デイケア(通所リハビリテーション)とは?働く職種と仕事内容、デイサービスとの違いについて解説

デイケア(通所リハビリテーション)は、要介護者を対象に、心身の機能回復を目的として主にリハビリを提供する施設です。似たような名称のデイサービスとの違いや、それぞれの特徴、働く職種について解説します。

デイケア(通所リハビリテーション)とは?働く職種と仕事内容、デイサービスとの違いについて解説_KV

目次

1.デイケア(通所リハビリテーション)とは

リハビリをメインでおこなう通所施設

デイケア(通所リハビリテーション)とは、要介護認定を受けた人を対象に、医師の指示のもとリハビリテーションなどのサービスを提供する通所施設です。心身の機能の維持・回復を図り、自立した日常生活を送ることを目的としています。

デイケアは主に、病院や介護老人保健施設、診療所などに併設されています。作業療法士理学療法士言語聴覚士などの専門職が、生活機能や口腔機能などを向上させるための機能訓練サービスを日帰りで提供する点が特徴です。また、デイケアの利用には介護保険が適用されます。

デイケアの対象者

デイケアを利用できるのは、要介護認定を受けており、病気やケガなどにより機能低下がみられる人です。利用に際しては、医師の診断書が必要になります。要支援者が受けるサービスは、介護予防通所リハビリテーションと呼ばれます。

要支援・要介護別デイケア利用者数の推移
厚生労働省|通所リハビリテーションより作成

*総数には、月の途中で区分が変更された人も含む

厚生労働省がおこなった調査によると、デイケアの利用者の約5割が要介護1・2の人が占めています(2022年時点)。利用者数は2019年まで増加していましたが、その後徐々に減少がみられます。

デイケアが必要になった原因
厚生労働省|通所リハビリテーションより作成

デイケアを利用し始めた原因として最も多いのは脳卒中(26%)で、骨折(25%)、関節症・骨粗しょう症(19%)と続きます。

デイケアの施設数と種類

デイケアは全国に8,234施設あります(2022年時点)。ただし、この数には医療施設がみなし指定で運営しているデイケアは含まれないため、実際はこれよりも多いと考えられます。

開設主体は主に、病院・診療所、介護老人保健施設です。この理由として、デイケアでは医師の常駐が必要となっており、病院や診療所などとの兼務が可能なためと考えられます。

また、デイケアは利用者人数に応じて以下3つの種類に分類されています。

  • 通常規模型……前年度の1ヶ月あたりの平均利用者数が750人以内
  • 大規模型Ⅰ……前年度の1ヶ月あたりの平均利用者数が751人以上900人以下
  • 大規模型Ⅱ……前年度の1ヶ月あたりの平均利用者数が901人以上

上記のうち、最も多いのは通常規模型で全体の約8割を占めています。

2.デイケア(通所リハビリテーション)とデイサービスの違い

デイケアと似た名称の施設にデイサービスがあります。デイケアと同じ日中通所型の施設ですが、主な違いは、目的とサービス内容、人員体制にあります。

 

デイケア

デイサービス

目的

心身の機能維持・回復

生活機能の向上、孤立感の解消、家族の介護負担の軽減

対象者

要介護1〜5

サービス内容

リハビリがメイン


食事や入浴などの日常生活支援、医師の診断、健康管理、レクリエーションも実施

食事や入浴などの日常生活支援がメイン


機能訓練、レクリエーションも実施

人員体制

医師機能訓練指導員看護師/准看護師・介護職員などの従業者

生活相談員、看護師/准看護師、介護職員、機能訓練指導員

費用

710〜1,281円程度/1回*1

655〜1,142円/1回*2

施設数

8,234ヶ所*3

2万4,569ヶ所*3

*1…通常規模(月の平均利用人数750人以内)の事業所を6時間以上7時間未満利用し、1割負担の場合
*2…通常規模(月の平均利用人数301〜750人以内)の事業所を7時間以上8時間未満利用し、1割負担の場合
*3…厚生労働省「令和4年介護サービス施設・事業所調査の概況」より

デイケアが医師の診療に基づき、リハビリをメインにおこなう施設なのに対し、デイサービスは、社会との接点づくりや食事や入浴など日常生活の支援をメインとしています。加えて、利用者家族の介護の負担軽減やレスパイト(休息)も目的の一つです。

また、デイケアが主に病院や診療所、介護老人保健施設などに併設される形で運営されているのに対し、デイサービスの多くは民間の介護事業者によって運営されています。

tips|医療保険が適用されるデイケアも

重度認知症デイケアとは、精神症状および行動異常が著しい認知症患者を対象としたデイケアです。精神科のある病院・診療所などに併設されていることが多く、認知機能の改善プログラムなど症状に合ったケアを提供している点が特徴です。

精神科デイケアとは、精神障がいを持つ人の社会参加や社会復帰、復学、就労などを目的としたデイケアです。個々の目的に応じて、創作活動や料理実習、パソコン学習などさまざまなプログラムを提供しています。また、通常のデイケアとは異なり、幅広い年齢層で利用できる点が特徴です。

3.デイケア(通所リハビリテーション)で働く

デイケアの職員配置と仕事内容

デイケアでは以下の職員を配置することが義務付けられています。

職種

人数

医師

専任の常勤医師1人以上

※病院、診療所、介護老人保健施設の常勤医師と兼務可

従事者

単位ごと*1に利用者10人につき1人以上

※理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、介護職員のいずれか

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士

利用者100人につき1人以上*2

※従事者のうち、リハビリを専門におこなう職種を配置

*1…同時に一体的に提供されるサービスを1単位とし、別々の場所などで提供する場合は、それぞれに従事者を確保する必要がある
*2…所要時間1〜2時間の場合、適切な研修を受けた看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師でも可

医師

デイケアで働く医師の主な業務は、利用者の心身の状態を把握し、リハビリテーション計画書を作成すること、リハビリを提供する職員へ方針の共有や指示をすることです。

従事者

従事者は、リハビリの専門職(リハ職)や看護職、介護職が該当します。リハ職は医師の指導に基づきリハビリを実施します。看護職は利用者のバイタルチェックと体調の把握・観察、介護職は食事や入浴・排泄などの生活支援に加え、レクリエーションの実施や送迎などもおこないます。

デイサービスとデイケアそれぞれにおける、看護師の仕事内容について詳しくはこちら
2つの通所サービス「デイサービス」と「デイケア」の看護師の役割って?

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士

リハ職の主な役割は、医師の指示内容に沿ったリハビリの提供です。また、送迎やレクリエーションなどをおこなうこともあります。リハビリの実施が短時間の場合は、必要な研修を受けた看護職などが担うことも可能です。

デイケアの一日

デイケアで働く理学療法士と介護職の一日の流れを紹介します。

デイケアで働く理学療法士の一日
デイケアで働く介護職の一日

デイケアの給料相場

デイケアで働く職種の平均月収を、ジョブメドレーに掲載中(2024年10月時点)のデータから算出しました。デイサービスの給料と併せて参考にしてください。なお、残業手当など月によって支給額が変動する手当は集計対象外のため、実際に支払われる賃金はこれより多くなる可能性があります。

職種

デイケア

デイサービス

理学療法士

27万7,153円

27万8,107円

作業療法士

27万5,760円

27万6,172円

言語聴覚士

27万2,885円

28万4円

看護師/准看護師

27万4,604円

25万8,942円

介護職

21万7,320円

22万1,270円

4.デイケア(通所リハビリテーション)を利用する

デイケアを利用する流れ

デイケア利用の流れ

デイケアの利用には、要介護認定を受けている必要があります。認定を受けていない場合は、市区町村の窓口などで申請をおこないましょう。

要介護認定について、詳しくはこちらをご確認ください
要介護度(要介護レベル)とは?認定基準と区分ごとの状態目安、利用可能なサービスについて解説

デイケアの料金

デイケアの利用にかかる費用は、要介護度と施設の規模、利用時間によって異なります。1ヶ月の平均利用人数が750人以内の通常規模の施設を利用した場合、以下の料金が発生します。


要介護度

利用時間ごとの利用料/1回

1〜2時間

7〜8時間

要介護1

366円

757円

要介護2

395円

897円

要介護3

426円

1,039円

要介護4

455円

1,206円

要介護5

487円

1,369円

*1単位あたり10円、利用者負担1割として算出。食費やおむつ代などは別途発生

利用にかかる料金は、1単位あたり10円などの単価をかけて算出されています。単位数は全国一律ですが、単価は地域ごとに異なるため上記は目安としてください。

5.多職種連携が求められる職場

デイケアは、要介護認定を受けた人を対象とした通所施設です。デイサービスとは異なり、リハビリをメインにおこない、心身の機能回復と自立した日常生活を送ることを目的としています。

デイケアでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハ職に加え、医師、看護師/准看護師、介護職などの多職種連携によるサービス提供が求められます。リハビリによって利用者のQOLが改善していく姿が見られるという点に、やりがいを感じる人も多いことでしょう。専門性を発揮し、利用者の回復を支える仕事に興味がある人は、どのような求人があるかチェックしてみてください。

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参考

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