2025年問題とは?日本社会と医療・介護業界に与える影響とその対策

高齢者人口の増加をきっかけに数多くの問題に直面するといわれている「2025年問題」。日本全体や医療・介護業界に与える影響と、その解決策について詳しく解説します。

2025年問題とは?日本社会と医療・介護業界に与える影響とその対策

目次

1.2025年問題とは

2025年を境に深刻化する社会問題の総称

2025年問題とは、1947~1949年生まれのいわゆる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となることによって起こる、社会保障費の増加や働き手不足などの社会問題のことをいいます。

国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来人口推計*1によると、2025年の総人口は1億2,326万人、うち75歳以上は2,155万人(17.5%)で、国民の約5人に1人が後期高齢者になる推計です。

さらに認知症高齢者の数*2は、2012年の462万人から2025年には675万人、単身高齢者世帯数は2012年の487万世帯*3から2025年には751万世帯*4となる推計があり、以降も増加が続く見通しです。これにより、医療や介護費などの社会保障費が膨らむことが予想されます。

高齢化が加速する社会を支えるには現役世代の労働力が不可欠ですが、15〜64歳の生産年齢人口と出生数は年々減少が続いています。人口バランスがいびつになっていくなか、2025年は日本の社会構造に大きな影響を与える分岐点として注目されているのです。

出典:
*1…国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)
*2…厚生労働科学特別研究事業「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究
*3…国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2014)
*4…国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国・2018年推計)

2040年問題との違い

2025年・2040年の人口ピラミッド(推計)
出典:国立社会保障・人口問題研究所「人口ピラミッド

2025年問題と並んで語られることが多いのが2040年問題です。2つの違いは、2025年は高齢者人口増加の過渡期であるのに対し、2040年はピークを迎える点です。

2040年(令和22年)ごろは団塊の世代の子どもにあたる「団塊ジュニア世代」が65歳を迎え、高齢者人口が統計開始以降最多になると予測されています。国民の約3人に1人が65歳以上の高齢者となり、認知症高齢者は802万人、単身高齢者世帯は896万世帯となる推計です。

2012年2025年(予測)2040年(予測)
総人口1億2,752万人1億2,326万人1億1,284万人
高齢者人口3,079万人3,653万人3,929万人
認知症高齢者数462万人675万人802万人
単身高齢者世帯数487万世帯751万世帯896万世帯
*福島県を除く

2040年以降は医療・介護のニーズを有する高齢者数が全国的に高止まりする一方、生産年齢人口の急減に直面すると予想されています。2025年の先にある2040年を見据えて早期に対策を講じなくては、問題はより一層深刻さを増すと考えられます。

後期高齢者人口の増減には地域差がある

2025年から2040年にかけての75歳以上人口の動態
参照:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023年推計)」をもとに作成

ここまで全国的な傾向を見てきましたが、高齢者人口の推移には明確な地域差があります。2025年から2040年にかけての75歳以上の人口動態を都道府県別にみると、後期高齢者が増加する地域は35都道県あるのに対し、12府県では減少する見込みです。高齢化がピークを迎えたあとの地域では人口減少に伴い医療や介護のニーズも縮小していくため、地域によって求められる対応策が異なるという視点も重要です。

2.2025年問題による日本社会への影響

2025年問題によって引き起こされる日本社会全体への影響は、主に次の3つが挙げられます。

労働力の減少・経済の縮小

経済への影響のひとつが、​​後継者不足による廃業・GDPの減少です。日本企業の約99%は中小企業で、2025年までにその経営者の多くが平均引退年齢の70歳を迎えます。そしてその約半数(日本企業全体の約3分の1)は後継者が未定です。この状態を放置すると廃業が相次ぎ、2025年までに約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると指摘されています(出典:中小企業庁|中小企業・小規模事業者における M&Aの現状と課題)。

さらに一般労働者におけるビジネスケアラー・介護離職者の増加問題もあります。働きながら介護をしているビジネスケアラーは365万人いるとされ、介護者人口の過半数を占めています。また介護・看護のために仕事を離職した人は2022年の1年間で10.6万人おり、2017年の9.9万人よりも増加しました(出典:総務省統計局|令和4年就業構造基本調査)。仕事と介護の両立や介護離職による労働力の低下、それに伴う経済損失の大きさが憂慮されます。

社会保障費負担の増加

社会保障費とは、年金、医療、介護などの社会保障制度のために国が支出している費用のことで、国民が支払う税金や社会保険料もその財源のひとつです。2021年度の社会保障費は総額138兆円、人口一人あたり110万円でした。

社会保障費は「年金」「医療」「福祉その他(介護対策を含む)」の3分野で構成されています。2019年度までの推移は以下のとおりで、今後も高齢者人口の増加に伴い増額が続く見込みです。

社会保障費の年次推移
参照:国立社会保障・人口問題研究所「令和3年度社会保障費用統計」をもとに作成

医療・介護の体制維持の困難化

医療費や介護費の増加に伴い必要となるのは、サービスを提供する医療従事者や介護従事者の確保です。国は診療報酬や介護報酬の改定、処遇改善などにより人材確保に努めているものの、いまだ担い手の充足には程遠く、このままでは医療・介護体制の維持が困難になるといわれています。

3.2025年問題による医療・介護業界への影響

ここからは、2025年問題のなかでも医療・介護業界における影響について、主に従事者数の観点から詳しく見ていきます。

出典・参考:
厚生労働省「介護人材確保に向けた取組について」「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」「厚生労働白書(令和4年版、令和5年版)」

介護職は31万人の不足

厚生労働省によると、2025年度に必要な介護職員数は243万人と推計されており、2020年度の実績から31万人が不足しています。2019年度からは毎年5.3万人の増員を目標に掲げていますが、2022年度までの実績は毎年1〜3万人程度の増員に留まり、目標ペースとは乖離がある状況です。とくに不足感が強いのは訪問介護分野で、2022年度の有効求人倍率は過去最高の15.53倍(施設職員は3.79倍、全産業平均は1.31倍)となりました。

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看護職員は22万人の不足

看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師)については、2025年に195万人の従事者が必要と推計されています。これに対し、2020年時点の実績は173万人と22万人が不足しており、また2025年の予測値では180万人で目標に届かない見込みです。

領域別に見ると、とくに訪問看護事業所、次いで介護保険施設での需要が高くなっています。また、看護職員の需給バランスは地域ごとに差があり、首都圏や関西圏などの都心部を中心に不足が目立ちます。

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医師は2029年頃に需給均衡なるか

医師については、これまで医学部定員を増員してきた経緯により、2029年頃に需給バランスの均衡がとれると推計されています。ただし、これは医師の労働時間の上限を一般労働者と同じ週60時間と仮定した場合の推計であり、長時間労働が是正されなければ達成は遅滞すると考えられます。2024年度からは医師の時間外労働の上限規制が開始されるため、実態として推計にどれほど近づけられるか期待されます。

上記は医師の総数から見た推測ですが、地域間または診療科間による医師偏在の問題は依然として残り、とくに産科・小児科については全国的な不足が指摘されています

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薬剤師は病院で不足、2030年以降は過剰に

薬剤師については、近年の薬局数の増加に伴い薬局薬剤師の数が充足に近づく一方で、病院薬剤師の不足が課題です。他職種同様に地域ごとの偏在による需給バランスの差もすでに生じています。さらに薬剤師の総数でみると、2030年頃までは需要と供給は同程度と推測されていますが、それ以降は供給過多となる見通しもあります。

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4.2025年問題に向けた対策

2025年、さらにその先も見据えた問題に対処するため、国や自治体、法人などが取り組む対策について紹介します。

社会保障費負担の見直し

前述のとおり増え続ける社会保障費に対応するため、医療費や介護費などの自己負担額は定期的に見直しがおこなわれています。2022年からは一定以上の所得のある高齢者を対象に、医療費の自己負担割合が1割から2割へと拡大されました。

地域包括ケアシステムの構築

地域包括ケアシステムのイメージ図
地域包括ケアシステムのイメージ図

2005年の介護保険法改正により、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が始まりました。団塊の世代が後期高齢者を迎える2025年をめどに、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられることを目的としています。

高齢者の介護や医療に関する相談窓口「地域包括支援センター」を各市町村に設置し、近隣の医療機関や訪問看護事業所、介護事業所などとの連携を強化することで、地域に暮らす高齢者を一体的に支援できる体制構築を目指します。

医療・介護人材の確保

不足する人材を確保するため、処遇改善が進められています。かねてより低賃金が問題視されてきた介護職は年々賃上げが進み、2010年から2019年にかけての昇給率は約14%(全産業は3.9%)と、他産業と比べ高い結果でした(出典:財務総合政策研究所)。また介護職、看護職員ともに2022年・23年には補助金と診療報酬・介護報酬による1〜3%程度の賃上げが図られました。

新たな医療・介護人材を迎え入れるため、職業訓練や各自治体・法人による資格取得支援も積極的に実施されています。資格を取ることで昇給や業務範囲が広がることはもちろん、中長期的なキャリア形成による定着の効果も見込めます。また人材確保は現役世代のみならず、定年制度の見直しアクティブシニアの活躍促進などにより、65歳を超えても働く高齢者が増えてきています。さらに技能実習やEPAなどによる海外からの人材誘致も開始し、実績を残しています。

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生産性向上・業務効率化

限られた人材で多くの高齢者を支えていくためには、最新のテクノロジー活用多職種協働による生産性向上・業務効率化は欠かせません。ロボットの医療現場や介護現場への導入は年々進んでおり、手術時間の短縮や身体的負担の軽減などに有効とされています。

またAIICTによって膨大な事務作業が自動化・簡略化されたり、蓄積されたデータをもとに新たな研究が進められたりしています。新型コロナウイルス感染症をきっかけに電子カルテオンライン診療オンライン服薬指導などの環境整備も大きく進展しました。

2024年度に施行される医師の時間外労働の上限規制を受けて、看護師や薬剤師などの多職種へ業務を移管するタスクシフト・シェアにも注目が集まります。

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5.2025年問題に向けて私たちにできること

2025年問題に向けて、個人にも対策できることはあるのでしょうか? まず基本となるのは一人ひとりの「健康寿命」をできる限り伸ばすことです。適度な運動に十分な睡眠の確保、喫煙を控えるなど、健康を維持するための日常的な努力を続けることが大切です。

また育児や介護などのライフイベントが発生した際に、仕事と家庭の両立のために使える制度を知っておくことも重要です。2022年には育児休業法改正により産後パパ育休が新設されました。介護離職やビジネスケアラー対策としては、介護休暇・介護休業の積極的な周知や活用が推進されています。

2025年問題を皮切りに、日本社会はますます多くの課題に直面することになるでしょう。私たちの生活と将来に直結するこの問題がどうなっていくのか、今後の情勢に注目です。

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