介護保険法とは?施設やサービス、最新の改正ポイントをわかりやすく解説

介護保険法は介護保険制度や介護保険施設、介護サービスについて定めた法律です。この記事では、介護保険法の概要、施設やサービスの種類、2024年の改正ポイントなどについて解説します。

介護保険法とは?施設やサービス、最新の改正ポイントをわかりやすく解説

目次

1.介護保険法とは?

介護保険法は、介護保険制度や介護保険施設、介護サービスについて定めた法律です。急激に進行する高齢化を背景として2000年4月に施行され、3年ごとに改正されています。

高齢になると身体機能が衰え、食事や入浴、排せつなどの日常生活に手助けが必要となる可能性があります。しかし、介護が必要になった高齢者にとって、介護サービスにかかる費用は大きな負担です。そのため、社会全体で支え合う仕組みが必要になり、介護保険法や介護保険制度が整備されました

また、同法の成立に伴って、介護保険サービスを利用するために必要なケアプラン(介護サービス計画書)を作成する専門職「介護支援専門員(ケアマネジャー)」も誕生しました

tips|介護保険法の施行規則とは?
介護保険法施行規則とは、介護保険法の細かな手続きやルールを定めた厚生労働省の省令です。具体的には、要介護認定の申請方法や介護保険被保険者証の記載事項、介護サービス事業者の指定基準などについて細かく規定しています。一般的に介護保険法の改正に合わせ、3年ごとに施行規則も見直されます。

介護保険法とともに誕生した介護保険制度

介護保険法が定める介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で負担する仕組みです。介護保険の被保険者(対象者)は年齢に応じて、第1号被保険者と第2号被保険者に分類され、保険料も異なります。

介護保険制度について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
介護保険制度とは?サービス内容や対象者、保険料、何歳から利用できるか解説

介護保険法と老人福祉法の違い

介護保険法と並んで高齢者福祉に関する法律に老人福祉法があります。老人福祉法は高齢で経済的に困っていたり、身寄りがなかったりする人を公費で支えるという、社会福祉の側面が強い法律です。2つの法律は、どちらも福祉施設や介護サービスに関して規定していますが、施行の背景や目的などに違いがあります。

 

介護保険法

老人福祉法

施行年

2000年4月

1963年7月

背景

高齢化が急速に進んだことで社会保障費が財政を圧迫したこと など

高度経済成長期に都市化、核家族化が進展したこと など

目的

介護保険制度を設立し必要な保健医療サービスと福祉サービスを提供すること

高齢者の心身の健康保持と生活の安定を図ること

主な内容

介護が必要な人を社会全体で支えるための仕組み(介護保険制度)

高齢者福祉を担当する機関や施設、事業に関するルール

制度

社会保険・契約制度(利用者に対して保険料をもとに給付をおこなう互助の仕組み)

社会福祉・措置制度(社会的弱者に対して公費をもとに措置をおこなう公助の仕組み)

2.介護保険法で定める高齢者向け施設

介護保険法では、介護が必要な人が入所できる施設として、以下の3種類の介護保険施設が定められています

施設の種類

特徴

対象者

1.介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

施設サービス計画に基づき、日常生活上の世話などのサービスを提供する施設

要介護3以上

2.介護老人保健施設(老健)

医療と福祉のサービスを併せて提供し、利用者の在宅復帰を目指す施設

要介護度1〜5

3.介護医療院

要介護者を対象に長期療養のための医療と介護を一体的に提供する施設

要介護1〜5で医療的ケアが必要な人

3.介護保険法で定めるサービス

介護保険法に基づくサービスは数十種類にのぼります。これらサービスは大きく分けると、ケアプラン作成のサービス、市区町村の介護サービス、都道府県の介護サービスの3種があります。

 

サービス名称

ケアプラン作成のサービス

  • 居宅介護支援(要介護)
  • 介護予防支援(要支援)

市区町村の介護サービス

  • 地域密着型サービス(要介護)
  • 地域密着型介護予防サービス(要支援)

都道府県の介護サービス

  • 居宅サービス(要介護)
  • 施設サービス(要介護)
  • 介護予防サービス(要支援)

ケアプランを作成するサービス

ケアプランを立てる際は、市区町村の居宅介護支援と介護予防支援を利用します。居宅介護支援要介護認定された人に対して、ケアプランを作成するサービスです。一方、要支援の人が同様のサービスを受ける場合は介護予防支援の扱いとなります。

市区町村による介護サービス

市区町村は地域密着型サービスと介護予防地域密着サービスを提供しています。利用者が暮らす地域でのサービスのため、家庭的な環境や地域社会との触れ合いも重視します。

地域密着型サービスは要介護の利用者が対象です。また、地域密着サービスで受ける支援のなかには、要支援の利用者でも同様の支援を介護予防地域密着サービスとして支援を受けられるものもあります。

サービス名称

サービス内容

介護予防サービスの有無

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

定期的な巡回や随時通報への対応など、利用者の心身の状況に応じて、24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に提供する

夜間対応型訪問介護

24時間安心して過ごせるよう、夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問する

地域密着型通所介護

施設に通う利用者の能力に応じ、生活機能の維持・向上を目指して、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練等の利用者に応じた必要なサービスを提供する

療養通所介護

日帰りで施設に通う利用者に、食事や入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを提供する

認知症対応型通所介護

日帰りで施設に通う認知症の利用者に、食事や入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを提供する

小規模多機能型居宅介護

施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組み合せ、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで日常生活上の支援や機能訓練をおこなう

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

入所する認知症の利用者に、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練などのサービスを提供する

地域密着型特定施設入居者生活介護

有料老人ホームや軽費老人ホームなどが、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練などを提供する

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が、常に介護が必要な人の入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援、機能訓練、療養上の世話などを提供する

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問(介護)」に加えて、看護師などによる「訪問(看護)」も組み合わせ、一体的なサービスを提供する

都道府県による介護サービス

都道府県は居宅サービスと介護予防サービスを提供しています。居宅サービスは要介護の利用者が訪問・通所・入所などを利用できる介護サービスです。また、居宅サービスで受けられる支援のなかには、要支援の利用者でも同様の支援を介護予防サービスとして受けられるものもあります。

サービス名称

サービス内容

介護予防サービスの有無

訪問介護(ホームヘルプ)

訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、食事・排せつ・入浴などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助をおこなう

訪問入浴介護

看護職員介護職員が利用者の自宅を訪問し、持参した浴そうで入浴の介護をおこなう

訪問看護

看護師などが疾患のある利用者の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助をおこなう

訪問リハビリテーション

理学療法士作業療法士言語聴覚士などが利用者の自宅を訪問し、心身機能の維持回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションをおこなう

居宅療養管理指導

医師管理栄養士などが利用者の自宅を訪問し、心身の状況や置かれている環境を把握し療養上の管理・指導をおこなう

通所介護

施設に通う利用者の能力に応じ、生活機能の維持・向上を目指して、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練など必要なサービスを提供する

通所リハビリテーション

日帰りで施設に通う利用者に、食事や入浴などの日常生活上の支援、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを提供する

短期入所生活介護(ショートステイ)

介護老人福祉施設などが、常に介護が必要な人の短期間の入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援、機能訓練などを提供する

短期入所療養介護
(医療型ショートステイ)

医療機関や介護老人保健施設、介護医療院が、介護・医療が必要な人の短期間の入所を受け入れ、日常生活上の世話や、医療、看護、機能訓練などを提供する

特定施設入居者生活介護

有料老人ホーム軽費老人ホームなどが、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練などを提供する

福祉用具貸与

利用者の適切な福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などおこない、福祉用具を貸与する

特定福祉用具販売

入浴や排せつに用いる福祉用具を販売する

4.介護保険法の改正ポイント

介護保険法は3年ごとに改正される

介護保険法は、高齢化の進行や介護ニーズの変化に対応するため、3年ごとに改正されています。これまでの主な改正内容を表にまとめました。

主な改正点

2005年改正
(2006年4月施行)

  • 地域包括支援センターの創設
  • 地域密着型サービスの創設
  • 予防重視型システムへの転換(新予防給付の創設) など

2008年改正
(2009年5月施行)

  • 介護事業者の法令遵守体制整備の義務化
  • 事業廃止時のルールを厳格化 など

2011年改正
(2012年4月施行)

  • 24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設
  • 複合型サービス(事業所)の創設
  • 要件を満たせば介護職員によるたん吸引が可能に など

2014年改正
(2015年4月施行)

  • 予防給付(訪問介護・通所介護)を地域支援事業に移行
  • 特別養護老人ホームの新規入所者を要介護3以上に(原則)
  • 所得に応じて自己負担2割を導入 など

2017年改正
(2018年4月施行)

  • 介護医療院の創設(医学管理・看取り・生活施設)
  • 所得に応じて自己負担3割を導入
  • 介護納付金への総報酬割の導入 など

2020年改正
(2021年4月施行)

  • 地域包括支援センターの役割強化(世代や属性を問わない相談窓口の創設、交流の場の確保など)
  • 医療・介護データ基盤の整備
  • 介護人材確保・業務効率化に向けた取り組みの強化 など

 

2024年の改正点

2024年の介護保険法改正では、介護保険制度を持続可能なものにするため、さまざまな見直しが実施されました。改正の内容から主なポイントを紹介します。

基本報酬の見直し

基本報酬が見直され、全体で1.59%引き上げられました。改定率の内訳は介護職の処遇改善が0.98%、そのほかの改定が0.61%です。

介護報酬の改正について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
2024介護報酬改定でどう変わる?専門家が分析する介護現場の課題と展望

地域包括ケアシステムの深化・推進

認知症の人や単身高齢者、医療ニーズが高い高齢者が、それぞれの住み慣れた地域で暮らし続けられることを重視します。その実現のため、質の高い公正中立なケアマネジメントや地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組みの推進、看取りの強化などを進めます

自立支援・重度化防止に向けた対応

自立支援や重度化防止のため、多職種連携の推進やデータの活用などを進めます。具体的にはリハビリテーション・口腔・栄養の一体的な提供や、科学的介護情報システム(LIFE)の活用を盛り込んでいます。

良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

人手不足の環境下でも、介護サービスの質の向上を図るため、賃上げ等を通じた介護人材の確保・生産性の向上に対応していきます。具体的には、介護職員の処遇改善、介護ロボットやICTなどテクノロジー、介護助手の活用、休暇取得の促進などが挙げられています。

制度の安定性・持続可能性の確保

若年層から高齢者まで全ての世代にとって安心できる社会保険制度を目指します。全世代型社会保障の基本理念に基づき、利用者負担・保険料負担への影響を踏まえて、評価の適正化・重点化、報酬体系の整理・簡素化を進めます。

5.社会全体で高齢者を支えるための介護保険法

介護保険法は、高齢者が要支援や要介護になっても、尊厳を持って自立した生活を送れるよう、社会全体で支え合う仕組みを定めた法律です。少子高齢化が進む日本社会において、介護保険制度は高齢者の生活を支える柱となっています。

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参考

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