目次
1.ショートステイとは
ショートステイとは、在宅で介護を受けている高齢者が、数日から数週間ほど介護施設や医療機関に入所し、必要なケアを受けるためのサービスです。提供するサービス内容によって「短期入所生活介護」または「短期入所療養介護」の2種類があります。1978年に始まったサービスで、普段介護を担っている家族のレスパイト(小休止・休息)や、冠婚葬祭などにより家族が介護できない場合に利用されます。
ショートステイには介護保険が適用される施設もあるため、1割程度の金銭的負担で利用できます。
利用の条件
ショートステイを利用できる対象者は、65歳以上で要支援・要介護の認定を受けた人、もしくは40歳〜64歳までの特定疾患により要介護認定を受けた人です。
利用可能な日数
ショートステイは短期間での利用を前提としているため、1ヶ月につき数日から、連続30日まで利用できます。ただし、在宅での介護が困難で、特養などの介護施設にすぐに入居できない事情がある場合は、30日を超えて利用できるケースもあります。これは「ロングショートステイ」と呼ばれ、30日を超えた分は介護保険が適用されず、自己負担となります。
また、ショートステイを利用できる累積日数にも上限があり、要介護認定の有効期限日までの半分の日数が上限です。例えば有効期限が180日の場合は、累積90日まで利用できます。
施設数
ショートステイを提供している施設は、「単独型」「併設型」「空床型」の3種類に分けられ、全国に1万2,234ヶ所あります(2023年時点)。
単独型
単独型は、ショートステイを専門に提供している施設です。生活介護などの通所サービスを一体的に提供する施設のほか、一軒家などを利用してショートステイのみをおこなう施設があります。
併設型
併設型は、グループホームや特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などと同じ建物内でショートステイサービスを提供している形態です。単独型と併設型を合わせた施設数は1万239ヶ所で大半を占めています。
空床型
空床型は、グループホームや特別養護老人ホーム、病院などの入所施設に空きがある場合に、ショートステイの受け入れをおこなう形態です。併設・空床を実施する施設数は1,888ヶ所です。
2.ショートステイの種類
ショートステイには、生活上必要な支援や介護を受けられる「短期入所生活介護(一般型ショートステイ)」と、医療的管理やケアを受けられる「短期入所療養介護(医療型ショートステイ)」の2種類があります。
短期入所生活介護
短期入所生活介護は、医療型と区別するため、一般型ショートステイとも呼ばれ、主に以下のサービスを提供しています。
- 入浴、排泄、食事などの介助
- リハビリなどの機能訓練
- レクリエーション(施設による)
短期入所生活介護を提供する施設数は、全国に1万1,905ヶ所あります。

一般型ショートステイの年間利用者数は、29万6,200人となっており、過去5年間では約3万人の減少がみられます。コロナ禍で減った利用者数がいまだ回復していません。

厚生労働省がおこなった調査によると、平均要介護度は2.8で、利用者の多くが要介護2〜3です。介護度が高くなるほど、利用者の割合は減少する傾向にあります。また、認知症を患っている人もショートステイを利用できますが、施設ごとに受け入れ可否は異なります。
短期入所療養介護
短期入所療養介護は、医療型ショートステイとも呼ばれています。介護老人保健施設、病院・診療所、介護医療院で、主に以下のサービスを提供しています。
- 経管栄養やカテーテルの管理
- 喀痰吸引
- 点滴
- 褥瘡処置 など
医療型を実施する施設数は全国に329ヶ所と、一般型と比べて少ないのが特徴です。全体の約86%に該当する282の施設が医療法人による運営です。
3.ショートステイで働く
配置基準
一般型のショートステイの配置基準は、以下のように定められています。
短期入所生活介護 |
|
---|---|
管理者・施設長 |
1人 |
1人以上 |
|
介護職員と合わせて、利用者3人につき1人以上 ※うち1人は常勤 ※利用定員が20人未満の併設事業所を除く |
|
看護職員と合わせて、利用者3人につき1人以上 ※うち1人は常勤 ※利用定員が20人未満の併設事業所を除く |
|
機能訓練指導員 |
1人以上 |
1人以上 ※利用定員が40人以下の場合は不要 |
|
生活相談員/支援相談員 |
利用者100人につき1人以上 |
なお、医療型の人員基準は運営している施設と同じ数必要となります。
仕事内容
配置が求められている職種の仕事内容を紹介します。
管理者・施設長
職員のシフト管理や教育、関係機関との連携、経営管理に加え、利用者とその家族対応をおこないます。
医師
利用者の健康管理や指導、家族からの相談に対応します。
看護師/准看護師
バイタルチェックや服薬管理、点滴などの医療的ケアのほか、介護業務や家族対応もおこないます。
介護職員
利用者の清潔ケアや排泄の介助、食事の準備と介助など身の回りの世話全般を担います。施設によっては、利用者の送迎やレクリエーション企画の準備・当日の進行なども含まれます。また、短期間の宿泊を伴う利用のため、夜勤や早朝勤務など日勤以外もあります。
機能訓練指導員
利用者の心身の状態に合わせた機能訓練の計画と実施をします。レクリエーションがある施設では、企画・準備・当日の進行などを担当することもあります。
栄養士/管理栄養士
利用者の健康状態や既往歴に合わせた献立の立案、食事形態の検討などをおこないます。
生活相談員/支援相談員
入退所日の調整や、利用者やその家族の生活相談業務、医療機関との連携を担います。
働くメリット・デメリット
ショートステイで働くメリットとデメリットには、次のようなことが挙げられます。
メリット
- 利用者の入れ替わりが多いため、幅広い介護度に応じたケアが学べる
- 短時間で利用者の特性や状況を把握する必要があるため、洞察力が養われる
- 身体介護の頻度が比較的少なく、肉体的な負担が少ない
デメリット
- 一人ひとりとじっくり関係性を築けない
- 施設によっては利用者数が多く多忙に感じる
給料
ジョブメドレーに掲載されている求人(2025年4月時点)をもとに、ショートステイの給料を算出しました。なお、各種手当や残業代などは含みません。実際の賃金はこれより高くなる可能性があります。
平均時給 |
平均月収 |
平均年収 |
|
---|---|---|---|
介護職/ヘルパー |
1,195円 |
23万3,759円 |
327万2,626円 |
看護師/准看護師 |
1,562円 |
27万169円 |
378万2,366円 |
生活相談員 |
– |
25万1,317円 |
351万8,438円 |
作業療法士 |
– |
28万1,734円 |
394万4,276円 |
理学療法士 |
– |
27万6,408円 |
386万9,712円 |
管理栄養士/栄養士 |
– |
23万1,890円 |
324万6,460円 |
調理師/調理スタッフ |
1,139円 |
22万2,117円 |
310万9,638円 |
*年収は「月収の総平均 × 14ヶ月(ボーナスは月給の2ヶ月分)」で試算
*求人数50以上の職種ごと賃金データ
4.ショートステイを利用する
利用の流れ

ショートステイを利用するには、まず住んでいる自治体で要介護認定を受けることが前提となります。その後、地域包括支援センターや担当ケアマネジャーに相談し、利用を開始します。
利用にかかる料金
ショートステイの1日あたりの基本料金は、居室のタイプによって異なります。1人で1部屋を利用する個室タイプのほか、1部屋あたり4床以下の多床室、10人ほどのグループに対し、食堂や台所などの共有スペースを設けたユニット型があります。
タイプごとの基本料金は、以下のように決められています。1単位10円、介護保険を利用し自己負担1割で計算していますが、単位ごとの金額は地域ごとに異なるため、あくまで目安としてください。また、食事や送迎、日用品にかかる費用は基本料金とは別にかかります。
個室・多床 (一般・単独型) |
ユニット型 (一般・単独型) |
個室 (療養型) |
ユニット型 (療養型) |
|
---|---|---|---|---|
要支援1 |
479円 |
561円 |
579円 |
624円 |
要支援2 |
596円 |
681円 |
726円 |
789円 |
要介護1 |
645円 |
746円 |
753円 |
836円 |
要介護2 |
715円 |
815円 |
801円 |
883円 |
要介護3 |
787円 |
891円 |
864円 |
948円 |
要介護4 |
856円 |
959円 |
918円 |
1,003円 |
要介護5 |
926円 |
1,028円 |
971円 |
1,056円 |
厚生労働省|介護報酬の算定構造より作成
5.利用者とその家族の心身を支える役割
ショートステイは、在宅で介護を受けている高齢者が短期間施設に滞在し、必要なケアを受けられるサービスです。一般型と医療型では提供されるサービス内容が異なりますが、どちらも限られた期間のなかで利用者の状態を素早く把握し、適切な介護や支援をおこなうことが求められます。
入居者の入れ替わりが多いため、柔軟な対応が必要とされる場面も少なくありません。それでも、利用者の心身を支えるだけでなく、レスパイトとして家族の負担を軽減する、社会的にも大切な役割を担っています。
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