目次
1. ケアハウス(軽費老人ホームC型)とは?
低額で入居できる介護施設
ケアハウスとは、自宅での自立した生活が困難な60歳以上の人が、低額または無料で生活支援を受けながら暮らせる公的施設です。社会福祉法人や地方自治体、民間事業者などによって運営される軽費老人ホームの一種で、「軽費老人ホームC型」とも呼ばれます。
食事や掃除、洗濯などの生活支援に加え、緊急時の対応も受けることができますが、基本的に介護サービスは提供されません。介護が必要な場合は外部の居宅介護サービスを利用します。
ケアハウスの施設数はほぼ横ばい

厚生労働省の統計によると、2021年時点での全国の施設数は2,039ヶ所でした。2011年から10年間の推移を見ると、2011年から2012年にかけてはおよそ100ヶ所増加したものの、そこからは微増しながら近年は2,000ヶ所余りを保っています。
ケアハウスと特養・サ高住・グループホームとの違い
〈特別養護老人ホーム(特養)との違い〉
ケアハウスと特養の大きな違いは入居者の要介護度です。特養の入所条件は「要介護3以上」の認定を受けた人となります。医療体制も手厚く、看取り対応をする施設もあるため終身利用が可能です。
>特別養護老人ホーム(特養)とは?
〈サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違い〉
主にサービス内容が違います。ケアハウスは基本的な生活支援や相談対応などをおこないますが、サ高住で提供が義務づけされるサービスは状況把握(安否確認)と生活相談のみとなります。
>サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?
〈認知症グループホームとの違い〉
ケアハウスと認知症グループホームでは入居者が異なります。グループホームは認知症を発症した「要支援2以上」の人が共同生活を送る施設です。専門スタッフの支援を受けながら自立した日常生活を目指します。
>認知症グループホームとは?
2. ケアハウスの種類
ケアハウスは比較的自立した生活を送れる人を対象とした「自立型(一般型)」と、介護が必要な人を対象とした「介護型(特定施設)」の2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
自立型(一般型)
60歳以上でひとり暮らしに不安があり、何らかの事情で家族と同居できず(もしくは身寄りがなく)援助を受けられない人を対象としています。健康に問題がないことが入居の前提条件です。
入居中に介護が必要となった場合、外部の介護事業者と提携することで支援を受けられますが、要介護度が高くなったり、医療的なケアが必要になった場合は退去を求められる可能性があります。
介護型(特定施設)
介護保険法における特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設です。原則65歳以上で要介護1以上の人を対象とし、生活支援や緊急時の対応に加え、入浴・排泄の介助、専門職による機能訓練などを包括的におこないます。認知症ケアや看取りに対応する施設もあることから、要介護度が上がっても住み続けられる施設もあります。
ケアハウス以外の軽費老人ホーム
軽費老人ホームはケアハウスのほかにA型、B型、都市型があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
対象 | 食事提供 | 介護サービス | 個室1人あたりの最低面積 | |
---|---|---|---|---|
A型 | 家庭での生活が困難な60歳以上の人 | ◯ | 外部 | 6.6㎡ |
B型 | A型の要件に加えて自炊ができる人 | × | 外部 | 16.5㎡ |
C型 (自立型) | 家庭での生活が困難な60歳以上の人 | ◯ | 外部 | 21.6㎡ |
C型 (介護型) | 原則65歳以上で要介護1以上の人 | ◯ | ◯ | – |
都市型 | 都市部における家庭での生活が困難な60歳以上の人 | ◯ | 外部 | 7.43㎡ |
A型は食事提供があるものの、1人あたりの居室面積に限りがあります。B型は基本的にA型と同じ条件で利用できますが、自炊できる人を対象としています。なお、A型・B型いずれも将来的にはケアハウスに建て替えられる見通しです。
都市型は関東や関西の都市部にある軽費老人ホームです。居住面積を小さくすることで月額費用を安く抑えられています。
3. ケアハウスの一日のスケジュール
ケアハウスは施設の特性上、日常的な生活援助や見守りがメインの業務となります。訪問介護事業所やデイサービスに併設されている自立型ケアハウスもあり、その場合は居室へ訪問して介護業務にあたります。介護型ケアハウスは看護ケアや身体介護などの業務も加わりますので、介護付有料老人ホームなどと同じような働き方になります。
例として自立型ケアハウスの一日のスケジュールを見てみましょう。

4.ケアハウスで働く職種・資格と仕事内容
ケアハウスの人員基準
ケアハウスでは以下のような人員基準が設けられています。
職種 | 自立型 | 介護型 |
---|---|---|
施設長 | 1人(兼務可) | 1人(兼務可) |
生活相談員 | 入居者120人ごとに1人 | 入居者100人ごとに1人 |
介護職員・看護職員 | 要⽀援者10⼈に対して1人 要介護者3⼈に対して1人 | 要支援者10人に対して1人 要介護者3人に対して1人 (夜間帯の職員は1人以上) |
栄養士 | 1人以上 | 1人以上 |
事務員 | 1人以上 | 1人以上 |
機能訓練指導員 | 実情に応じた適当な人数 | 1人以上(兼務可) |
計画作成担当者 | 実情に応じた適当な人数 | 介護支援専門員1人(兼務可) |
施設長(管理者)
ケアハウスの全体的な運営を担当する立場で、スタッフの指導や施設のマネジメントなどをおこないます。同⼀施設内の社会福祉施設に限り兼務可能です。
生活相談員
入居者の生活支援に従事し、日常生活における相談やサポートをおこないます。施設によってはレクリエーションの企画や運営に携わるケースもあるようです。
>生活相談員について、詳しくはこちらの記事で解説しています
生活相談員とは?
>機能訓練指導員について、詳しくはこちらの記事で解説しています
機能訓練指導員とは?
計画作成担当者
いわゆるケアマネジャーを指し、要介護者100人に対して1人の配置が標準とされています。
入居者とその家族から情報収集し、状況に合わせたケアプラン(介護サービス計画書)を作成したり、多職種との連携、医療機関との調整業務などもおこないます。
>ケアマネジャーについて、詳しくはこちらの記事で解説しています
ケアマネジャーとは?
栄養士/調理師
入居者の健康状態に配慮した食事を提供します。具体的には、栄養管理や献立の作成・調理、食材の発注などが主な仕事です。
通常は1人以上を配置する必要があります。ただし、入居者が40人を下回る場合、またはほかの社会福祉施設などの栄養士との連携によって効果的な運営ができる場合は配置する必要がありません。
>栄養士について、詳しくはこちらの記事で解説しています
栄養士とは?