合、等級に応じた昇給がある事業所もありますので、評価制度を確認してみましょう。
転職する
看護師が活躍する医療・福祉業界は、サービスの需要が増す一方、労働環境や待遇の課題から人手不足が深刻化しています。現職の給料に不満がある場合は、より高い給与水準の職場に転職するのも一つの方法です。
ただし、給与面だけで転職すると、業務内容や会社の方針などが希望と異なり、入職後にギャップを感じることもあります。自分の希望や価値観と照らし合わせながら、総合的に判断することが大切です。
転職活動で役立つ記事はこちら
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参考
- 厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査
- 日本看護協会|2023年病院看護実態調査報告書
- 日本看護協会|2024年病院看護実態調査報告書